第26話:不良資産のクレンジング条項と最後の説教
アルゴラスの新しい埠頭の冷たい金属の感触が、擦り減った革底を通してタルゴムの足裏に伝わっていた。彼は数百もの波状鋼コンテナの中に唯一残された伝統的な梱包材である、銅の在庫印章が捺されたマツ材の木箱の上に登った。
タルゴムは軽く咳払いをした。北国の荒々しさを取り戻した彼のバリトン声は、塩分を含んだ空気の中でやすりのように掠れた。
「聞け! 港の男たちよ、蒸気の労働者たちよ! ほんの一瞬でいい、スコップを置け!」
暴風雨の中で船員たちを呼ぶ時のように、声を張り上げて叫ぶタルゴム。
アルカナグリースで汚れた作業服を着た現場監督が、歯車の手押し車を押しながら彼の脇を通り過ぎて行った。一瞥すらしてくれない。頸脈にミスリル鉱山の印章タトゥーを刻んだ、頬の削げ落ちた二人の水夫は、栄養強化小麦粉の価格についての会話を中断することなく、海へ唾を吐き捨て続けていた。
新設された居酒屋の窓からは真鍮の蓄音機が甲高い音を立てており、からくりワルツの旋律で彼の言葉をかき消していた。この人々にしてみれば、タルゴムは泥炭ブランデーを飲み過ぎて戯言を撒き散らしている老人に過ぎず、十二時間労働の真っ只中における日常の鬱陶しい雑音でしかなかった。
「奴らは創造者などではない! 単なる監査役だ! 俺は奴らの大理石のホールにいたからわかる! 奴らはお前たちを採点し、効率性クレジットで評価し、固定配当と引き換えに龍どもへ売り払ったのだ! 山のドワーフたちは自分たちの墓を超硬合金のノコギリと引き換えにし、セレンゾナスのエルフたちは『植物衛生上の障害』というラベルのもと、わずか十七分で粉砕されたのだぞ!」
銅線ケーブルのボビンを運んでいた若い男が一瞬立ち止まり、乾いた嘲笑を漏らすと、タルゴムのブーツに向かって腐ったニシン 頭を投げつけた。
「黙れ、クソジジイ! あと五分で午後のシフトが始まるんだ! ヴァエル-9のクレーンが時間通りに動かなきゃ、日雇い給料を半額カットされるんだよ! ウミネコにでも説教してろ!」
人々は笑った。無関心で、灰色で、疲弊した笑い声だった。市場の冷淡さは、冥界の城壁よりもはるかに切り崩し難い壁だった。タルゴムは腕を下ろした。彼の手は凍てつく風のせいではなく、自発的な奴隷状態こそが龍のサークルの最高の発明であるという、押し潰されそうな確信によって震えていた。人々は救われることなど望んでいなかった。ただ、月末を無事に乗り切りたかっただけなのだ。
その時、蓄音機のワルツが耳障りな悲鳴へと加速し、真鍮の針が溶けて一滴の青銅の液体へと変わった。
アルゴラス港の空は、嵐の雲に覆われることはなかった。ただ白くなった。一切の影が存在しない、不妊で幾何学的な白だ。潮風は空気中で氷結し、潮騒と魚の匂いは、濃縮されたオゾンと封蝋の香炉によって瞬時にかき消された。
ウミネコたちは大気密度の急激な変化により、死ぬ間もなく飛翔の途中で麻痺し、埠頭の上に落ちてきた。
埠頭の中央、十メートルの高さの空中に、メスの切り口のような精密さで空間が裂けた。亀裂から高さ五十メートルの結晶プリズムが降臨し、漁船の影を完璧な直角へと変える、鋭利で黄金色の光を照射した。
その隣には、二次会議室に入るかのような悠然とした態度で、イーサリアム平面から降臨したゼネクスが現れた。その背後には、漆黒のモノクルを調整し、港の泥と塩水の匂いに本気の嫌悪感を込めて鼻を鳴らすアウラム-ヴェックスの巨躯があった。
手押し車を押していた現場監督は、恐怖のあまり膝から崩れ落ちた。水夫たちは作業道具を取りこぼし、神々しい眩しさの前に顔を覆った。ニシンの頭を投げつけた若者は股間を濡らし、灰色の石畳の上でガタガタと震えていた。
『中間仲介者タルゴム。アルゴラス市セクターにおいて、九十八パーセントの確率で概念的汚染が発生していると記録されました。あなたの未承認の帰還および内部データの拡散は、機密保持コード104-Aへの違反を構成します』
プリズムの声は雷鳴のように轟くのではなく、避難勧告スピーカーのような中立的で恐ろしい明瞭さをもって、港の三千人の住民全員の頭骨の内部で同時に響き渡った。
アウラム-ヴェックスは翼の下から赤い革の帳簿を取り出し、曲がった爪でガチョウの羽ペンを調整した。
「頂の龍より発言。天界永劫事務総局に対し、『不良資産クレンジング条項』の実行を要請する。現地住民は未承認のスピーチに曝露された。該当セクターの全滅、およびその後のミスリル精錬所設置に向けた土地の民営化を推奨する」
完全なパニックの波が埠頭を駆け抜けた。水夫たち、現場監督たち、窓から覗いていた居酒屋の主人たち……全員が天を見上げた。そこにいたのは、慈愛に満ちた父ではなかった。神聖な保護者でもなかった。ただ、建築家が古い仕切り壁を壊すことを決める時と同じ無関心さで、自分たちの街の破壊を議論している光と鱗の二つの存在だった。
タルゴムは引かなかった。彼は破れた緑の麻チュニックを着て、灰色の髭に小雨を降らせながら、マツ材の箱の上に立ち続けた。
「今なら聞こえるか!? 奴らをよく見ろ! それが紫色の光と蒸気エンジンの背後にあるものの正体だ! 奴らはお前たちなど気にしていない! 最初から気にしてなどいなかったのだ! 奴らにとって、お前たちは男でも女でも家族でもない……ただの『不良資産』なのだ! 幾何学様のご機嫌が斜めになれば消される、経費明細の一行に過ぎん!」
ゼネクスのオゾン音をかき消すほどのバリトン声を響かせ、神々ではなく、恐怖する群衆に向かって叫ぶタルゴム。
銅線ケーブルの若い男は地表から顔を上げ、目を丸くしてタルゴムを見つめた。その恐怖はゆっくりと、より危険な何か……「明晰さ」へと変わっていった。現場監督は手押し車を離し、港の端から端まで、列から列へと伝染していく静かな怒りとともにアウラム-ヴェックスを見つめた。
『人口統計学的反応を処理中。信仰心レベル:ゼロパーセント。認知抵抗レベル:九十九パーセント。中央登記所において「信仰」の登録が解除されました。原因となったアノマリー(異常体)に対し、直接的な手続き上の処刑を適用します』
ゼネクスのプリズムの頂点から、針のように細く鉛のように重い一束の白い光線が、タルゴムの胸に向かって一直線に降下した。
爆発は起きなかった。血も流れなかった。その光線は単にタルゴムの物質を分解し始め、彼の九十キロの肉体、塩水に濡れた手、革のブーツを、北風が群衆の上にゆっくりと撒き散らす黄金の灰の雨へと変えていった。
タルゴムは自分の脚が崩れ去っていくのを感じたが、叫びはしなかった。彼は若者を見つめ、現場監督を見つめ、タハマラの歴史上で初めて、信仰心からではなく、純粋で凍てつくような破壊不能の憎しみをもって天を見上げている数千の瞳を見つめた。
「二度と……あの者たちに……許可を求めるな……」
彼の顔が神々の不妊の光の中に溶けていく中、それがタルゴムの最後の息となった。
光線は消え去った。マツ材の箱は空になった。ただ一掴みの灰色の灰だけが、腐ったニシンの頭の上に落ちた。
天上で、ゼネクスのプリズムが突然明滅した。その結晶の表面を一条のノイズが横切った。アウラム-ヴェックスの帳簿では、黄金のインクが一瞬で不可視のものとなった。
埠頭から見つめる数千の人間たちの信仰を失い、神聖な力は流れるのをやめたのだった。天界の官僚機構は今、生中継で自らの破産申請書に署名したのだ。
Hello Japan!
It has been a while since my last update, sorry for taking so long! Summer jobs kept me really busy, but I’m finishing the story this weekend.
And yes, that’s right, it’s in English! I’m not from Japan—not even close!—but I love your country, your language, and your culture. That’s why I decided to write and share my stories here.
Thank you all so much for waiting and for reading my work!
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【日本語訳】
日本の皆さん、こんにちは!
最後の更新から少し間が空いてしまってすみません! 夏の仕事が本当に忙しかったのですが、この週末で物語を最後まで書ききる予定です。
そして、はい、その通り、英語で書いています! 私は日本出身ではありませんが(遠く離れています!)、皆さんの国、言語、そして文化が大好きです。だからこそ、ここで自分の物語を書いて共有することにしました。
待っていてくださった皆さん、そして読んでくださっている皆さんに心から感謝します!




