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第25話:最終承認枠と無給インターンの選択

光のペンがタルゴムの半透明な指先の前で緩やかに揺れていた。その浮遊する光線は、まるで彼の決断を急かすかのように、完璧な三回に一回の周期で点滅を繰り返している。


『応答を要求します、インターン・タルゴム。セレンゾナスセクターにおける伐採および用地クリアランスプロトコルの発動まで、残り百二十秒です。署名が不履行の場合、システムは自動的にあなたを「業務不適格」として処理し、現行のデザインスキン(肉体)を回収、元の魂を冥界の永久アーカイブ室へ再配置します』

ゼネクスの合成音声には、一切の脅迫も熱も含まれていない。ただの物理法則の朗読だった。


背後では、超硬合金の鋸刃が聖なるオークの巨大な幹に噛み合わさる、甲高い金属摩擦音が響き渡り始めていた。先頭のキャタピラ機械の上で、バルリンが真鍮の拡声器を手に怒鳴っている。ドワーフたちの表情には、何世紀にもわたる肉体労働から解放された興奮と、容易に手に入る莫大なロイヤリティへの盲目的な欲望だけが浮かんでいた。


少し離れた場所では、四体の巨大な龍(サーペント)たちが補強された黒革の肘掛け椅子に深く腰掛け、追加の投資ファンドの承認印を書類に捺していた。アウラム-ヴェックスはモノクル越しに伐採の進行スピードをチェックし、ラカ-ティポルは早くも次のセクターの地価をホログラムに投影している。ヴァエル-9は、その六角形の頭部から一定の周波数を放ち、すべてを寸分の狂いもないスケジュール通りに進めていた。


森の境界線から、一本の矢が飛来した。

それはイグニス-シロスの厚い肩の鱗に当たり、カチンと虚しい音を立てて弾き返され、地面の砂利の上に落ちた。シロスは煙草の煙を吐き出しながら、刺された蚊を払うかのように軽く肩を振っただけだった。


シダ植物の影の中で弓を引き絞り、涙で視界を濡らしながらも次の一矢を番えるライラの姿が、タルゴムの目に入った。彼女の背後には、故郷を守るために立ち上がった数人のエルフたちがいたが、彼らの木製の弓と先祖代々の魔法は、ドラゴンの資本とジェナシの工学技術が融合した鉄の塊の前にはあまりにも無力だった。


「署名すれば進歩……署名しなければ行政上の過失、か」

タルゴムは呟いた。彼の声は、超硬エンジンとキャタピラが地表を押し潰す轟音の中にかき消されそうになっていた。


彼の手が動いた。

光のペンを指で挟み込む。ゼネクスのホログラムインターフェースが、認証完了の青い光を放ち始めた。


「タルゴム!」

森の境界からライラの悲痛な叫びが響いた。彼女の瞳には、完全な絶望と裏切られた者の激痛が宿っていた。


だが、タルゴムは書類の右下に用意された「承認(APPROVED)」のボックスにペンを走らせなかった。

彼の洗練されたエルフの指は、滑らかな動作でペンの軌道を逸らし、羊皮紙の余白部分——ゼネクスが規定したあらゆる公式フォーマットの外側にある、何もない空白の領域へと向かった。


そこには、文字ではなく、巨大な手書きの「×」印すらなく、単なる泥のついた一つの指紋と、一筋の不格好な斜線が引かれた。


『エラー:未定義の入力形式を検出。署名プロトコルが不完全です。インターン・タルゴム、指定された枠内に正しく署名を行ってください』

ゼネクスの警告音が、少しだけ高いピッチで鳴り響いた。


「断る」

タルゴムは言った。


『理解不能です。「断る」という選択肢は、天界永劫事務総局の業務規程第1402条に存在しません』


「存在するさ。今、俺が作った」

タルゴムは首から下げられていた「無給インターン」のプラスチックカードを引きちぎり、光のホログラムの真ん中へと投げつけた。

「俺はただの漁師だった。嵐の海で船が沈んだ時も、神々に文句は言わなかった。だがな、お前たちのその綺麗な紙切れと数字の並びで、生きている奴らの足を引っ張り、森を焼き、自分たちの欲望を『最適化』なんて言葉で誤魔化すのは……反吐が出るほど胸くそが悪いんだよ」


『警告:職務放棄およびシステムへの不服従を検出。デザインスキンの契約は即座に失効します。魂の回収シーケンスを開始——』


「やれよ! 冥界のアーカイブ室に俺を戻してみろ!」

タルゴムは振り返り、四体の龍(サーペント)とヴァエル-9、そしてバルリンに向かって咆哮した。新しいエルフの肉体を得て以来、最も泥臭く、最も彼らしい声だった。

「だがな、ゼネクス! お前がどれだけ優秀な計算機だろうと、一つだけ大きなミスを犯している!」


『質問:どのような計算ミスですか』


「お前は書類の形式(フォーマット)にしか興味がない。だから……『未処理の保留案件』が積み重なった時、システム全体がどうなるか計算していないんだ!」


タルゴムはポケットから、これまで彼が関わってきたすべての事案——ピンクの帽子を被ったオルクの申請書、Aediの高級ファッションの関税書類、Kikiの劇団の公演許可証、ドワーフたちの旧再配置申請書、そして先ほど燃やしたはずの報告書の灰の残り——を次々と取り出し、ホログラムの光の中にぶちまけた。


それらは単なる紙くずではなかった。天界のシステムにおいて、処理が完了していない、かつ明示的に拒否もされていない不確定な「保留データ(Pending Data)」の塊だったのだ。


一瞬にして、ゼネクスの青い光が狂ったように明滅し始めた。


『システム警告:例外処理の過多を検出。優先度再計算エラー。アルカナ伝送ネットワークに深刻な遅延が発生しています。理由:処理未完了の「情感的・文脈的データ」が五千四百件以上スタックしています』


巨大なキャタピラ機械のエンジンが、急激な電圧低下を起こして「シューッ」と音を立てて停止した。バルリンの拡声器から激しい雑音が走り、ドラゴンの投資ホログラムが激しくブレ始めた。


「何が起きた!?」

アウラム-ヴェックスがモノクルを押さえながら立ち上がった。


「ネットワークが詰まっているわ! 取引の決済が通らない!」

ラカ-ティポルが金切声を上げる。


タルゴムは止まらなかった。彼は停止したキャタピラ機械のフロントへと駆け上がり、呆然と立ち尽くすバルリンから真鍮の拡声器をひったくった。


「ライラ! 全員に伝えろ!」

拡声器を通して、タルゴムの声が森全体と採掘現場に響き渡った。

「戦う必要はない! 弓を捨てろ! 奴らの書類にサインもするな、拒否もするな! ただ『保留』にしろ! 申請書を出しまくれ! 形式を無視して、お前たちの物語と、先祖の思い出と、くだらない文句を山ほど書いて、ゼネクスのシステムに送りつけるんだ!」


ライラは一瞬目を見開いたが、即座にタルゴムの狙いを理解した。彼女は背後のエルフたちに向かって叫んだ。

「全員、羊皮紙を取り出しなさい! 木の葉でもいい! 自分の名前と、この森で一番好きな場所の思い出を書いて、あのアートファクトに投げ込むのよ!」


『制止してください!』

ゼネクスの声に、初めて電子的な割れが生じた。

『未構造化データの大量流入は、総局のデータベースをパンクさせます! これはテロ行為です! 行政上のテロ行為です!』


「いいや、これはテロじゃない」

タルゴムは倒れかけたホログラムに向かってニヤリと笑った。

「これが『無給インターン』の最後の残業だ」


----


*(物語は最終局面へ——。全5アークが交錯し、物語は最高潮のフィナーレへと突き進む!)*

Hello Japan!


It has been a while since my last update, sorry for taking so long! Summer jobs kept me really busy, but I’m finishing the story this weekend.


And yes, that’s right, it’s in English! I’m not from Japan—not even close!—but I love your country, your language, and your culture. That’s why I decided to write and share my stories here.


Thank you all so much for waiting and for reading my work!

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