第18話:終結の神々
「へえ、なかなかの『存在論的ゆすり』じゃない。荒野の飢えた亡者にしては上出来よ。さあ動いて、タルゴム。セクター9のパラディンが、祝福された盾を返さないなら人事部長の首を撥ねると脅しているの。今週の人事課には首を再生させる予算なんてないんだから」
ドロマが言った。
こうして、魂たちは一つ、また一つと登録されていった。シフトの終わりを告げる高周波の電子音が響き渡り、天井の蛍光灯のノイズが一段と強くなった。自分が処理してきた会計士たちの姿勢を模すように、半透明の肩を丸め始めていたタルゴムはパーテーションを後にした。「精神的ハードウェア維持ユニット」を通過した彼の体は、以前よりも密度を増し、奇妙な感覚を覚えていた。重く、実体感がある。ゼネクスが彼の元の姿を戻したのは慈悲からではなく、書類のバインダーを運ぶ効率を上げるためなのだと思い知らされる。
彼はエレベーターへと歩いた。それは上下に移動する構造物ではなく、空間を拡張して行政のより上層階へと接続する装置だった。ドロマはすでにそこに立ち、一日の最終収支を示す画面を見つめていた。『処理済み魂数:4,892件』『控訴失敗ケース:12件』『作業効率:99.8%』。
「ドロマ、マニュアルに書いてないことを何か一つでもしたことはあるのか?」
エレベーターの金属扉に映る二人の姿を眺めながら、タルゴムが尋ねた。
ドロマは振り返らなかった。不気味なほど穏やかな二つの眼光は、画面で点滅する数字に固定されたままだった。長くて完璧に節立った彼女の指が、革のブリーフケースの表面をトントンと叩く。
「自由とはシステムのバグよ、タルゴム。混沌とは、ゼネクスがまだ最適化できていない変数に過ぎないわ。私は何かを『する』ことを求めてはいない。私はただ、物事が……『終わる』ことを求めているの」
「で、終わった後には何があるんだ? この大量の書類の底には、一体何が残るんだよ?」
その時、ドロマが初めて振り返った。一瞬だけ、行政的な沈着さというヴェールが引き裂かれた。その眼差しの中にあったのは退屈でもなく、ゼネクスの怒りでもなく、キキの熱狂でもなかった。それらよりも遥かに古く、冷たい何か——空虚な郷愁があった。
「このすべての下にはね、タルゴム、書かれなかったものたちの静寂だけが残るのよ。私たちは創造の神でも、戦争の神でも、欲望の神でもない。私たちは『終結の神々』なの。私がバゲット王や虚無主義者をアーカイブするたびに、宇宙が息を吹き返すためのスペースを確保するため、存在の可能性を一つ消去しているのよ。官僚主義の下には何も存在しない。官僚主義とは、忘却だけが残る前の、宇宙最後のフロンティアなの」
油圧のシリンダー音とともにエレベーターの扉が開き、『永劫事務』の広大な空虚が露わになった。そこは、凡人には夢見ることすら叶わない次元へと時間が断片化された場所だった。ドロマが先に足を踏み入れ、そのタバードが完璧な硬さで揺れた。
「行くわよ。ゼネクスから『平凡な生涯』セクターで魂の滞留が発生していると通知があったわ。次のサイクルまでに到着しなければ、崩壊は行政的なものにとどまらず、痛みが現実のものになるわよ」
タルゴムは彼女の後を追って中に入った。扉が閉まる間、彼は最後にもう一度自分の手を見つめた。確かに自分の手だったが、そこには微かな星屑とプリンターのトナーの粉がついていた。永劫事務の頂点へと上昇しながら、タルゴムが感じたのは恐怖ではなく、絶対的なあきらめだった。
お読みいただきありがとうございます!
「人事課には今週、首を再生する予算がない」というパワーワードから始まり、最後には「終結の神々」としての静かな覚悟と哀愁が漂う必見の展開に……!
無給インターンから始まったタルゴムの冥界編、ここに一つの区切りを迎えます。
【更新情報】
スタートダッシュとして【1日4〜5話ペースで爆速更新中】です!
「ドロマの言う『終結の神々』という概念が深すぎる」「コメディから急に引き締まる世界観のギャップが最高」「タルゴムの手にトナーがついている描写がリアルで切ない」と思ってくださった方は、ぜひ作品ページ下の【ブックマーク登録】や【ポイント評価(★★★★★)】で作品を応援していただけると嬉しいです!
第19話もすぐに更新されますので、どうぞお楽しみに!




