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家出少女の来訪 1

〜???視点〜


 ある日、私宛に一本の電話が来た。


「お忙しいところ申し訳ありません。私、芸能プロダクション『ヤマザクラ』の代表取締役社長、竹内と申します」


(あぁ、シロ様の事務所ね)


 突然の電話に困惑しつつも続きの言葉を待つ。


「本日、あなたの娘様にお仕事を依頼させていただこうと思い、娘様のマネージャーをされています、お母様に連絡させていただきました」

「どのような仕事でしょうか?」

「はい。以前、ウチの事務所に所属しているシロがモデルの星野ミクさんと合同の写真集を発売しました。売れ行きが好調なため、第2弾を検討しております。つきましては、あなたの娘様とウチのシロが一緒に――」

「その仕事ならお断りします」

「……え?」

「その仕事ならお断りしますって言ってるんです!」

「っ!」


 急に大きな声を上げたため、電話の向こうで驚いているのがわかる。


「なぜですか?」

「そうね。一言で言えば――」


 私はそこまで言い、天井を見る。


「私と同じようになってほしくないからよ」


 そう言って電話を切る。


「あの子には、私にできなかった輝きを手に入れてもらわないと」


 私は誰もいない部屋で1人呟いた。




〜日向真白視点〜


 ある日の夜遅く。

 俺の家の前に一台の車が止まる。

 その音に気付いた俺は窓から外を眺めると、ミレーユが使用している高級車だった。


(こんな時間にどうしたんだろ?)


 俺は気になったため、玄関に向かう。


 すると、タイミングよく玄関のチャイムが鳴ったため、玄関の扉を開けると…


「ぐすん……うぅ……シロ様ぁ……」


 涙を流しているミレーユがいた。




 事情がわからなかったため、母さんを呼び、ミレーユをリビングに招く。

 未だにミレーユさんは泣いている。


「真白くん、コレはどういう状況なのかしら?」

「わからん。俺が知りたい」

「じゃあ、聞いてくれる?」

「うっす」


 とのことで俺はミレーユに近づく。


「ミレーユ。どうしたんだ?」

「うぅ……お母様と喧嘩して……ぐすっ……家出しました」


(家出かぁ。いろいろと聞きたいことはあるが、とりあえず1番の疑問点を聞こうか)


「えーっと……なんで俺の家に来たんだ?」

「そ、それは、その……シロ様に会いたかったから……です」


 頬を少し赤らめ、涙目で言われる。


「そ、そうか」


(やべぇ、可愛くて庇護欲みたいなのが芽生えてくる)


 涙目のミレーユさんに対して、そんなことを思う。


「ミレーユさん、お母さんには私たちの家に来たことを伝えているの?」

「はい。使用人の口からおそらく伝わってると思います」

「そう。ならここに泊まっていいわよ」

「ホ、ホントですか!?」

「えぇ、夜も遅いし、喧嘩した時は一旦距離をとって、冷静になることも大事だと思うわ」


(さすが母さんだ)


「そういうわけだから、真白くん。桜を呼んできて」

「わかった」


 俺は急いで桜の部屋に向かった。




「なるほど。ミレーユさんは、お母さんと喧嘩して私たちの家に家出してきたんだね」


「あぁ。どうやらそうらしい」


 俺は先程までいなかった桜に事情を説明する。


「そういうことだから、しばらく桜の部屋にミレーユさんを泊めることにするわ。いいかしら?」

「もちろん!ミレーユさんとはライバルだけど、同い年だから仲良くなりたいって思ってたんだよ!」


(そういえばミレーユは俺の一つ年下だったな)


「ありがとうございます!」


 桜の言葉にミレーユが元気に感謝を伝えてくれる。


(俺たちと話しているうちに元気が出たようだな)


 そんなことを思っていると“ピンポーン”とチャイムが鳴る。


 そのため俺が玄関の扉を開けると…


「シロ様。お久しぶりでございます」


 大量の荷物と一緒に、ミレーユの専属メイドであるリンスレットがいた。




 俺はリンスレットをリビングに招く。


「リンスレット!どうしてここに!?」

「奥様に、お嬢様が友達の家にしばらく泊めてもらうことを伝えました。すると『ミレーユが迷惑をかけないようにサポートして』とのお言葉をいただきましたので、こちらへお邪魔させていただきました」

「そ、そう。お母様が家出の邪魔をしてくることはなさそうね」


 ミレーユがホッと安堵する。


「シロ様のお母様。私もコチラでお世話になってもよろしいでしょうか?」

「えぇ、問題ないわ」

「ありがとうございます」


 リンスレットが頭を下げる。


「じゃあ!ミレーユさんとリンスレットさんは荷物の整理をしよ!私の部屋に案内するから!」


 桜が元気よく2人を案内する。


 3人がリビングから出たところで母さんが話しかける。


「真白くん。女の子が泣いてたのよ。ミレーユさんを慰めろとは言わないけど、できる限りサポートしてあげてね」

「あぁ、わかったよ」


 俺は力強く頷いた。

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