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香織のお礼 1

 俺の歌声が全国放送された翌日。

 自分の下駄箱を開けると、今日も“バサーっ!”と大量の手紙が落ちてくる。


(相変わらずすごいなぁ)


 放課後に呼び出す内容は減ったが、『頭撫でて』等のお願いは減る気配がなく、俺はそのお願いにできる限り応えていた。


(応援してくれる人にはできる限りお礼をすると決めたが、ここまで長引くとは)


「なぁ、これっていつになったらなくなると思う?」

「さぁ?お兄ちゃんが手紙に書いてあるお願いを全て断ればなくなると思うよ?」

「終わりが見えねぇじゃねぇか」


 俺は諦めつつ、手慣れた手つきで手紙を拾い、カバンに入れる。

 そして教室に入ると一瞬で女子生徒たちに囲まれる。


「シロ様!昨日のドラマとても良かったです!」

「シロ様って歌が上手なんですね!」

「あ、ありがとう」


 家族以外に褒められたことで気恥ずかしくなった俺は、頬をかきながら感謝を伝える。

 そして少し雑談した後、ここ最近の日課である手紙を読み始めた。

 そして、今日も気絶者を続出させた。




〜涼宮香織視点〜


 今日は私が所属しているアイドルグループ『スノーエンジェル』のレッスン日。

 その休憩中にメンバーの1人である夏目梨奈から話しかけられた。


「昨日、ドラマでシロ様がスノーエンジェルのデビュー曲を歌ってたけど、上手すぎて驚いたよ」

「うん、私も初めてシロくんの歌声を聴いた時は驚いたよ。上手すぎて」


 昨日、シロくんがドラマの中で、私たちのデビュー曲をカバーしてくれた。

 そして、その効果は絶大だった。


「そうそう!SNS見た!?」

「見た見た!シロくんのおかげで、私たち有名人だよ!」


 昨日のSNSでは、シロくんの歌が上手すぎることに対して盛り上がると同時に…


『シロ様が歌ってる曲、すごく良き』

『スノーエンジェルっていうアイドルグループがあるんだ!初めて知った!』

『他の曲も聴いてみよ!』


 等々、私たちの歌とグループが注目されることとなった。


「一気に注目されたね」

「そうだね。聞いた話によると、シロくんが私たちのデビュー曲を歌うって決めたらしいよ。だからシロくんにお礼をしなきゃいけないね」

「身体で?」

「か、身体で――って、梨奈!」


 私は一瞬で顔を赤くし、梨奈を“ポカポカ”と叩く。


「あれ〜、顔が赤くなってるよ?もしかして、エッチなことでも想像したのかな?」

「そ、そんなことないよ!」


 私は否定するために、梨奈を叩き続ける。


(うぅ、少しだけ想像してしまった。でも、何かお礼をしなきゃだよね。うーん、何がいいかな?)


「ちょ、香織!痛い、痛いから!そろそろ叩くのやめてー!」


 そんなことを考えつつ梨奈の叫び声を聞いた。




 私は叩くのをやめ、改めて相談する。


「梨奈、何をすればお礼になるかな?」

「うーん、シロ様が喜びそうなことがいいよね。そうなると――おっぱい?」


 “ボコっ!”


「殴るよ?」

「もう殴ってるから!ってか、さっきのは1割くらい冗談だよ!」

「9割は本気だったんだ」


 という私のツッコミは軽く流し、梨奈が続きを話す。


「ここは日々、疲れているであろうシロ様を癒すことでお礼をしよう!」

「なるほど、それはいい案だね」

「でしょ!」


(確かに、シロくんはいつも仕事と学校で忙しいはず)


「うん!その案でいこう!で、どうすればいいの!?」

「香織、落ち着いて。まずはシロ様と予定を合わせないと」

「あ、そうだった!」


 私は慌ててシロくんにメッセージを送る。


 すると…


「日曜日の午後なら空いてるって!」

「わかった。ウチも空けておくよ!」

「梨奈には聞いてないよ!」


 ナチュラルに参加しようとしてくる。


「じょ、冗談だって。だから、そんな怒った顔をしないで」

「梨奈は冗談と本気が見分けにくいの!」

「まぁまぁ、落ち着いて。お詫びにこの場所を使うことを許可するよ」

「ホント!?」

「他のメンバーにもその日は使わないように伝えておくよ。だから、遠慮なくシロ様とイチャイチャしていいから」

「い、イチャイチャはしないよ!た、ただシロくんを癒すだけだし」

「けしからんおっぱいで?」


 “ボコっ!”


「殴るよ?」

「だから殴ってるって!」


 そんな感じで、日曜日にお礼を兼ねて、シロくんに癒しの時間を提供することとなった。




 そして、日曜日がやってくる。

 サングラス等で変装したシロくんを車で拾い、私たちがレッスンする建物に連れてくる。


「お礼なんて気にしなくてもよかったのに」

「ダメだよ!シロくんのおかげで私たちのグループが注目されたんだから、遠慮しなくていいの!」

「そ、そうか。それならお言葉に甘えるよ」

「うん!今日はたくさん癒してあげるからねっ!」


 そんな会話をしながら、以前、シロくんと歌の特訓をした部屋に案内する。


「着いたよ!この部屋でたくさんシロくんを癒やしてあげる!私がいろいろと準備してるから、期待しててね!」

「ありがとう、涼宮さん」


 シロくんから感謝の言葉をもらい、部屋の扉を開ける。


 すると、目の前の机にナース服と『香織だけが読むように!』と書かれた紙が置かれていた。


 そこには…


『中央に布団を敷いてあるから、そこでシロ様を癒すこと!ゴムは引き出しに入れてあるから!あとナース服は絶対着てね!』


「梨奈ぁぁぁぁ!!!!」


 私は大声で叫んだ。

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