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シロ様の歌唱力

 写真集が発売された日の夜、俺の家には神野さんが来ていた。


「夜分遅くにすみません」

「いえ、本日はどのような用事でしょうか?」

「はい!まずは本日発売の星野さんとの写真集が売り切れ続出となったため、増刷が決定しましたー!」


 パチパチパチと手を叩く神野さん。


「はぁ、おめでとうございます」


(へぇ、売れるんだな。俺とミクさんがイチャイチャしてるだけの写真集なのに)


「それに伴ってですね!なんと、イチャイチャカップル写真集第2弾の発売が決定しましたー!」


 またしてもパチパチパチと手を叩く神野さん。


「はぁ、おめでとうございます」


(へぇ、第2弾とかやるんだな。イチャイチャしてるだけの写真集なのに)


「そして!なんと、第2弾も日向さんに男役を担っていただくことになりましたー!」


 飽きずに何度もパチパチパチと手を叩く神野さん。


「いや、全く嬉しくないんだが」

「あれ?そこは『はぁ、おめでとうございます』と返答するかと」

「めでたくないんだよ!」

「まぁまぁ、私の話は最後まで聞いてください」


 まぁ落ち着けとジェスチャーをされる。


「もう、すでに楓先生からOKはもらってます」

「まさかの事後報告!」

「そうなりますが、落ち着いてください。第2弾はイチャイチャするお相手が涼宮さんかミレーユさんのどちらかとなります。引き受けたくなりましたか?」

「いや、全く。むしろ申し訳ない気持ちしかないです」

「はぁ、さすが日向さん。これだけじゃ引き受けてくれませんか」


 神野さんが困った表情となる。


「全く、何をやってるのかしら」


 そんなやり取りをしていると、リビングに母さんが入ってくる。


「楓先生。やはり、私には無理でした」

「えぇ、最初から見てたわ。どうやら真白くんを手玉に取るのはまだ早かったようね」

「すみません、お手数をおかけします」

「いいのよ、これくらい大した手間じゃないもの」


(俺の目の前で手玉に取るとか言ったらダメだろ)


 心の中でボソッとツッコむ。


「ねぇ、真白くん。第2弾が発売されるって聞いたわ」

「そうだな」

「そして真白くんがまた抜擢されたらしいわね」

「そうだな」

「それ、面白そうだからOKしておいたわ。感謝しなさい」

「どの辺に感謝しろと!?」

「あら、そんなこと言っていいの?よく考えて。今、SNSでは真白くんと星野さんがカップルになることを応援する人が続出してるわ。これだと誰に迷惑がかかると思う?」

「……はっ!」


 俺は言われて気づく。


「俺如きと恋人になることを応援されているミクさんに迷惑がかかってる!」

「さすがね。想像通りの返答が返ってきたわ」


 若干呆れつつ返答される。


「そう思うなら尚更受けた方がいいわよ」

「ん?なんでだ?」

「よく考えて。星野さん以外の女の子ともイチャイチャする。ということは――」

「はっ!星野さんに迷惑がかからなくなるのか!」

「………そういうことよ」


(なるほど!ということは引き受けなければならない仕事ってことだな!)


「わかりました!俺、この仕事引き受けます!」

「ありがとうございます!日向さん!」


(ふぅ、危なかった。母さんがいなかったらこの仕事、断ってたからな)


 そんなことを思い、安堵する。


 そのため…


「さすが楓先生です!」

「これくらい容易いことよ。でも相変わらず、何故そんな思考回路になるか理解できないわね」

「第2弾の女の子とも恋人になることを応援されると思いますが言わなくていいですね」


 母さんと神野さんの呟きを聞き逃していた。




 一方、その頃…


「んんーんん!んんーーー!!!」


(お兄ちゃん!ダメーーー!!!)


 両手両足を縛られ、口にガムテープを貼られた桜が、俺の部屋に転がっていた。




 あれから数日が経つ。

 今日は俺が出演しているドラマを視聴するため、家族全員がリビングに集まっている。


「今日はお兄ちゃんが歌を歌うところが放送されるんだよね!?」

「あぁ、今日の話で俺が歌っているところが出るはずだ」


 以前、母さんの策略――ではなく推薦によって俺がドラマの中で挿入歌を歌うこととなり、今日、俺の歌声が全国に届けられる。

 ちなみに、陰キャの俺でも知っている有名なJ-Popと、涼宮さんが所属するアイドルグループのデビュー曲を歌っている。


(涼宮さんと監督は俺の歌声を褒めてくれたが、視聴者の人たちはどう思ってくれるだろうか)


 不安になりつつ家族全員とドラマを見る。

 そして歌唱シーンが放送され、俺は桜たちに感想を聞く。


「ど、どうだった?」

「うん!お兄ちゃんの歌、とても良かったよ!」

「えぇ、私の思った通りよ」

「あぁ。プロ顔負けの歌唱だっぞ」


 桜たち3人が絶賛してくれる。


「そ、そうか。みんなから褒められると、嬉しいものだな」


(良かったぁ、問題ないようで)


 俺はそんなことを思いながら胸を撫で下ろした。




 その日のSNSでは…


『ちょっ!シロ様の歌声、ハンパないって!』

『イケメンで性格良し、それに歌唱力高いって何者!?神はシロ様にチート能力を与えすぎぃぃぃ!!!』

『これは今年の紅白歌合戦、シロ様登場だな。まだ今年、始まったばかりだが』

『シロ様の歌声を聞いてから、お姉ちゃんが固まって動かないんだけどー!』


 等々、絶賛する声と同時に、テレビの前で固まる人が続出することとなった。

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