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貧乏脱却少年は異世界で影に隠れて活躍する  作者: 神永ちろる


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懸賞金と怒りと猛烈な狩り

第9話 懸賞金と怒りと猛烈な狩り



畑仕事をしていたら、隣のカシムさんから声をかけられた。


「ミカエス、ちょっといいか?」


「なーに? カシムさん。」


ミカエスはカシムのところまで行って話を聞いた。


「この前君が狩ったジャイアントボアなんだがな、あれに実は懸賞金がかかっていたんだよ。」


「へー、そうなんですか。」


「それじゃ渡しとくよ。」


カシムは懐から金を取り出し、ミカエスに渡した。

よく見たら、それは小金貨2枚だった。


「えっ! こんなにいいの?」


「声が大きいよ。領主の兵士になりたいのか?」


「ごめん、つい驚いちゃって。」


「それにしても、小金貨1枚だったはずじゃなかったっけ?」


「それがな、あのジャイアントボアは体の傷や特徴があって、村の畑を荒らしていた懸賞金首だったんだ。」


「俺は狩人だからジャイアントボアを仕留めても問題なかったが、まさか懸賞金が後からもらえたからびっくりしたよ。」


そう聞いて驚いたが、これはこれでストレージに保管しておこう。

この金で借金返済と家賃、生活費など、あれこれ使えそうだ。


「でも、俺は知らなかったし、黙っていたら賞金があることはわからなかったよね。」


「ははは、賞金を俺がもらってどうするんだ? 後で絶対バレるし、何よりミカエスは俺の恩人だからな、仇で返すようなマネはしないよ。」


「ははは、それもそうだね。」


俺は、カシムさんは信頼できる人だと思った。


父さんの借金は、少しずつ返そう。

いきなり金貨を持っていったら、絶対に怪しまれるからな。


何食わぬ顔をして、いつも通り仕事をして生活をしよう。


午前中に畑仕事を終わらせてから、森に行って焚き木や水くみ、狩りなどをしようと思い、出かけた。


村の道を歩いていたミカエスに声をかける者がいた。


「よお、ミカエス。お前、最近稼いでいるんだって?」


振り返ると、村のいじめっ子のサラミーたち三人組がいた。


「ドキッ!」


確かにストレージには小金貨3枚と小銀貨数十枚などがある。


「何故俺が金を持っていると知った?」


「街で野菜を売っているのを見たって、村の大人が話しているのを聞いたんだよ。」


なんだ、そっちか……。ミカエスは安堵した。


「それで何の用だ?」


「ちょっと金を貸してくれよ。」


「金を貸せるほど稼いではいない。家は貧しいし、借金だらけだ。」


「まぁ、そう言うなよ。」


「この前、狩りした獲物を盗んで売ったら、バレてよ、金欠なんだ。」


「お前か! 子供が盗品を店に売って問題にしていたのは?」


俺は無性にサラミーたちに怒りを感じた。

村で狩りした獲物を買い取りできなくして、街まで売りに行く羽目になったのは、すべてこいつのせいか。


「そう怒るなよ。誰だってやってることだろ?」


「そんなことやるか! おかげで狩りした獲物を売れずに、街までわざわざ売りに行ったんだぞ!」


ミカエスは無意識に身体強化してしまっていた。


腕まくりしてサラミーに歩み寄る。


「ちくしょう、この前突き飛ばしやがったしな。やるか!」


サラミーたち三人もやる気を出して、ミカエスを睨んだ。


サラミーたちは一斉にミカエスを殴りつけた。


しかし、全身強化していたミカエスは攻撃をかわし、三人まとめて弾き返した。


一人は数メートル飛ばされて、塀のそばにあった桶に頭から突っ込み、伸びてしまった。


一人は木のところまで飛ばされてぶつかり、枝に引っかかった。


サラミーは派手に転がって、近くに置いてあったバケツに頭を突っ込んで倒れた。


「やべー、やり過ぎちゃった。」


そう言ってミカエスは森へ逃げ去った。


そして、身体強化の勢いで、猛烈な勢いで焚き木や水くみ、狩りなどをしまくっていった。


普段は鳥や魚やウサギくらいの狩りだったが、この日は鹿6頭、ジャイアントボア1頭を仕留めていた。


全身を身体強化して猛烈に狩りをしたせいで、やたらと疲れて帰ってきて、死んだように眠ってしまった。


翌日起きて、いつも通り仕事をしていたら、サラミーの親たちがやって来て、息子が大怪我をして帰ってきたと怒鳴り込んできた。


「うちの可愛い息子になにしたんだい?」


「うちの子は頭にでかいたんこぶをこしらえてきたよ!」


「うちの子は全身擦り傷だらけだよ!」


それぞれの親は、怪我をした子供を連れてきて見せた。


「三人で俺を殴りつけてきたから、払いのけただけですよ。」


「それに俺みたいな貧乏な子供から、金を巻き上げようとするんですよ。」


俺はどうせこうなると予測して、論理的な言い訳を考えていた。


「あんた、それは本当かい?」


「こんな小さくて痩せた子に金をせびって負けて、あたしに泣きついてきて! 恥ずかしい。」


「違うんだよ、かーちゃん。」


「しかも、三人がかりで、しょうもない子だよ。」


結局、俺の正当性が認められ、サラミーたちは帰って行った。


しかし、根性が曲がったサラミーたちが、また何かしてきそうな予感はしていた。


しかし、そんなバカ息子たちより、全身身体強化で体に疲労がたまる問題を何とかしたかった。


疲労しなければ、大変ありがたいスキルなんだが、もっと身体を鍛えないといけないのかもしれない。



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