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貧乏脱却少年は異世界で影に隠れて活躍する  作者: 神永ちろる


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仕事と村の子供達

第7話 仕事と村の子供達



ミカエスが朝、荷車を引いてオルフェスの街へ向かっていると、いじめっ子のサラミーと仲間の二人が待ち伏せしていた。


「おい、ミカエス。荷車引いて何処へ行くんだ?」


「俺は忙しいから、お前の相手はしてられん。」


サラミーはミカエスの荷車を押さえ込んだ。


「はなせよ、俺は仕事に行くんだから。」


「フフフ、お前みたいな良い子ぶってるのを見るとかまいたくなるんだよな!」


サラミー達はミカエスよりも体格がよく、三人の力で押さえ込まれたら、どうにもならなかった。


「このままでは、市場で売る時間が少なくなる。」


さらにしつこくサラミーは荷車を押さえ込んだ。


「仕方ない。」


ミカエスは両足を身体強化した。


「ぐわっ!」


ミカエスの身体強化で、サラミー達は吹っ飛ばされてしまった。


「ダダダダダダダダッ!」


遠のく荷車とミカエス。


「くそっ! 覚えてろよ!」


サラミー達は悔しがって叫んだ。

オルフェスの街へ行くと、前回と同じように野菜と水と獲物の下処理品を並べた。

今回は獲物と水を多めに用意した。

水はタダだし、普段使うし、いくらあっても無駄にならない。


「坊や、水をありったけくれ。」


と言われたときには、ちょっと返答に困った。

ストレージには40樽はあるが、お客さんの目の前で出せば、能力持ちだと噂になってしまう。


「4樽ほどですが、よろしいでしょうか?」


「ああ、いいよ。」


「俺は力がなくて持ち上がらないから、お客さんが運んでよ。」


「分かってるって。」


お客さんは陽気に一樽ずつ馬車の荷台に水樽を運んで乗せていった。


「あら坊や、今日も野菜売りの店番なんだね。」


俺、見た目は子供でも、中身はおっさんなんだけどね。


「いい子いい子。」


おばちゃんはミカエスの頭を撫でた。この前も野菜を買ってくれたし、嫌だけど我慢しよう。


「おばちゃん、今日はジャガイモかい?」


「そうだね~、ジャガイモとラディッシュと、鶏肉もらおうかね。」


「はい、まいど。一つオマケね。」


「あら、ありがとね。また来るわ。」


おばちゃんは代金を渡して、別の露店を見に行った。

トラックでもあればなぁと思った。あちこち移動販売がやれるのに。


あ、能力を使えば移動販売もできるな。

今度やってみようかな。

この日は小銀貨18枚と大銅貨4枚と小銅貨21枚ほどの売上だった。


手際よく片付けて、裏路地に入って荷車をストレージにしまった。

そして、母親の薬とナイフとショートソードを買った。

ナイフは調理にも縄を切るのにも使えるから欲しかったので買った。


ショートソードは護身用に買っておいた。


魔物や悪人にも使えるし、持っているだけで安心できた。

そして、暗くならないうちに帰ることにした。

街の門のあたりに、どこかで見たような子供が立っていた。


確か道具屋の娘だったかな。8歳くらいの子供だった。


「よう、ミリーだったっけ? どうした?」


「うん、親とはぐれちゃって、それで……。」


「そうか。俺、村へ帰るけど、一緒に行くか?」


「うん、ありがとう、お兄ちゃん。」


俺はミリーと一緒に村へ向かった。


「お兄ちゃんは何で街へ来たの?」


「野菜を売って、母の薬を買いに来たんだ。」


「ふーん。」


ミリーと色々と話をして帰った。

街のことや村のこと、家族のことなんかを話した。


「ははは、ミリーの家族は道具屋なのに、他の店から道具を買っていたんだ。」


「うん。道具屋なのに変だよね。」


などと話に夢中になっていて、警戒しなかったのがまずかった。

昨日の金を奪い取ろうとした男がすぐ後ろにいた。


「おい、ガキ。昨日も今日もけっこう稼いだな。ちょっと売上を見せてみろよ。」


「俺みたいな子供から、奪うのかい?」


そう言うと、男の表情が怖い顔になった。


「いいからよこせよ!」


男が俺の腕を強引に掴んだ。


「いてー、はなせ!」


俺が男にそう言ったが、男はミカエスの腕を放さなかった。

そして、男の片方の手が俺の懐へと伸びていった。


「ちょっと、お兄ちゃんから手を放して!」


ミリーが男の手を引っ張った。


「うるせー、このガキ!」


ミリーは数メートル先に飛ばされた。

俺はミリーを助けようとして、咄嗟に全身強化を使ってしまった。


男の腕を引き剥がし、ぐるぐると振り回してから投げ飛ばした。

投げ飛ばした先には木があって、男は頭をぶつけて倒れた。


ミリーを抱きかかえると、俺は全力で走り去った。

村まで来ると、ミリーの家まで行って送り届けて、見えない場所でストレージから荷車を出して家へ帰った。

全身強化をすると、かなり体力が消耗してしまい、帰ったあとで疲れてすぐ寝てしまった。


せっかくショートソードを護身用に買ったのに、結局使わなかった。


まぁ、全身強化が試せて、悪い大人を簡単に投げ飛ばすことができるのが分かって良かったと思う。



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