追求とごまかしと新たな借金
第5話 追求とごまかしと新たな借金
ミカエスは家賃滞納問題を解決するために、狩りをやって換金し、その金で払おうとした。
しかし村にある店に獲物を持っていくと、未成年からは買い取りできないと断られてしまう。
隣に住む元冒険者カシムに獲物を買い取ってもらい、家賃滞納問題は解決する目処が付いたのだった。
「おい、ミカエス。獲物を買い取るのはよいが、毎回毎回、獲物の数が多くないか?」
「ドキンッ!」
「いや〜、俺は狩りの才能があるかもしれないかな?」
「ふ〜ん。」
「どんなやり方で狩りしてるんだ?」
「えっと、いろいろかな、罠とか投石とか。」
「それにしては、獲物の傷がこう、綺麗な感じなんだよな。」
カシムはミカエスの狩りでの獲物の数や、狩りの仕方が気になっていた。
子供が毎回10匹以上も鳥やウサギを仕留められるとは思えなかった。
「ちょっと用事を思い出したから、またねー。」
カシムさんが怪しんでいたから、とりあえず帰った。
しかし家に戻ると、姉のマリナにあれこれ聞かれた。
「ミカエスはどうやって家賃を払えたの?」
「今日、大家さんに会って、家賃を払おうとしたら、ミカエスがほとんど払ったって言ってたよ。」
「あー、それは、狩りとかして獲物をカシムさんに買い取ってもらったんだ。」
「へー、そういえば、最近は魚や鳥をよく獲ってきて食べさせてくれたね。」
「あんた、最近、狩りであたしより稼いでない?」
「ドキッ!」
「俺、狩りの才能に目覚めたかもしれないな。あははは。」
「へぇ~、10歳の狩人か。」
「でも、家賃滞納で困っていたから、助かったよ。」
金の出どころを疑われたが、結果的には家賃を払って姉に感謝されてしまった。
最近は家賃滞納問題で、張り切りすぎた。また、しがない貧乏少年に戻って生活しよう。
あまり目立ちすぎるのは、よくないからな。
ミカエスはしばらく狩りをしても、ストレージに入れたままにした。
◆
しばらくは、そんな目立たない生活をしていたら、珍しく父親が帰ってきた。
しかも食い物や金を持ってきたから、家族は驚いた。
「あなた、そのお金は一体どうしたの?」
病気の母親も驚いて、ベッドから飛び起きてきた。
「はははは、驚いたか。今度、炭鉱で働くんだよ。」
「そして、これがその前金だ。」
テーブルの上に、革袋に入った銀貨をぶちまけた。
小銀貨の数が100枚はあったように見えた。
「うわぁ~、凄い銀貨だ。」
俺は思わず呟いた。実際に数えたら、小銀貨120枚だった。
「あなた、こんな大金を先にくれるなんて、大丈夫なの?」
「大丈夫だ。ちゃんと契約書の控えももらってきたしな。」
「ちょっと見せなさい。」
母親は文字が読めた。だから契約書の内容も確認できる。
「あなた、危険な炭鉱で、向こう8年間、住み込みで働く契約書よ。オマケに事故があっても、保証はしないって書いてある。」
「えっ? 楽して稼いで、8ヶ月じゃないのか?」
ロンデは青い顔をして、サビーナに聞き返した。
「炭鉱はとても危険で、重労働よ?」
「あなた、騙されてない?」
そこに男たちが入ってきた。
「フフフ、ロンデさん、別れは済んだかね?」
「あんたたちは?」
「ロンデさんと契約した仕事斡旋人さ。」
「金は払ったんだから、さっさと炭鉱へ行きましょうや。」
二人の強そうな男が、ロンデの両腕を抱えて連れ去った。
「あら、まぁー。」
母親は契約書を、声を出して朗読してくれた。
「これを契約し、解約するためには契約金額の3倍を払うものとする。」
「うわぁ~、小銀貨360枚かよ!」
思わず俺は言ってしまった。
「何で学校も行かない、あんたが計算できるの?」
母が疑問に思って言った。
「そうね、しかも計算が当たってるし。」
姉までが不思議がっていた。
「ああ、あれだよ、ほら、あれだ。」
俺は適当な言い訳を考えた。
「教会の牧師さんに習ったんだ。」
「あはは、計算わりと得意なんだ〜。」
「それよりも、父さんの炭鉱労働を解約するための資金をどうするの?」
「そうだね、そっちが大事だったわ。」
「二人で、このお金と契約書を持って、村長さんに事情を説明して解約してもらってきなさい。」
「うん、分かった。」
俺と姉は父親の炭鉱労働を解約するため、村長に言って金を借りることにした。
「しかし、あのロンデはろくな事しないな。」
「父親が8年間不在で、母親が寝たきりじゃ、子供達は全滅しかねない。」
「領主様から、餓死者などを出さないように言われてるからな、仕方なく金を貸すんだ。」
「金を貸す証文に、とりあえずお姉ちゃんの血判を押してもらう。」
「あとで、ロンデの奴に証文を作り変えるから、必ず奴を連れてくるんだぞ?」
「分かりました。」
「解約金は貸してやるから、後できちんと払うようにロンデに言っておいてくれ。」
村長は渋い顔をして、銀貨の入った革袋を姉に渡した。
「ありがとう、村長さん。」
「それじゃ、すぐに行って解約金を払ってくるよ。」
借りた金と契約書の控えを持って、父親の後を俺と姉は追いかけていった。
こうして予期せぬ問題で、また借金問題が発生してしまった。
また俺と姉で稼いで、借金を払っていかねばならなかったが、父親が連れて行かれなくて本当に良かった。
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