家賃滞納問題と獲物現金化
第4話 家賃滞納問題と獲物現金化
能力の使い方はわかったし、一日の仕事に余裕ができ、狩りで飢餓状態を脱却した。
しかし、次なる問題がやって来た。
「ドンドンドンドン!」
「ロンデさん。」
「ドンドンドンドン!」
「ロンデさんいるなら開けてください! 大家です。」
仕方なく俺は戸を開けた。
「すいません、父親は留守でいません。」
「じゃあ、奥さんは?」
「母は病気で寝ております。」
「それじゃ、お姉さんは?」
「姉は、仕事へ行ってます。」
大家さんは帳簿と集金袋を持って、難しい顔をして立っていた。
「うーん。」
「じゃあ、ロンデさんが帰ったら、滞納してる家賃を払うように伝えてね。」
「滞納分も払わないと、出ていってもらうからね!」
そう言って大家さんは、ブツブツ言いながら帰って行った。
うわぁ~、家賃ってそんなに溜め込んだんだ。
「これは、まずいなー。払わなきゃ追い出される。」
俺は考えた。
父親はまず稼いで来ない。母には言わない方がよいかな。
姉が頼りだが、そんなに稼いでないだろう。
俺が何とかするしかないな………。
「はぁー。」
俺は深いため息をついた。
俺は狩りで取った獲物を、村の店に売りに行った。
「この獲物を、買い取ってほしいんだ。」
俺は鳥やウサギをカウンターに置いて、店主に見せた。
「これ全部、お前が取ってきたのか?」
俺は頷いた。
「しかしな、子供のお前からは買い取れないな。」
「どうして?」
「それは前にな、ちょっとあったんだよ。」
「悪い子供が獲物を盗んできて、買い取ったはよいが、後から盗品だと知って揉めたんだ。」
「だから子供からは買い取れない決まりなんだ。」
「そうなんだ。」
「すまんな。売るならロンデと一緒に来なよ。」
俺は納得はしなかったが、買い取れないなら仕方ない。
後はオルフェスの街に行って、冒険者ギルドで買い取ってもらうしかなかった。
そういえば、お隣のおじさんが元冒険者だったな。
街に行く前に、いくらになるか一応聞いてみよう。
自宅の隣のカシムさんの家を訪ねた。
「おーい、カシムさんいる?」
話しかけたが、返事はなかった。
留守かとは思ったが、聞こえないのかもしれないから、ドアを開けてみた。
鍵はかかっていなかったので、すんなりドアは開いた。
「ギィィ。」
「カシムさんいる?」
「ぅ……。」
微かだが声が聞こえた。
俺は恐る恐る中に入って様子を見たら、奥の部屋のドアの隙間から、ベッドにカシムさんが寝ていたのが見えた。
「あれ、どうしたの?」
カシムは少し目を開いて、俺を見て言った。
「どうやら、風邪で熱を出したようでな、身体が辛くてどうしようもない。」
「なるほど、じゃあ解熱する薬草を取って来てやるよ。」
「うっ、すまない。」
「あと麦粥を作ってくるよ。」
以前、父親と薬草を取ってきた記憶があった。
たぶん、あの場所へ行けば、また薬草が見つかるかもしれない。
森の近くに生えている、青い花の草を探した。
「あった。鴨跖草だ。」
たんぽぽやドクダミも薬になるんだっけ。
生だと水分で薄くなるから、たくさん取って刻んで煎じてみようかな。
薬草を摘んだあとに自宅へ戻り、麦粥を作り、薬草も小さく刻み込んだ。
薬草は普通、乾燥させてから煎じるが、でもすぐ必要だから、生のまま土瓶に水と一緒に入れて煎じた。
煮立たせてから、余分なカスを取り除いたら完成だ。
しかし、見るからに苦そうで不味そうな薬だった。
そして、麦粥と薬をカシムさんに持っていった。
薬を飲ませ、麦粥を食べさせた。
「すまないな、しばらく寝るよ。」
そう言ったので、俺は家に戻った。
母にも麦粥を食べさせた。
残った麦粥は弟達に全部食べられてしまった。
仕方なく、俺は水をいっぱい飲んで寝た。
◆
翌朝、カシムさんに会いに行ったら、熱が下がっていた。
「お、熱下がったね。」
「ああ、君の薬草のお陰だな。」
「ははは、母の病気のせいで、薬草の知識が役に立ったよ。」
「また、麦粥を作ってくるよ。」
「すまない、恩に着る。」
そうしてカシムさんの世話を何日かしていたら、すっかりと回復した。
「ありがとう。もう世話しなくても大丈夫だ。」
「君が来なかったら、危なかったかもしれない。」
「ははは、救えて良かったよ。」
「ところで、何でやって来たんだ?」
「そうだった!」
「獲物の現金化をしたかったから、聞きにきたんだよ。」
カシムに今までの経緯を話した。
「なんだ、そんなことなら、俺が買い取るよ。」
「本当?」
「ああ、今は冒険者は引退して、狩人みたいな者だからな。」
俺の獲物はカシムが買い取ってくれて、それで家賃を少し払った。
あんまり優秀な狩りができると、領主に目をつけられて兵士にされてしまう。
兵士になると家に帰れなくなり、家族の面倒ができなくなるから、小出しに家賃を払っていった。
「ロンデより坊主の方がよっぽど頼りになるな。」
「しかし、どうやって金を稼いだ?」
「作物を売ったり、魚や鳥や薬草をカシムさんに買い取ってもらったんだ。」
「なるほど、お前はなかなか賢いな。」
大家さんは俺の頭を撫でて帰って行った。
誤魔化したが、まったく嘘ではないし、家賃も払えた。
姉にも頼らず、これでしばらくは暮らして行けそうだ。
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