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貧乏脱却少年は異世界で影に隠れて活躍する  作者: 神永ちろる


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狩りで飢えを解消と新たなスキル

第2話 狩りで飢えを解消と新たなスキル



身体強化スキルのおかげで、日々の生活は格段に楽になっていた。


腕力のない子供にとって、水くみや薪割りは重労働だ。


畑を耕すのも、子供の腕力では土を深く耕せない。


「せめて牛や馬がいて、耕せたらよいんだけどな。」


「ミカエス、精が出るな。」


振り向くと父親のロンデが歩いていた。


「どこ行くの?」


「ちょっと出稼ぎに行くんだ。」


「あとを頼んだぞ。」


「分かったよ。無理しないでね。」


父親のロンデは悪い人間ではない。怠け者でもないが、仕事をやっても失敗して長続きしないだけだ。


あれで博打や酒をやらなかったら、もっと好きになれるんだけどな……。


出稼ぎしても、また酒と博打で消えていくのか……。


早く大人になって、ガッポリと稼ぎたいな。


◆


朝起きると鶏を小屋から出して、小屋の掃除と卵を回収する。


牛小屋も掃除とか餌やりをしていたけど、もう1頭もいなかったんだっけ。


「次は水くみと薪割りだな。」


水が染み込んだ桶や釣瓶は予想以上に重たいし、薪も都合のよいサイズに切られているわけではない。まずはノコギリで適当な長さに切ってから、薪割りをする必要があった。


時代劇などでは、ただ薪を割っている場面をよく見かけるが、実際はあんなに楽なものではない。


調理や風呂焚き、暖炉など、大量の薪が必要になる。しかも、湿った薪は煙が酷く、目に染みて痛い。涙まで出てくる始末だ。


「ゲホン! ゴホン!」


竈に火を入れて、スープ作りをしなくてはならなかった。

母が病気になる前は、全部やってもらっていたんだけど、今は俺がやるしかなかった。


煉炭や炭ならまだよいが、薪は煙が厄介だった。


それに、現代人の俺は火打ち箱なんて使ったことがない。


マッチもあったが、普段はライターで火をつけるのが当たり前だったからだ。


火打ち箱には火打ち石が入っていて、カチカチと擦るように叩くと火花が飛び散る。


その火花を炭の粉に散らし、炭が赤くなったらワタなどを近づけ、息を吹きかけて、ようやく小さな火を起こせる。


これには、かなり苦戦した。


まだ、キャンプで使うマグネシウム棒とギザギザの鉄板を使った着火のほうが簡単だ。


あと、水洗トイレと温水洗浄便座が恋しかった。


それでも、薪を使って調理するのは楽しかったし、できあがった料理も美味しかった。


(はじめのうちは。)


食事は、水のように薄いスープと、かまどで焼いた発酵していないナンのようなパン。


味付けは塩のみだ。


バターやチーズも存在するが、うちでは貴重品だった。


「ねーちゃんはパン焼くの上手くなったな。」


「あんたもスープ作りが上手くなってるよ。」


二人で朝食を作りながら、ニタニタ笑いあった。


砂糖も家にはない。


痩せた牛が一頭いたものの、あまり乳は出なかった。しかも、俺は乳搾りが下手だった。


あまりにも下手なので、よく牛に蹴られたものだ。


その牛も、家賃が払えなくなると家から消えてしまった。


「牛がいた頃には世話が大変だったけど、いざいなくなるとバターやチーズも作れなくなって寂しいね。」


「それは言わない方がいいわよ。母さんがまた泣いてしまうから。」


「うん、ごめん。」


とにかく、薪割りに水くみ、畑仕事と、やることは山ほどある。


畑ではラディッシュ(二十日大根)をよく育てて食べた。本当に二十日くらいで収穫できるのはありがたい。


ただし、生で食べると辛かった。


ほかにはカラスムギやライ麦やジャガイモも育てていた。


こちらは作付けすると、あとは草刈りがメインかな。

追肥と土寄せをしないとジャガイモの収穫量が減ってしまう。


麦は水はけをよくしてあげて、肥料をやらなくてはならない。あとは害虫駆除くらい。


身体強化のおかげで時間に余裕ができたので、薪集めだけでなく、魚取りや小動物の狩りにも挑戦することにした。


身体強化で指を弾くと、波動が飛んで鳥を仕留められる。


「枝に停まっている鳥に狙いを定めてー。」


「撃つべし!」


「なんか俺ってハンター向いてるかも?」


今日はもう5羽目だ。


また、木を削って作った槍を使い、魚を捕まえることもできた。


こうして、飢えで苦しんでいた家族を救うことができたのだ。


「えっ? 今日もこんなに鳥や魚を獲ってきたの?」


母はベッドに横になりながら、こっちを見て驚いていた。


「うん。俺って狩りとか上手いでしょ。」


「にーちゃん凄い。」


「にーちゃん、お腹すいた。」


「ははは、すぐ支度するな。」


毎日、暇さえあれば狩りに行った。

家族は喜んでくれたし、俺も腹を満たせた。


さらに嬉しいことが起こった。


焚き木や木の実を集めたり、鳥や魚を捕まえたりしているうちに、荷物がどんどん増えていった。


大荷物を運ぶのも大変だと思っていたところ、なんとストレージ能力が使えるようになったのだ。


このストレージ能力は、いくらでも荷物を収納できる。


試しに、熱いお湯を入れた器をストレージにしまい、1時間後に取り出してみた。


すると、まだ熱いままだった。


つまり、ストレージの中では時間が停止する仕組みらしい。


これなら、焚き木集めや狩り、食料集めがさらに楽になる。


木の槍や投擲用の小石など、普段から使えそうなものも整理して収納しておいた。


俺の身体強化とストレージ能力は、まさに素晴らしいものだった。


この二つの能力は、俺自身を助けてくれただけでなく、家族の命も救ってくれたのだ。




ここまで読んでいただきありがとうございます!

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