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貧乏脱却少年は異世界で影に隠れて活躍する  作者: 神永ちろる


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不幸な人生の末路と転生

第1話 不幸な人生の末路と転生



不破次郎はどこにでもいる普通のサラリーマンだった。

あるとき親に騙されて、遺産相続したのが、どうしようもない山や人里から離れた価値のない土地だった。


はじめは土地を相続して喜んで手続きしたが、山に面する住民から、「木や葉が邪魔だ!」とか「斜面から落石があるからなんとかしろ!」などと言われて対応し、逆に貯金を使い果たした。


兄の一郎は、土地の面積が次郎より小さいが、駅や商店などの立地条件のよい土地をもらった。

そして後で兄や父親の企みだと知って憤慨した。


「くそっ! 何も知らなかったから、負の遺産を相続してしまった。」


オマケに台風などにより、山が土砂崩れを起こし、賠償問題へと発展した。

裁判で負け、賠償を払うため無理して働き続けていたら、過労であっけなく死んでしまった。


「何で、俺は悪いことなんてしていなかったのに……。」


「今度生まれ変わったら、もっと豊かな人生を送って幸せになってやる!」


と思って永眠した。



◆



転生して、生まれ変わったら、貧乏農家の子供だった。

家はボロい貸家で古ぼけていた。家の中には暖炉、薪、鍋、食器、煤けたランタン、水瓶、テーブルと椅子、あとはベッドくらいだろうか……。


着ている服もツギハギだらけだし、酷い有り様だった。

父親のロンデは博打好きな飲んだくれで、家族思いだが、不器用で失敗だらけだった。ろくに働かないで酒に逃げていた。


母サビーナは頑張り屋で身体が弱く、働き過ぎて病気になっている。


姉マリナ13歳は宿屋の食堂で働いて稼いでいたが、村の安宿で低賃金だった。


俺の名前はミカエスだ。長男だったが、まだ10歳の男子。前世の記憶は残っていたものの、特に能力はない普通の少年だった。


弟カースは7歳。

妹ミースは5歳。


家は貧しい農村の貧乏な農家だった。畑や家畜もいたが、父親がろくに働かないから、畑は荒れていた。


母も病気で働けないし、姉も働きに行ってしまったので、俺がやるしかなかった。

朝早く起きると家畜を庭に出して、家畜小屋の掃除や餌やりをした。


その後は水くみと薪割り、食事は残り物か、あとは飯なしだった。

畑といっても種まきや水やりをやり、あとは草刈りくらいだった。


さらに収穫物を増やそうとして、空き地を開墾したが、腕力不足でろくに耕せなかった。


「前世も不幸だったが、現世も不幸だ。」



◆



ある日、朝の薪割りを頑張っていた。

節があって子供だったから腕力もなく、なかなか割れなかった。


「これは無理だから、節を避けて割れやすい繊維に沿って割るか。」


知恵を使ってなんとか割れたが、体力もないし、お腹が空いていて力も入らない。

仕方なく身体のしなりや勢いを利用して割っていく。

するとだんだんと身体の使い方がわかり、次第に身体能力が上がった。


そして身体強化という、新たな能力が開花したのだった。

この身体強化は身体の一部を強化して、並外れた力を一時的に発揮させる能力だった。


これにより、薪割り、水くみ、畑仕事を楽にこなせた。

発動回数は5回で持続力は15分だったが、仕事と狩りには十分に使えた。


こうしていつも腹を空かしていた家族に、小動物の肉を出せるようになった。

焼き魚の串焼きや鶏肉の串焼きがテーブルの皿に置かれていた。


木苺、山菜、山芋、木の実なども並んでいた。

普段はそこら辺に生えている草と木の実や麦粥か、薄いスープくらいと決まったメニューくらいだった。


「たくさん獲ってきたから、みんなで残さず食べてくれよ。」


ミカエスは笑いながら、今日森で獲ってきた魚や鶏肉を家族に勧めた。

父親のロンデは、黙って焼き魚を食べ、酒を飲んでいた。

母と姉だけは、この料理を見つめているだけで、食べようとはしなかった。


「ミカエス、この獲物は一体どうしたの?」


母や姉は不思議そうに言った。


「まぁ、森に行って頑張って狩りしたら獲れちゃった。」


「凄い、ミカエスは狩人向きなのかしら。」


母はミカエスを抱きしめて言った。


「母さん、恥ずかしいから、放してくれよ。」


「フフフ、恥ずかしがるなんて、まだ10歳なんだから、もっと甘えていいんだからね。」


そう言ってミカエスを抱いて頭を優しく撫でた。


「そうね、この子ったら、いつも大人びていて、子供っぽさがないんだから。」


姉マリナは弟のミカエスを、子供らしくないと思っているらしい。

実際に俺の中身は中年のままだし、子供らしくはないと自分でも思っていた。


弟カースと妹ミースは、骨付き肉に夢中になってしゃぶりついていた。


その隣に父親のロンデは、酔っ払って酒の入った瓶を抱いて気持ちよさそうに寝ていた。


貧乏で働き詰めで辛いことだらけだけど、こうして家族が暖炉の前に揃って食事するのが、ミカエスにとっては何よりの幸福な生活だった。



ここまで読んでいただきありがとうございます!

もし少しでも続きが気になると思っていただけたら、ブックマークや評価【★★★★★】で応援していただけると嬉しいです!

すごく励みになります!



転生物を書いてみました。こちらは毎日投稿ではなく、不定期に投稿しようと思います。

何故毎日投稿しないかというと、時間に余裕がなく作品が荒くなるのと、睡眠時間が少なくなるからです。

ついつい、もっと書きたいと思って深夜の2時とかまで頑張って朝6時に起きれなくなるのです。


この作品はじっくり書いて育てていきたいですね。



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