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貧乏脱却少年は異世界で影に隠れて活躍する  作者: 神永ちろる


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ミカエスは不当契約暴き影で活躍する

第11話 ミカエスは不当契約暴き影で活躍する



父親ロンデは、多大な借金を作って帰ってきた。

もしも返済期日までに返済できない場合には、ロンデの娘を引き渡す契約を結ばされていた。


この契約は不当だとミカエスは思った。


第一、やる気のないロンデにカード博打をさせた。


第二、博打をやめると言っても聞かず、酒を飲ませ続けた。


第三、酒に酔った酩酊状態での契約。


これは悪質な契約であり、ロンデは罠に掛かったと予想した。


翌日の朝、父親ロンデから、より詳しい情報を聞き出した。


カード博打のメンバーは、ガルボ、ギゼ、ラルバの三人組だった。


酒場の場所と名前は、オルフェスの街にあるラミレスの酒場だった。


父親ロンデを説得し、まずは隣のカシムさんのところへ行って話を聞いてもらった。


「えっ! 酒を飲ませてカード博打で借金させられた?」


カシムに契約書を見せてから、ミカエスは説明した。


「……ということで、これは不当な契約書だと思ったんだ。」


「確かに、そのやり方は酷いな。」


「しかし、契約書に日付、名前、サイン、借りた金額や条件などがあるしな。無視はできないな。」


カシムは契約書を眺めながら、何か考えていた。


「不当だと分かるような証拠がないと、これはどう見ても問題ない契約書だ。」


「これから、三人で街へ行って証拠を探そうか。」


「えっ、カシムさん、いいの?」


「ああ、ミカエスには借りがあるしな。」


「ありがとう。」


こうして、ロンデ、ミカエス、カシムの三人で、オルフェスの街へ向かった。


三人は街に着くと、ロンデの行きそうな場所へ行って、聞き込みを開始した。


街でよく見かける衛兵に聞いてみたら、こんなことを言っていた。


「ガルボ達か、あいつらまた何かやったのか?」


「最近あいつらが、金を巻き上げたりして苦情が来ていたな。」


ミカエスが契約書を衛兵に見せて説明した。


「そのやり口だ。そうやってカモを見つけては、金を巻き上げたりしているらしい。」


「しかし、証拠がなければ、こちらも捕まえることはできないな。」


衛兵はそう言っていた。


日雇い仕事斡旋所へ行って、ガルボ達のことを聞いてみた。


「あいつらは、最近ここには来ていないな。」


「ここに来ていた頃は、三人で何か悪そうな話をしていたな。」


「事務員さん、それはどんな話ですか?」


「ん? 誰の子だ?」


「あはは、うちの息子でして。」


「なんだ、ロンデさんの子供か。」


「子供は大人のことに首を突っ込まないのがいいな。」


「いや、これには事情がありますから。」


カシムがこれまでの経緯を話して聞かせた。


「そうか、それはすまなかったな、坊や。」


「あの三人は、カモをカードに誘って、酒を飲ませるとかなんとか話していたな。」


「気を悪くすると思うが、ロンデさんはカモにされたと思うよ。」


「うう……。」


ロンデは悔しそうにうつむいて、唇を噛んだ。


それから街のあちこちの酒場に行って聞き込みをしてみたら、似たような話がゴロゴロと出てきた。


最後にロンデが飲んでいた酒場に行って、マスターに聞いてみた。


「やぁ、ロンデさん、まだ開店前だから、夕方にまた来てくれよ。」


マスターは酒場の掃除の手を止めて言った。


「いやいや、飲みに来たんじゃないよ。実はこの件で、やって来たんだ。」


ミカエスが契約書をマスターに見せた。


「ああ、あいつらか。最近その話をよく聞きに来る人がいたな。」


「ん、誰か来たのか?」


カシムは疑問があったから、マスターに聞いた。


「街の衛兵が聞き回っていたのさ。」


「なるほど。」


「質問があるのですが、いいですか?」


「この子供は?」


マスターがロンデに聞いた。


「すいません、俺の息子です。」


「俺の契約書が不当だと言って聞かないんですよ。」


「ほう、それは感心な子供だな。」


「偉いぞ、坊や。」


マスターはミカエスの頭を撫でた。


「マスターは、父さんが無理やりカード博打に参加させられて、酒を飲まされていたのを目撃したんですよね?」


「ああ、見たよ。ベロンベロンになるまで強い酒を飲まされて、カード博打で負けて契約書にサインさせられていたな。」


「やっぱり。」


「これで状況証拠や目撃者がそろった!」


ミカエスはこれでロンデの不当な契約書を無効にできると思った。


マスターに聞き込みしたあと、衛兵の詰所に行って経緯を話して聞かせた。


「その件は現在調査しておりますので、またしばらくしたら来てください。」


などと衛兵から言われた。


仕方なく三人は村に帰ろうとした。


しかし、行く手にはガルボ達が待ち受けていた。


「俺達のことをあちこちで探っていたようだな?」


「そんなことをやっていないで、金の工面はできたか?」


ニヤニヤ笑いながら、ロンデを見て言った。


「その件でちょっと話がある。」


ロンデはきっぱりとそう言った。


ガルボ達はロンデの態度を見て、場所を変えようと、裏路地へ皆を移動させた。


「それで、ロンデの話って何だ?」


「お前達はあちこちの酒場で、酒を飲ませてカード博打で借金を背負わせているそうだな?」


「それがどうした?」


ガルボ達は開き直り、悪びれもせずロンデを見下すような態度だった。


「だから、お前達の借金は不当契約だ。」


ロンデはきっぱりとそう言った。


「なんだよ、その態度は?」


「借金を作って踏み倒す気か?」


「出るところに出てもいいんだぜ!」


ガルボ達はますます態度が悪くなって、ロンデを威圧しだした。


「このヤロー、痛い目に遭わねぇと分かんないみたいだな。」


ガルボはロンデの胸ぐらを掴み、殴りかかろうとした。


しかし、カシムがその手を押さえた。


「なんだ、テメーは?」


「まぁ、話し合いで解決しないか?」


「何が話し合いだ! 構わねぇからやっちまえっ!」


3対2の殴り合いになってしまった。


俺は咄嗟に手を身体強化して、カシムさんや父さんを指弾きで支援した。


「パシッ!」


「いてっ!」


「パシッ!」


「うっ!」


「パシッ!」


「痛え! なんだ?」


それでもガルボ達は暴れ出し、裏路地から通りまで殴り合いの場が広がっていった。


俺は素早くガルボ達と距離を取って、連続指弾きをやった。


「あの小僧が石か何か投げてるぞ!」


「小僧をやっちまえ!」


しかし、父さんやカシムさんが奮戦して、俺には届かなかった。


たまに俺はフェイクで、落ちている石を投げた。

そして俺の指弾きが炸裂する!


「パシッ! パシッ! パシッ!」


俺の指弾きでガルボ達の隙を作り、父さんやカシムさんが殴りかかった。


「くそっ! 小僧の奴が邪魔しなければ楽勝なのに!」


父さんは大して強くはなかったが、カシムさんは元冒険者だけあって、なかなか強かった。


俺はだんだんと煩わしくなってきて、指弾きの威力を上げた。


「バシッ! バシッ! バシッ!」


「ぐわっ!」


「ぎゃあ!」


「ぐへっ!」


ガルボ達は指弾きで吹っ飛んで倒れた。


「くそっ!」


ガルボ達は立ち上がり、懐からナイフを取り出して構えた。


「おい、街中で刃物はやめろ!」


「うるせー!」


「ぶっ殺してやる!」


そこへ騒ぎを聞きつけた衛兵達がやって来た。


「お前ら、何やってる!」


ガルボ達が衛兵に気を取られているうちに、俺は指弾きで三人のナイフを落とした!


「いてっ!」


「いっ!」


「かっ!」


「小僧! やりやがったな!」


しかし、衛兵達がガルボ達を取り押さえてくれたので、やっと落ち着けた。


「あんた達も、ちょっと詰所まで来てもらおうか。」


結局、全員が詰所まで連れて行かれてしまった。


長々と事情聴取されて、やっと俺達は解放された。

事務員さんの証言や各酒場の目撃者もいて、事件の真相が明らかになった。


そして酒場のマスターの証言が決定的な証拠となり、ガルボ達の悪事が明白となった。

ガルボ達は逮捕され、俺達は被害者として扱われ、解放された。


「ガルボ達は、全部悪事がバレたようで、牢屋行きだな。」


「ああ、ロンデさんの契約書は無効になって良かったですね。」


街からの帰り道は、契約が無効になったことで、三人とも笑いながら歩いた。


「しかし、ミカエス。お前の石投げは凄かったな。」


「あれで、いつも鳥とかを獲っていたのか?」


ロンデはミカエスに聞いてきた。


「うん、まぁーね。」


「ふうん、ミカエスは大きくなったら狩人か、冒険者に向いてそうだ。」


カシムさんが俺を見て言った。


「あははは。」


三人は暗い道をひたすら村へ向かって歩いた。

朝の重たい足取りだったが、帰りは軽い足取りで、すぐに村に帰って来たように思えた。




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