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八百万の火玉花道  作者: 椿 木春
イベリス[第一章・第2幕]
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30.明日を生きる為に

 ーーーー因幡がある程度の落ち着きを取り戻し、数日が経った。

 フェアリエの掃討は、順調に進んでいる。完了したエリアとしては、Bエリア内全てと、Cエリアの一部。・・・・因みに、エリアとは、因幡外周を100m毎ごとに段々で囲う不定形の円と、各円の内部を等間隔に割り振った形で形成されいる。そして各円を、内側から順にA、B、C・・・と。各円内部は、北側から右回りに、01、02、03・・・16と、16方位に分けて呼び名が割り振られている。つまり、現状においてフェアリエ掃討完了範囲は、因幡外周200m付近までであり、300m付近に関しては、現在掃討作戦の途中である・・・ということ。

 「順調だね。」

 「多分、数自体が少ないだけだよ。」

 「そなの?」

 「うん。」

 フェアリレーダーの観測によれば、因幡外周約600m付近を境に、フェアリエの密度が異なっているとのことらしいから。

 「信頼ある?」

 「わからない。」

 フェアリレーダーの信憑性。

 国内におけるフェアリエの発生。本来であれば、これは起こり得ない。なにしろ国は、フェアリレーダーを常時活用しているらしいから。・・・つまり、フェアリエが国内に侵入する前に、フェアリレーダーによって確認されていたはず。けど、実際は違った。

 仮に、既にフェアリエが国内にいたとしても・・・・あるいはそれが、研究対象の脱走によって発生したのだとしても、フェアリエレーダーによって対応できていはず。けど、そうじゃなかった。

 実際のところの詳しくを、私は知らない。けれどそれでも、フェアリレーダーを活用していながらのこの事態。はっきり言って、フェアリレーダーの信憑性は、皆無。一応、信用はするけれど、疑いの目は常に持っておく必要がある。

 「ま、いずれ分かることだよ。」

 「確かにね。」

 そう。とりあえずは600mから700m付近。つまり、エリアFからGに到達さえすれば・・・・そこで実際にフェアリエの数が増えていれば、取り敢えずは何とか・・・という話。ただ、それだけの話。

 「とはいえ、警戒は怠っちゃダメだよ。」

 「はいはい。」

 ーーーーそうして順調に日々が過ぎ、因幡に移り住んでから2が月ほどが経過した頃。

 エリアEまでの制圧任務が完了した中で、次なる目標達成のため、フェアリエ掃討部隊、資源回収部隊、因幡増築部隊、護衛部隊、治安維持部隊に続き、ようやく、探索部隊が組まれることとなった。

 探索部隊の第一の役目は、『因幡における第一目標』である『食糧問題の解決』。・・・・当たり前の話だけど、因幡内の貯蓄にも限界があり、恐らく、もって1年。・・・・これを解決するために、まずは、”早急に、且つ、効率的に”食糧が得られる、”海産物”の入手経路を確保する必要がある。即ち、探索部隊の第一の役目は、港までの陸路の”安全性”を確保すること。

 要は、守護壁(クストース)には限りがあり、その上で、因幡の増築に優先的に使用される都合上、港までの道を高速道路みたく、守護壁(クストース)で囲うことはできないから、実際に食糧確保の為に港へと向かう部隊がなるべくフェアリエ遭遇しないよう、まず、港までの陸路周囲に潜むフェアリエの数や位置の調査。その上で、港と、港に停泊する船と、漁を行うための道具の状況確認。以上となる。

 とはいえ、これらの調査が終わっても、”絶対的な安全性”は確保できないので、漁を行う人員の移動の際は、守護壁(クストース)が用いられた装甲車を運用し、且つ、フィリデイと兵士で組まれる護衛部隊が彼らに同行することとなっている。それに、まあ、海の上にさえ出てしまえば、”恐らくは”、安全だろうと思われる。

 探索部隊、第ニの役目は、2箇所目の浄水場を確保し、そこの水を因幡へと繋げること。

 これに関しても、やるべき事は海産物の確保と大して変わらず、まずは陸路の安全性の確認。その後、知識を持った人間と労働力となる人員と護衛部隊が、目標達成のため努力する。それだけである。

 とはいえ、浄水場と水の確保に関しては、森の中での作業となるため、危険度で言えば、海の上の漁より圧倒的に高いものとなる。

 一応、砦街(カストラ)建造に際し、複数箇所の浄水場が、砦街(カストラ)内部、あるいは近郊に入るよう徹底されていた。その為、切り詰めれば、因幡も何とかはなるかもしれない。しかしとはいえ、砦街が大きくなるほど・・・そして何より、許容量を超過して人が増え続ければ、水が減る速度が速くなることは必然であり、因幡も、現状、人口は、許容量を超過している。且つ、人々の心には未だ不安が残り、そんな状況下で欲求が満たせないとなると、治安の悪化という危険性が跳ね上がる事態に陥りかねない。故に、危険度は高いが、それは、護衛部隊を増やすという力技で何とか対応するという方針で、『2箇所の浄水場を確保すること』を、第二優先目標としたらしい。

 探索部隊、第三の目標は、第12砦街(カストラ)である『但馬』への到達となっている。

 現状、他の砦街(カストラ)との通信手段は多重化されており、早急な心配の必要は特にないとされている。その為、第三目標である『但馬への到達』に関しては、主目的より、副次目的や感情的な側面が強い。

 とはいえそれだけでなく、他の砦街(カストラ)との陸路が確保されていれば、資源のやり取りが可能となり、『特定の砦街(カストラ)だけが資源枯渇による窮地に立たされる』という事態を避けられるので、これも重要な役目であるし、その上で、やはり感情的な側面の問題・・・即ち、「他の砦街(カストラ)との直接的な接触により得られる充足感」は、今、全ての砦街(カストラ)の人々が抱えているであろう”不安”を、容易に払拭してくれるだけの力があるだろうから、それも含めて、『但馬』への到達は、重要な役目であると断言していいと思う。

 そして、常時の役目として、砦街(カストラ)外にて生きている人の捜索と保護。加え、周辺地域の植生の記録、食糧となる木の実や果物、野草、根菜などの収集、且つ、苗や種の確保がある。

 現状において、因幡の住民に食わすことができるだけの米や野菜を確保するには、因幡外の田や畑を活用するしかない。とはいえそれにはフェアリエの危険性が伴い、また、戦闘が起きれば当然、そこらが荒らされる。その為、因幡近辺に潜むフェアリエが掃討されるまではまだ活用できないが、ただ、何れ田畑が活用できることは確定であり、その為の資源の確保は、十分に重要な仕事である。・・・・まあ、種や苗は、国内でのフェアリエ発生以前から、既に因幡内に備蓄してあったから、田畑を確保さえしてしまえばいつでも植えられるが、万が一に備えて余分に確保しておいたり・・・あるいは、因幡から離れた位置に巻いて植生を変えておけば、後々有難みを感じることもあるかもしれないから、やはりこれも重要な仕事である。

 「フェアリエ掃討作戦はどうしますか?」

 ツミレが、唐獅子(からしし)おじいちゃんと藍実(あいざね)教官に問う。

 「残ったフィリデイに、別部隊からの引き抜き組を合わせる。」

 「そうだね。取り敢えず、探索部隊の編成は君たちを中心に、少数で動いてもらうかな。」

 「少数ですか?」

 「うん?不満かな?」

 「いえ・・・ただ、やる事が多そうだし、人手はあっても良いのかなぁ・・・と。」

 「いや、まずは”確認”が第一だからね。取り敢えず向こうまで行って帰ってくる。それだけでいいから。人手はその後で・・・・寧ろ、足手まといが増えると君たちの行動を阻害しかねない。ね?」

 「わかりました。」

 「うん。それじゃあ、藍実くん。後の事は頼んだよ。」

 「了解。・・・・全員注目。作戦概要を説明する。」


 ーーーー探索部隊が組まれる事になった。

 探索部隊に組み込まれるフィリデイは、元803部隊の20人のみ。ここに、フェアリレーダーの観測班、兼、機械類の整備及び修理係が2人。医療班、兼、給仕係が3人。雑用班、兼、記録係が5人。以上、計30人が、5つのグループに分かれて探索を行う。尚、探索は、通常の装甲車を用いて行われ、各装甲車には、4人のフィリデイと、1人の雑用班と、1人の医療班あるいは観測班の計6人が乗り込む手筈となっている。

 また、各班の詳細な役目として、まずフィリデイは、『危険と判断されたフェアリエの討伐』。これを第一に、『他の班の手伝い』を担当。

 観測班は、フェアリレーダーを用い、『周辺に潜むフェアリエの位置と数、及び”巣の存在”を、地図に書き記す』ことと、『探索部隊に対し危険があると判断したフェアリエの存在をいち早く伝える』ことを担当。加え、『フェアリレーダーや装甲車などの機械部品の整備と修理』を行うこと。

 医療班は、『怪我人、あるいは病人の治療』、『探索期間中の食事管理、及び、健康管理』、『汚れた衣類や毛布の洗濯』を、担当。

 雑用班は、『運転手』、『地図に記された植生環境と実際の植生環境を照合し、不備があれば修正』、『野草、キノコ、樹の実などの食料採取時に、それが食べられるものであるか否かの判別』、『毎日における探索状況の書き記し』、『野営設備展開時の主導』、『荷物持ち』、『他の班の手伝い』を担当。

 ーーーーと、役目は各班ごとにしっかりとわけられているが、実際これらは、『各班主導の元、手の開いている者が手伝う』という構図でできているため、仕事量が偏り過ぎているような事態は発生しないとのこと。あとフィリデイは、戦闘以外における役目に関して無理し過ぎず、大人の兵士をこき使えとのこと。


 ーーーー探索に関する話し合いが終わり、次の議題に移った。

 ーーーー曰く、フェアリエの”成長”について。

 因幡内、第三兵学校の運動場・・・そこには、土で作られた滑走路がある。

 一応、普段は運動場として活用しているが、国内でのフェアリエ発生時、別の滑走路から離陸していた有人偵察機が、因幡内唯一のこの滑走路を利用し着陸した。

 そういうわけで、因幡には十分に使える滑走路があるわけだから、今回の探索を行う以前に、既に有人偵察機を飛ばしていたそうな・・・。だけど、問題が発生した。

 ーーーー「飛ばした偵察機が墜ちた。」・・・・唐獅子おじいちゃんがその報告を受け、まず一番に考えた原因。それは、『飛行個体(アレート)』によるもの。

 けど、当該の有人偵察機に乗る2人の兵士の会話記録を確認したところ、「飛行個体(アレート)が接近した」、あるいは、「機体に張り付かれた」などの報告は一切なく、かわりに、「スパイク!」・・・即ち、誘導式ミサイルだかロケットランチャーに捕捉されたという会話記録だけが残っていたという。・・・・これが何を意味するか。

 まず、考えられることとしては、人間による攻撃。・・・理由を推し量ることはできないけれど、誰かが偵察機に狙いを定め、撃ち落とした・・・と。

 しかし、フェアリエが闊歩(かっぽ)するような場所で、平然と武器を構え、誘導照準が完了するまで待つなどということは、あまり考えられたものではないと・・・なおかつ、人間が、いかなる理由でもって有人偵察機を撃ち落とすか?・・・それらを踏まえ、この考えは棄却された。

 次に、機械の誤作動が考えられた。・・・しかし、落とされた以上、何かが起きたことは事実であり、撃墜される直前にフェアリエに関する報告がなかったことからしても、これの可能性はあまり高くはないとして棄却された。

 最後に、最も可能性が高いとして処理された、原因。即ち、フェアリエの成長。・・・要は、”フェアリエが人間の兵器を用い、偵察機を撃ち落とした”、ということ。

 ・・・・もし・・・もしもこれが真実であるとするならば、フェアリエが銃器を扱う可能性を視野に入れなければならず、そしてこの事態は、”フィリデイにとって最も警戒しなければならない事態”という意味合いを持つ。・・・なぜか?

 フェアリエ、フィリデイ、銃砲類。これら3つは、三竦みの関係にある。

 まず、銃砲類は、フェアリエに対し大きな意味をなさない。・・・仮に銃砲類を用いフェアリエを攻撃したとしても、フェアリエは、ゲームにおける体力性を思わせる程の驚異的な再生能力を有しているが故に、その火力をものともせずに襲ってくる。

 これに対処するためには、それに勝る圧倒的な物量か、あるいは”特定の素材”が必要となるわけだが、資源には限りがあり、フェアリエの侵攻を抑え込むために必要な秒間辺りの物量は、常にギリギリ。加え、銃砲という、弾を使い捨てにするしかないこれに、ただでさえ少ない特定の素材を使うなど、以ての外。

 無駄にできない以上、繰り返し使える武器が良く、そして都合良くフィリデイが完成された。そういうわけで、フェアリエ戦争における銃砲の進化に大きな変化は無く、結果として、銃砲は、未だフェアリエの再生能力に対処できない状態となっている。

 逆に、特定の素材を用いて作られたインシーニェ・・・・即ち、フィリデイ専用近接武器。これを使えば、フェアリエの再生能力を阻害でき、フェアリエを、生物としての枠組みに落とし込んだ状態としての対処が可能となる。さらに、決戦兵器として完成されたフィリデイは、運動能力と身体能力が共にフェアリエに近しいほどに成長し、フェアリエとの近接戦闘を可能とした。結果として、完全な優位とは言えないまでも、通常の人間に比べれば・・・・また、十全な作戦を用いれば、対フェアリエ複数戦においても、素晴らしい戦果を残すことが可能となった。

 しかしそんなフィリデイであっても、銃砲に対しては、人間同様に簡単に殺されてしまう。・・・そう、まさに、個人の力量差に左右されることなく、効率的に人を殺すための兵器としての機能を十全に発揮できるが故に・・・・。

 銃砲を前にしては、フェアリエであれフィリデイであれ、問答無用で蜂の巣にされてしまう。ただフェアリエは、己の驚異的な再生能力で暴力的にそれを解決するが、フィリデイにその再生能力は無く、結果として、先手を取り上手く立ち回らない限り、優位は常に銃砲類にあるということ。加え、ミサイルやロケット、あるいは狙撃といった、目視不可の遠距離から、避けようのない攻撃で先手を打たれてしまえば、気づく間もなく一瞬で死に絶えることとなってしまう。

 そういうわけで、フィリデイは銃砲に対し最善の対処が求められる訳だけど、そもそもとしてフィリデイは、対フェアリエのエキスパート。決して、人間相手のエキスパートではない。・・・つまり銃砲に対する対処方法など、誰一人として知らない状態であり、且つ、その訓練すら行ったこともない状態であるということ。

 ・・・・それだというのに、フェアリエが銃器を扱う?そんなの勝ちようが・・・・。

 「一応、探索の開始については、エリアFの制圧完了まで取ってある。できるなら、この間に確認ができればいいんだが・・・。」

 教官の言わんとしてることは、つまり、エリアFからはフェアリエの密度が変わる。フェアリエの数が増える。だとしたら当然、銃を使うフェアリエが見つかる可能性も高くなる・・・と。けれど・・・。

 「希望的観測には縋りたくないけどね。でも、因幡内の事情もあるから。」

 因幡内の事情。要は、食糧問題や住居や衣類といった、生活の要(かなめ)の部分。それが、今、時間が経過する毎に悪くなる一方である現状について。

 当たり前の話、これを放置するわけにはいかない。なりより、住民の性根はこれが長続きすることを許してはくれない。

 「そういうわけだから、エリアF制圧完了までの短期間で、できる限りの訓練を積んでおこうか。」

 そうして、訓練が始まった。

 やったことといえば、まず、防弾チョッキの着用と、実際の使用感。・・・防弾チョッキを着た状態で、本物の銃で撃たれた。

 防弾チョッキは、あくまでも銃弾の貫通を防いでくれるだけで、その衝撃は直に伝わる。つまりめちゃくちゃ痛い。

 けどまあ、フィリデイになってから、散々フェアリエに切られ貫かれ裂かれを繰り返してきた。私に至っては骨が粉々になったりもした。そんなわけで、「まあ大丈夫だろう」と・・・・。そう思っていた時期が私にもありました。

 銃弾の衝撃が、外皮を一切傷つけることなく内臓に直撃する。・・・それは、初めての体験だった。

 みんなが、お腹を抑えて悶え苦しむ。

 体験するのが順番だったせいで、後続に続くみんなの顔が引きつってた。

 ・・・オォ、ジーザス。

 そして鳴る銃声。

 倒れ込む私・・・・。

 ・・・ああ・・確かにこれは・・・・。

 切られたり、貫かれたり、裂かれたり。・・・それは、激しい痛みを伴う。

 対して、内臓に響く衝撃は、痛みよりも苦しみを生む。

 もちろん、どちらも『苦痛』であることに違いはない。けど、直後から暫くの間残る痛みは、「全然違う」と・・・そう、直感した。

 なにせ立てないのだ。へたり込み、立ち上がれない。

 ・・・フェアリエとの戦闘じゃこんな事まず起きなかったのに・・・・。

 もしかしたら精神面の違いもあるのかもしれないけど・・・・。

 あの時は、『止まる』イコール『死』だったから。

 とはいえこの苦痛は、間違いなく、『二度と経験したくない』・・・あるいは『”経験したくなかった”』苦痛だと理解した。だってこの痛みは、まるで・・・・。

 とにかく、根性でどうにかできないのだから、本当に気をつけないとーーーー。

 暫く悶えた後、身体の回復を待ちながら、次なる訓練を受ける。・・・座学だ。

 『”森の中”で、銃を持ったフェアリエに対して、どう立ち回るか。』これを、まず、図面上で考える。そして、実践。

 こっちで使われる銃は、ゴム弾。流石に、実銃ではない。

 私たちが使う武器も、同じ。重さだけ似せた、柔らかい武器。

 とはいえ、当たれば痛い。

 防弾チョッキの上からなら軽い衝撃が伝わるくらい。

 衣類だけの箇所だと、蟻に噛まれたか、蜂に刺されたか・・・それくらいの痛みが伴う。・・・けど、それだけ。当たった事が分かるだけで、『動きを阻害されるか?』と言われれば、そんな事は微塵も感じない。訓練としては、最も適した痛みだった。

 逆に私たちは、武器を振るう際、手加減しなくてはならない。

 当たり前の話、腕力はフェアリエ並みなのだ。例え柔らかい素材だとはいえ、重さがある以上、一定の硬さがある。さらにここに速度が乗れば、それはれっきとした武器となる。・・・・要は水面だ。

 水は、柔らかい。けれど、耐水性のある布なんかに入れて、重さと速さを乗せて振れば、凶悪な打撃武器ともなる。それ相応の衝撃が伴う。

 流石に、受けた相手が粉微塵になったり、変形したりはしない。・・・あるのは衝撃だけ。けど、その衝撃も、過ぎれば、大きな威力となって相手を襲う。そういう話。だから、手加減が必要。

 まあ、今回の訓練はあくまで、『森の中、木々を活用し、どう近づくか?』に重きを置いてるから、武器を振るうことはまずない。

 そういうわけで、机上での作戦立案と実践しての確認作業を繰り返し、ある程度形にしていくーーーー。

 これらが終わり、次の訓練へ。

 次は、盾の活用。

 銃に対して最も有効な手段。それは、盾を構えておくこと。ただ、それだけ。

 銃弾が貫通しなければ、こちらへの被害は無く、且つ、銃には弾薬という制限がある。

 フェアリエが盾を撃ち続けてくれれば、何れ弾薬は底をつき、通常通りの近接戦に、容易に持ち込むことができる。なんと素晴らしきかな。

 そういうわけで、盾持ちの前列と、前列を支える後列に3:7で分かれ、銃弾をひたすら盾で受ける訓練を開始。

 みんなが恐怖心を押し殺し、ひたすら耐える。

 結果から言えば、盾は頑丈だった。・・・っていうか頑丈だから、訓練を受けれたのか。

 盾の耐久は、事前に確認済み。そんなわけで、怪我人が出ることはなかったーーーー。

 その後、『四方から撃たれる銃弾を盾で防ぎつつ移動する』訓練を行い、万が一の際に”安全に”逃げれる算段も確立されたーーーー。

 これで、向後(こうご)の憂(うれ)いなく・・・とまでは言えないけど、取り敢えず安心して立ち回れるだけの算段は整った。そしてーーーー。

 「エリアFの掃討完了。しかし、銃を所持したフェアリエは未確認だ。だが、これ以上は待てない。よって、探索部隊の運用を開始する。全員、防備を備え位置に着け。」

 教官からの指示を受け、私たちは装甲車に乗り込んだ。

1741.1/-- 〜 3/--

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