水族館のララバイ
私 24歳
あーちゃん 0歳6ヶ月
「あーちゃん、ほら見てみ。お魚さんがたくさん泳いどるよ〜」
私は大切な我が娘を抱っこ紐で抱っこしながら、大きい水槽の中を泳いでいる魚を見ながら声かけする。
一歳にも満たない我が娘はもちろん返事は出来ない。でも、くりくりしたお目々をいっぱいに広げて、きらきらした水槽と、そこを泳ぐ魚を見ている。
私は小さな頃から水遊びが好きだった。
家の近くにある池のある公園でパシャパシャしたり、
小さい頃にはあまりなかった、プールが出来たころにはたくさんプールにも行った。
あ、水遊びは好きなんだけど、泳ぎは苦手なんだけどね。それとこれとは話が別だ。
でも今はこの子がいるから。あまり危ないところには行けないし、暑い夏はなるべく涼しい屋内で過ごすようにしている。
あまり過保護にし過ぎると、余計に良くないとあの人は言うけれど。
でも、こんなに小さくて。こんなに愛らしくて。ほわほわでいい匂いがして。そばにいるだけでこんなに私を笑顔にさせてくれる。
天使のようなこの子だから、ずっとずっと守ってあげたい。悲しい思いをしないようにしてあげたい。
「お魚さんは、ずっと泳いでて疲れないんやろか? あーちゃんはどう思う?」
もちろん返事はないけど、なんとなく聞いてみる。
——ぽとり
ん? なんの雫だろう。私は上を見上げたけど、水族館の天井があるだけだ。
何か結露かなにかで、雫が垂れたのかな。
ふと、あーちゃんが急にぐずり出した。おむつじゃないと思うし、お腹が空くころでもないから……眠いのかな?
「ようし、よし。あーちゃん、眠いんかな? お魚さんがぐるぐるしてるの見てしんどくなったかな〜?」
私はその場に留まっていたが、ゆっくりと左右にリズムを取りながら歩き出した。
あーちゃん あーちゃん
かわいい あーちゃん
あーちゃん あーちゃん
あーちゃんは いい子
どこかで聞いた子守り歌のような、メロディも何もあったものではない即興の子守り歌を私は口ずさむ。
はじめはふにふにとぐずっていた我が娘だったが、しばらくしたら静かになった。
それでも少しの間は背中を優しくトントンしながら、私はゆっくり、ゆっくりと歩いた。
大丈夫。私がいつまでも守るからね。ずっと、ずっと、守るからね。
——ぽとり
——ぽとり




