大きなプール
私 18歳
トオルくん 18歳
「……ちゃん? ヒロちゃん、どうしたん? ぼーっとして」
ん? うたた寝しちゃってたのかな?
「ん……お腹いっぱいで眠くなっちゃってたんかも。ごめんごめん」
長身でスラッとした、男の子が私に手を伸ばす。
「せっかく新しく出来たプールに来たんやから、寝転んでるだけやなくて、一緒に泳ごうや」
実は、泳ぐのはちょっと苦手なんだよね……なんて恥ずかしくて言えないから、トオルくんについていく。
今日もいい天気だ。
陽射しはとても暑いけど、プールの水が身体の熱をちょうどいいくらいに冷やしてくれる。
トオルくんがプールに入って、平泳ぎをしている。
「あはは、トオルくんカエルさんみたいやんね〜」
私は泳ぎ方もあまり知らないから見てるだけだから、余計にそう見えるのかもしれない。
「いや、そういう泳ぎ方やからしゃあないやん〜」
トオルくんは口を尖らしながら言う。
カエルみたい……カエル。なんだか懐かしいような気がした。
——ぽとり
あれ、雨かな……?
「トオルくん、雨降ってきたんちゃう? 今ぽつぽつって」
「え、気のせいちゃうかな? プールの水のしぶきちゃう〜」
トオルくん、カッコいいな。私はつい見惚れてしまった。
「どうしたん、ヒロちゃん?」
「え、トオルくん。カッコええなぁ〜、って思ってたんよ」
トオルくんは一瞬真面目な顔をして。それからにっこりと笑ってくれた。
「そういう風に思ったことを素直に言ってくれるヒロちゃんが、好きやで」
そう言って、トオルくんは私を引き寄せる。
「うん、私も大好き」
「ヒロちゃん、来年なったら卒業するやん? 俺、前にも言ったかもやけど就職するから、大阪から離れてしまうねん」
そう、トオルくんは東京に行ってしまう。
「うん……めっちゃ寂しいんやけど。私、毎日泣いてしまうと思う」
すでに言いながら、じんわり涙が出てきた。
「仕事が落ち着くまで、五年……いや、三年待っててほしいんや。そしたら迎えにくるから」
三年……
「そしたら俺と。結婚してほしい」
「トオルくん……」
三年経ったらホントに迎えに来てくれるの?
私、待ちぼうけで大丈夫なの?
——ぽとり
——ぽとり




