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私の中のひとしずく  作者: くろくまくん


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1/6

家の近くの小さな池

わたし 8歳

イサムくん 8歳

「ヒロちゃん、こっちやで〜! ほら見てみ」


 家の近くの公園に大きな池があった。私を呼んでいるのは近所の男の子のイサムくんだ。私は八歳でイサムくんも同い年だ。


「どうしたん? なんかあったん〜?」


 今日は二人で公園で遊んでいる。イサムくんは両手を体の前で合わせて、何か隠してるみたい。


「ほら、もっとこっち来てや」


 イサムくんの方に歩いていき、手の方を覗く。


 イサムくんが急に開いた手には小さなアマガエルがいて、飛び出してきた。


「きゃあっ!!」


 蛙が苦手とか、そんなヤワな女の子みたいなことは言わないんだけど、急に顔の方に飛んできたから、それはびっくりした。


「あはは、ヒロちゃんはほんまビビりやなぁ〜」


「私、ビビりやないもん! もぉ〜!」


 その公園は、そんなに大きくはなくて。どちらかというと公園よりも池が中心という感じだった。長細い瓢箪のような形の池の周りを遊歩道が囲っていて、所々に木製のベンチがあったり、植木が植わっていたりした。


 池の周りには柵はなく、池自体もたぶんそんなに深くはないのだろうけど、今日みたいな夏の暑い日には、池のへりに座って、素足で池をパシャパシャとしたりして、涼んだりもしていた。


 二人で並んで池の縁石に座る。


「ほんまいい天気やなぁ〜! お昼から原っぱの方まで行こっか?」


「うんうん、じゃあ私、家に帰ってお母ちゃんと握り飯こさえてこよかな。イサムくんは具は何を入れてほしい?」


 イサムくんは私の方を見てにっこりと微笑んで、


「そやなぁ、俺は梅干しと昆布がええかなぁ。あとはヒロちゃんに任せるで。ヒロちゃんが握ってくれた握り飯、俺好きやわぁ」


 池の真ん中あたりで、鯉が跳ねたのか、


 ぱしゃん


 と、水音がした。



 

——ぽとり


 ん? なんか雫が落ちる音がしたような。私は空を見上げたけど、空はめちゃくちゃ晴れているし、雨なんか降りそうもない。


「どうしたん? ヒロちゃん。なんか空から降ってきたん?」


「ううん、なんでもないで。ねぇイサムくん……こうやって、ずっと大人にならんと、いつまでも無邪気に遊んでいれたらいいのになぁ〜」


 イサムくんは、一瞬だけ真面目な顔をした。


 でも、次の瞬間にはまた笑って、


「何を言うとるんや、ヒロちゃん。大人になったほうが、今よりももっともっと色んなことが出来るようになるんやで。今よりもっと科学も発達して、世の中も暮らしやすくなって。その方が幸せになれるやろ」


 幸せ……


 イサムくんと、私で……



——ぽとり


 まただ。


 天気雨……じゃないよな。


「あ、ほなそろそろ家に帰って握り飯作ってこよかな。イサムくんも来る?」


「いや、いったん俺も帰ってから、またここに来るわ。じゃあまた」


「うん、じゃあまたね」


 じゃあ、


 またね。



——ぽとり


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― 新着の感想 ―
こっ。Σ(-∀-;) これは、くろくまくんしゃまの実話!? タイトルからして、ホラー?いや、ヒューマンドラマ? なんか、ホラーみたいタイトルですが。 お話は、ほのぼの系になるのかな?? どきどき(≡゜…
近畿地方出身の私としては、気さくな関西弁に親近感を抱いてしまいますね。 ノスタルジックな感じがして、自分の小学生時代を思い出しました。
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