第3話 植物との婚約
植物王国。
ウッドブルグの街。
街の中央には、庭園があり、グリーンの大樹がそびえ立っている。このグリーンの大樹の下に、教会がある。
ここで、男は、20歳になったら結婚を誓わなくてはいけない。相手は、植物精霊でなくては、いけない。
精霊と人間の親交のためだ。
中央庭園の薬草売り場。
「薬草は、10束でいいかい」
「はい」
お代の10ゴールドを支払う。
買った薬草を、肩からぶら下げたカバンに入れる。
後は、帰って調合だ。
魔法の薬屋マクスウェル。
「完成したかな」
「完成したかしら」
夫妻が、来店した。
魔法薬は、何とか完成している。納品は間に合った。
「ミントくん」
ギュッ。
「な、何で抱きつくんですか」
商人のライムは、会うと大体抱きついてくる。
親交の証らしい。
その後ろには、執事のスズキさんがいる。
ローズのために、特別な衣装を持ってきたらしい。
第3話 植物との婚約
可愛いメイド服のローズ。フリルがたくさんついている。
「私は、何」
首をかしげる。メイド服を着ろと言われて、二階の角部屋で着替えて、降りてきた。
「すごく可愛いです」
「魔法の薬屋のメイドさんだね」
これで客引きが良くなるといい。ライムは、うなづく。結婚相手は、可愛い。
「ありがとうございます。ライム」
「いやいや、親友だから、当然だよ」
いそがしいライムが立ち去る。
「ローズには、お店の接客を頼みます」
「接客…」
考える。ミントは、どうしても、ローズと結婚したいらしい。帰すつもりはないらしい。
お店のお手伝いをさせられることになった。
「お店の主人は、僕です」
「主人さん…」
見上げる。薄紫色の目隠し髪の男の人。
ミントは、主人さん。
目隠し髪で目立たないけど、カッコいい男の子。
「あと、この指輪を受け取ってください」
赤いルビーの指輪。魔力が込められた魔法のアイテム。
これは、結婚指輪だという。
ミントは、同じルビーの指輪を左手の薬指につけている。
「これで、結婚の約束をした“婚約者”です」
「…」
結婚の約束。やっぱり、結婚したいのだろう。
「今は、教会の予約がいっぱいで、誓いができません」
「…」
結婚をする。おじさんとおばさんも結婚していた。
おじさんとおばさんは、どうしているだろう。
カランコロン…。
「…」
お店のカウンターに座る、メイド服姿のローズ。
入り口から、お客さまがやってきた。
「あら。可愛いメイドさんね」
きたのは、緑色の長い髪の女性。
「ミントくん、可愛い女の娘と結婚したのね」
女性は、フィーナ。
ドリアード族の女の人。ウッドブルグの兵士の奥さん。
何の植物精霊か。聞いてくる。
「私は、ローズ。一輪のバラの精霊」
「バラの精霊なのね。可愛い」
ミントは、奥手に見えるが、きちんと結婚相手を見つけたみたい。フィーナは、笑いかけてくる。
ローズは帰りたいのだが、お手伝いをさせられている。
フィーナは、魔法の茶葉を買いにきた。
茶葉…。店内を見渡す。
「魔法の茶葉は、商品棚にあるわよ。可愛い奥さん」
「魔法の茶葉。商品棚」
商品棚から、茶葉ふくろを手にとる。
茶葉ふくろは、おばさんが大好きだったものだ。
ローズは、港町で、よく買い物に行っていた。
茶葉ふくろは、15ゴールド。
フィーナに代金をもらって、売る。
「ありがとう。女の娘」
その一部始終を、ミントが、隠れて見ていた。
「立派です。しっかりとした、お手伝いでした」
感動している。
「見てたの?」
「見てました。良い感じでした」
メイド服も可愛いし接客もできる。
何て、いい娘なんだろう。
やっぱり、植物と婚約して良かった。




