最後の盾
前回、赤き使者が現れた。
たった一つの指先で、リョウジョは空の彼方へ消えた。
残されたのは、恐怖と沈黙。
そして——動き出した男、一人。
「どうした?」
フェリシアがユキナとキヨの方へ振り返る。その笑みはまだ消えていなかった。
「二人とも、俺と戦いたいのか?」
二人はその問いを聞いて、ただ黙り込むしかなかった。
今、何が起きたんだ?
ユキナは完全に驚愕していた——これほどの衝撃が、まばたき一つの間に起こったのだ。リョウジョが……消えた? たった一つの指の弾きで? そんなの……ありえない。
その時、彼らは今までに経験したことのない恐怖を味わっていた。それは体が動かなくなるほどの恐怖だった。恐怖のせいではない——だが、彼らの体自身が反応を拒んでいた。まるで、すべての筋肉、すべての血管にブレーキがかけられたかのように。
リョウジョ……
ユキナは唇を噛みしめた。手が震えている。寒さのせいではない。もっと深い何かのせいだ。
隣では、キヨが動かない。何も言わない。ただ虚ろにフェリシアを見つめている——あるいは、見えない別の何かを見つめているのかもしれない。
「さて、そういうことだ。」
フェリシアは grin を浮かべた。
「お前たちは俺に敵うはずがない。なぜなら、お前たちは——弱いからだ。へへ。」
その声は軽やかだった。しかし、その一言一言が、まるで釘を頭に打ち込まれるかのように響いた。大声だからではない。真実だからだ。
弱い。
ユキナは拳を握りしめた。爪が手のひらに食い込む。しかし、彼女は痛みを感じなかった。
しばらくの沈黙。風が吹き荒れ、砂が彼らの間を舞い散る。
そしてフェリシアは背を向けた。返事を待たず、抵抗を待たず。
「ついて来い。」
たった二つの言葉。しかし、その口調は拒絶を許さなかった。
彼女は歩き始めた。ゆっくりと。追いかけるものは何もないかのように。彼らが従うことをすでに知っているかのように。
ユキナはフェリシアの背中を見つめた。真紅のマントが橙色の空の下で風に揺れている。三つの赤い物体が、忠実な影のようにその後ろに従っている。
ついていくべきか?
しかし、彼女が決断を下す前に——
「どこへ行く気だ?」
その声は彼女の背後から聞こえた。
ユキナが振り返る。
そして、驚いた。
まばたき一つの間に——キヨはすでにフェリシアの背後に立っていた。
足音もなく。風もなく。警告もなく。ただ動きだけがあった——速く、明確に、迷いなく。
彼の盾が掲げられた。防御のためではない。攻撃のために。
ユキナは彼が動くのを目にすることさえできなかった。
キヨ先生?!
その叫びは、喉の奥で言葉になる前に飲み込まれた。
そして、その一瞬のうちに——キヨはフェリシアを圧倒的な力で攻撃した。
ドン!
大爆発。衝撃波が四方八方に広がる。砂が舞い上がり、周囲の地面は粉々に砕け散った。キヨが放った攻撃は本物だった。全力の一撃。おそらく、彼が持つ最後の力だった。
しかし——
フェリシアはその攻撃を受け止めた。
彼女は動かなかった。傷つかなかった。かわそうとさえしなかった。キヨの盾は全力で彼女を打ち据えた——しかし、彼女は同じ場所に立ったままだった。何も起こらなかったかのように。
そして彼女はうつむき——大きく笑った。
「行け。」
キヨの声は重く、しかし断固としていた。彼の盾はまだ掲げられており、先ほどの衝撃で震え始めた自分の体を支えていた。
ユキナが振り返る。「しかし——」
「『しかし』と言っている時間はない。」キヨは後ろを振り返らず、その目はまだ大きな笑みを浮かべたままのフェリシアに固定されていた。「リョウジョはあそこにいる。どこにいるのかも、どんな状態なのかもわからない。今行かなければ、彼は終わりのない宇宙で一人で死ぬ。」
「しかし、私が行けば、あなたは——」
「わかっている。」
その二つの言葉が、ユキナが言おうとしたすべての反論を断ち切った。
「自分に何が起こるかはわかっている。しかし、せめて——自分の方法で役に立つことを選ばせてくれ。これだけは。」
フェリシアはただ見ていた。急ぐ様子もなく。まるで目の前の小さなドラマを楽しんでいるかのように。
「あら、感動的ね。」彼女はつぶやいた。その口調は、優しい言葉を嘲笑のように聞こえさせた。
ユキナは唇を噛みしめた。涙が目の端に溜まっていたが、彼女はこらえた。今泣けば、彼女は立ち去ることができなくなる。
「私……必ず戻ります。」彼女はささやいた。それは誰かへの言葉というより、自分自身への誓いのように。
キヨは答えなかった。彼はただ盾を少し高く掲げた。
金色の光がユキナの体を包み始めた。一瞬のうちに、彼女はその場から消え去った——キヨを一人残して、全力で攻撃してもびくともしない相手の前に。
砂埃がまだ彼らの周りに舞っていた。
「さて。」フェリシアは首をかしげた。「これで二人きりだね。」
キヨは答えなかった。息は荒いが、盾はしっかりと手に握られている——中央のひび割れがさらに広がっているにもかかわらず。
「自分が勝てないことはわかってるんだろ?」フェリシアは一歩前に進んだ。ゆったりと。まるで夕方の散歩をしているかのように。
「ああ。」キヨは答えた。声は掠れていた。
「それなら、なぜまだここに立っている?」
キヨは微笑んだ。リョウジョがかつて見たのと同じ苦い微笑み——しかし今回は、そこに別の何かがあった。静けさ。
「俺は教師だからだ。」彼は言った。「そして教師は……せめて生徒に逃げる機会を与えるべきだ。」
冷たい風がユキナの顔を打った。彼女は宇宙の虚無を突き抜けて飛んでいた。ここには音も空気もない。ただ果てしない闇と、遠くに輝く星たちの光だけがあった。
リョウジョ……どこにいるんだ……
彼女は残りの魔力を振り絞って光を放ち、周囲の領域を照らした。闇をくまなく探す——人間の形をしたものを探して。
一秒一秒が何年にも感じられた。
そしてついに——彼女はそれを見つけた。
一つの体が、無力に漂い、虚無の中でゆっくりと回転していた。学園の制服はところどころ破れている。動かない。
「リョウジョ!」
ユキナは全力で飛び出した。残された力はほとんどなかったが、彼女は気にしなかった。彼女はその体を掴み、しっかりと抱きしめ、金色の光が二人を包み始めた。
「頑張って……頑張って、お願い……」
彼女の手が輝き、残された治癒の力をリョウジョの体に注ぎ込んだ。彼の傷は徐々に塞がり始める。ほとんど聞こえなかった彼の呼吸が、次第に安定していく。
しばらくして——リョウジョが小さくうめいた。
「……うっ……」
彼の目がゆっくりと開いた。その顔には困惑の色がはっきりと浮かんでいた。
「……ユキナ?」彼の声は掠れていた。「何で……どうして俺たちは宇宙にいるんだ?」
ユキナは黙った。
「ユキナ。」リョウジョは体がまだ弱いにもかかわらず、起き上がろうとした。「キヨ先生はどこだ?」
沈黙。
「ユキナ。答えてくれ。」彼の声は次第に強くなる。「何があった? どうして黙ってるんだ?!」
ユキナはうつむいた。手を握りしめる。
「リョウジョ、私——」
「言え。」
そしてついに、震える声で、ユキナはすべてを語った。フェリシアのこと。想像を絶する力のこと。たった一つの指の弾きでリョウジョが吹き飛ばされたこと。キヨが攻撃し、彼女に逃げるよう言ったこと。
リョウジョの顔色が一瞬で変わった。
「彼を置いてきたのか?!」
「彼が私に——」
「誰が何と言おうと関係ない!」リョウジョが叫んだ。その声は宇宙の虚無に奇妙に響いた。「戻らなきゃ! 今すぐ!」
「リョウジョ、君は今——」
「自分の状態なんてどうでもいい!」彼の目は怒りに燃えていた——ユキナに向けられた怒りではなく、自分自身に向けられた怒り。この状況に向けられた怒り。自分の無力さに向けられた怒り。「キヨ先生が一人であの化け物と戦ってるんだ! それなのに俺たちは逃げるのか?! 戻るぞ、ユキナ! 今すぐだ!」
ユキナは唇を噛みしめた。彼女の心は二つに引き裂かれていた——キヨの最後の願いを叶えるべきか、それとも自分たちのために身を犠牲にした人を置き去りにするべきか。
罪悪感は一人で背負うには重すぎた。
「……わかった。」彼女はついにうなずいた。心はまだ重かったが。「戻ろう。」
彼らは残された力を振り絞って、砂漠の惑星へと戻っていった。
そして、彼らがついに到着した時——
時間が止まったかのようだった。
彼らの目の前には、砂丘に無数のクレーターができ、砂塵がまだ舞い上がる荒野——その中心で、キヨが立っていた。あるいは、立っていた、というべきか。
フェリシアの手が、彼の胸を貫いていた。心臓の真ん中を。
彼の割れた盾は、かすかな音を立てて地面に落ちた。
叫び声もなく。音もなく。
ただ、張り詰めた静寂だけが広がり、二人の目は一点に釘付けになった。一秒遅すぎた瞬間を、ただ見つめることしかできなかった。
キヨが倒れた。
彼の体は、まるで糸が切れた操り人形のように砂に崩れ落ちた。割れた盾は数メートル離れたところに転がり、橙色の空の光を反射していた——今はまるで別世界のように、残酷に感じられる光だった。
「……キヨ……先生?」
ユキナの声はかすかにしか聞こえなかった。彼女の足は一歩、二歩と前に進み、そしてついに走り出し、教師の体のそばに膝をついた。
「キヨ先生! キヨ先生、起きてください! 起きてください!」
かすかに輝く彼女の手は、残された治癒の力を注ぎ込もうとした。しかし、何も起こらなかった。その光は弱くちらつき、そして消えた。
こんな傷は、癒やせるものではなかった。
リョウジョは立ち尽くしていた。彼の体はまだ弱かったが、彼が動けなかったのはそのせいではなかった。彼の拳は強く握りしめられ、指の関節は白くなっていた。
俺のせいだ。戻ろうと言ったのが間違いだった——
「やはり、戻ってくると思っていたよ。」
フェリシアの声が静寂を破った。彼女はキヨの胸から手を引き抜いた——まるで取るに足らないものを拾い上げるかのように、何気なく。血が彼女の指から滴り、すでに同じ色で染まった砂に落ちた。
「人間とはそういうものだよね? もう救えないものに、いつも戻ってくる。」彼女は自分の服で手を拭いた。少しの罪悪感もなく。「でも、せめて……最後の一幕を見るには、間に合ったようだね。」
ユキナは顔を上げた。彼女の目は赤くなっていたが、それは涙のせいだけではなかった。
「あなた……」
彼女の声は激しく震えていた——悲しみと怒りが混ざり合い、どこに向ければいいのかもわからない感情の渦の中で。
「あなた——!」
彼女は立ち上がり、手が明るく輝き始めた——結果を考えず、残されたすべての力を解放しようとしていた。
しかし、彼女が動く前に——
金色の光が空から稲妻のように走った。
しかし今回は、その光は言葉を交わすために止まらなかった。
誰もが反応する前に——フェリシアが完全に振り返る前に——一筋の影が空気を裂いて飛び出し、強烈な蹴りが彼女の体を打ち抜いた。
ドオオオオオオン!!!
ただの爆発ではない。彼らの頭上に広がる橙色の空が、まるでハンマーで叩かれたガラスのように一瞬で割れた。その蹴りの反動で、足元の地面は数メートルも陥没した。
フェリシアの体は、砂漠の惑星の大気圏を突き破り——雲を突き破り——空を突き破り——そしてさらに遠くへ、小さな点になり、ついには視界から完全に消え去った。
数万キロ。おそらくそれ以上。
完全な静寂。
砂漠の風さえも、息をひそめたかのようだった。
ユキナとリョウジョは立ち尽くしたまま、口を開け、今まさに目撃した光景を信じられずにいた。
「…は?」リョウジョがようやく声を発した。その声はほとんど言葉になっていなかった。「…はあああっ?!」
ヨウスケは直立し、片足を蹴り終えた姿勢のまま立っていた。彼は静かに息を吐き出した——まるで軽い準備運動を終えたかのように、何万キロも敵を吹き飛ばしたのではなく。
「よし。」彼は軽い口調で言い、二人の生徒の方へ向き直った。「これでしばらくは持つだろう。」
ユキナはまだショックから立ち直れずにいた。「お、お父様……今のは……」
「説明は後だ。」ヨウスケは遮り、素早く砂に崩れ落ちたキヨの体へ歩み寄った。彼はひざまずき、素早く様子を確認した——そして一瞬顔を強張らせた後、再び平坦な表情に戻った。
彼は慎重にキヨの体を持ち上げ、片腕に抱えた。
「行くぞ。今すぐだ。」
「しかし、キヨ先生は——」ユキナは泣きそうになりながら、動かなくなった教師の体を見つめた。
「行くぞ、ユキナ。」
その声は大声ではなかった。しかし、ユキナはそれ以上言葉を飲み込むしかなかった。
ヨウスケは空いている方の手を広げ、金色の光が三人を包み始めた——ユキナがいつも使うテレポートの力と同じだが、はるかに安定しており、距離や空間が彼にとって何の意味も持たないかのように。
「掴まれ。」
リョウジョはまだ弱っていたが、すぐにヨウスケの腕を掴んだ。ユキナも同じようにした。涙がついに彼女の頬を伝い落ちた——キヨのためだけではなく、この数分間に起きたすべてのことが、一度に受け止めるにはあまりにも多すぎたからだ。
「お父様……」彼女はささやいた。「キヨ先生は……戻ってきますか?」
ヨウスケはしばらく沈黙した。彼の目はまだ割れた空の彼方、フェリシアが消えた地平線を見つめていた。
「ああ。」彼はついに答えた。正直に、慰めの嘘をつくことなく。「そして彼女が戻ってくる時——一人では来ないだろう。」
金色の光はさらに強くなり、三人を完全に包み込んだ。
「しかし、それはまた別の話だ。」彼はさらに静かに続けた。「今は——帰ろう。」
一瞬のうちに、光は消え去った——そして、かつて破壊の場だった砂漠は再び静けさを取り戻し、蹴りによるクレーターと風に吹かれて徐々に埋もれていく血痕だけが残された。
最後まで読んでくれてありがとう。
次のエピソードでまた会おうね。




