予期せぬ邂逅
前回、ミヤは絶望の果てに新たな力を解放した。
マミーナとの戦いの中で、彼女の髪と瞳は完全に緑へと変わり——
一方、深淵の別の場所では——
ユキナとリョウジョが、ついに交錯する。
「くそっ、ここは一体どこなんだよ?」ユキナが呟いた。「早く誰かを見つけなきゃ。特に父さん——父さんならここから出る方法を知ってるはずだ。ミカもミヤも、他のみんなも無事でいてくれよ…」
ユキナが今いる場所は、ミカやミヤのいる場所とはまったく異なっていた。周囲の宇宙の空は濃い青色で、全身を刺すような寒さが支配している。実に不快な感覚だ。ミカがいた場所とはまるで違う。
「さてと…どこへ行けばいいんだ?」ユキナは呟いた。「とりあえず、誰か一人でも見つけるのが先決だな。」
彼女は見当もつかない方向へ、光速で移動し始めた。
「なぜだか、ここに落ちてからずっと変な感じがする…」彼女は困惑しながら言った。「最初は赤い空だったのに、いつの間にか魔力が一気に満ちたかと思えば、この濃い青色の空間に変わってる。それに、ここでは少しずつ魔力が吸い取られてる。長くいればいるほど、これはマズいことになりそうだ。」
そうして困惑しながらも移動を続けていると、遠くから強い魔力のぶつかり合いを感じ取った。
「あれは…誰かが戦ってるのか?確認しに行くべきだろうか?」ユキナは一瞬迷った。「……よし、行ってみよう。それに、あの魔力の感じ、どこかで覚えがある気がする。」
ユキナは光の速さで戦いの源へと向かった。
————
リョウジョはもうどれだけ戦い続けているのか、わからなくなっていた。
「くそっ、こいつら一体なんなんだ?いつまで続くんだよ?」
彼の目の前には、真紅の目を光らせた無数のアビスのモンスターたちがいた。その体は漆黒で、訓練で見た普通のケロコよりはるかに大きく、背中には鋭い棘が生えている。
「くそっ、全力を出しても、数匹しか倒せない。どうすればいいんだ?」リョウジョの声には諦めが混じり始めていた。「それにここは魔力を吸い取られる。このままじゃ、時間の問題だ。」
モンスターたちは再び一斉にリョウジョへと襲いかかった。絶望的な状況でも、リョウジョは最善を尽くして立ち向かった。
「せめて情けなく死ぬわけにはいかない。さあ、かかってこい、クズども!」
最後の力を振り絞って全力の一撃を放とうとした、その時——彼は頭上に圧倒的な魔力の奔流を感じた。
「ぴょ! マキシマムアウトプット——ガンマブラスト!」
光の奔流が降り注ぎ、そこにいた全てのモンスターを一瞬で消し去った。
リョウジョは驚きのあまり顔を上げると、そこにユキナの姿を見つけた。
「…あれは、あの像の近くで戦ってた時に見た生徒か?」リョウジョは警戒しながら呟いた。
ユキナがリョウジョの元へ降り立った。
「ねえ、大丈夫?」ユキナが尋ねる。
「ああ、心配には及ばない。それより自分の心配をしたほうがいい」リョウジョは冷淡に返す。「で、お前は誰だ?」
「え?知らないの?」ユキナは少し戸惑いながらも言った。「まあいいや、改めて。私はユキナ!君は?」
「リョウジョだ。よろしく。」
「それで」とリョウジョが話題を切り出した。「ここがどこだか分かるか?」
「そうね…たぶんだけど、ここは『下の宇宙』だと思う。」
「下の宇宙?」
「そう、下の宇宙。『アビス』の伝説について書かれた本を読んだことはある?」
「ああ…確か、アビスは誰も足を踏み入れたことのない、最も深い場所だと聞いたことがある。」
「その通り。それは伝説なんかじゃない。全部本当のことよ。アビスは私たちの宇宙とはまったく異なる場所なの。ちょっと気を抜けばすぐに死ぬ。君の魔力も少しずつ吸い取られてるだろ?」
リョウジョはうなずいた。顔色は青ざめている。
「…つまり、俺たちは本当にあの本に書いてあった禁断の場所にいるってことか。」
「君、アビスのことを知ってたんだ?」ユキナは少し驚いた。
「本で読んだことがある。でも、学園が作った与太話だと思ってた。」リョウジョは鼻で笑った。「まさか本当だったとはな。」
ユキナは微笑んだ。いつもの無邪気な笑顔ではなく、どこか大人びた微笑みだった。
「父さんが言ってた——世界は思っているよりずっと広い。そして、そのすべてが人間に優しいわけじゃないって。」
リョウジョは目を瞬かせた。少し驚いた表情だ。
「…お父さん?」
ユキナがうなずく。「うん、どうかした?」
「待て…ってことは、父さんは学園長なのか?」
ユキナが笑った。「今さら気づいたの?もう皆知ってると思ってたけど。」
リョウジョはしばし沈黙した。まだ驚きは隠せないが、すぐに気持ちを落ち着けた。
「…学園長の子供がいるとは聞いてたが、まさかこんな場所で会うとは思わなかった。」
「私だって思ってなかったよ?」ユキナは小さく笑った。「このまま一人で死ぬのかと思ってた。」
「でも、死ななかった。それどころか、俺を助けた。」
ユキナは少し驚いた表情を見せ、そして微笑んだ。
「…そうだね。君を助けたんだ。」彼女は息をついた。「でも、ここに長居はできない。魔力が吸われる一方だ。時間が経てば経つほど弱くなる。」
「どこへ行けばいいか、心当たりはあるのか?」
ユキナは首を振る。「ない。でも——」
彼女は遠くを指さした。終わりのない暗い青の空の中に、かすかに輝く点があった。他の光とは違う、何か特別な輝きだった。
「あそこに何かを感じる。」
リョウジョはその方向を見つめた。「…確かなのか?」
「わからない。でも、ここでじっとして死を待つよりはマシだろ?」
リョウジョはしばらく黙ってから、うなずいた。
「…そうだな。」
彼は飛び立った。体は少しよろめいたが、倒れることはなかった。
「行こう。」
ユキナはより明るく笑った。「よし!行こう。もしかしたら他の誰かに会えるかもしれない。」
二人はその光を目指して飛び始めた。
しかし、彼らが飛び立とうとした、その時——
ドォォン!
遠くからまばゆいばかりの白い光が閃いた。超新星のように、空を裂くような爆発のように。
「なっ——?!」ユキナは驚いた。
リョウジョは即座に杖を構えたが、攻撃が来たわけではなかった。振動だ。彼らの周囲の空間全体を揺るがす、恐ろしい振動。暗い青の空に、まるで割れたガラスのような亀裂が走る。
時空の歪み。
無数の門が、彼らの周囲に現れ始めた。大きなものも、小さなものも。渦巻くものも、じっと動かないものもある。
「まさか、さっきの爆発のせいか…?」リョウジョが呟く。
「逃げなきゃ——」
ユキナが言い終わる前に——
ドンッ!
門の一つから、何か巨大な塊が勢いよく飛び出してきた。制御不能のまま、彼らの体に激突する。
「ぐっ——!」
「なにっ——!」
二人は避けきれなかった。その巨大な塊に巻き込まれ、背後に開いた別の門へと吸い込まれていった。
世界が回転し、色が混ざり合い、音が消えた。
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彼らは落下した。虚無へ落ちていくのではなく、硬い地面へと。埃っぽい、固い地面へ。
「ああ…」
ユキナはうめいた。体中が痛む。彼女はなんとか立ち上がろうとする。
隣ではリョウジョが体を起こしていた。こめかみからは少し血が出ているが、意識ははっきりしている。
「ここは…どこだ?」
そして彼らの正面には——彼らに突っ込んできたあの巨大な塊が横たわっていた。
リョウジョは目を見開いた。
「…キヨ先生?」
「誰?」ユキナが首を傾げる。彼女の目の前には、中年の男が倒れていた。彼の手には巨大な盾が握られている——その盾は真ん中から大きく割れている。
「学園の教師だ。名前はキヨ先生。」リョウジョは簡潔に答えた。
ユキナは眉をひそめたが、それ以上は尋ねなかった。
キヨは意識を失っていた。体中に傷があり、盾はひび割れている。
リョウジョが近づいて傷を調べる。「ひどい傷だ。」
「何が起きたんだ?」ユキナが尋ねる。
「彼が目を覚ますまではわからない。」リョウジョは唇を噛んだ。「しかし、明らかなのは——彼は何か非常に強いものと戦ったということだ。」
そう言って、彼らは周囲を見渡した。
ここはさっきまでいた場所とはまったく違う。頭上に広がる空はくすんだ橙色。そして、足元は——虚無ではなく、地表だった。乾ききった、ひび割れた、砂に覆われた大地。砂丘が果てしなく続いている。植物も、水も、生命の気配もない。
死の惑星。不毛で、静かで、荒廃していた。
リョウジョは沈黙した。
「…砂漠の惑星か。」
ユキナは長い息をついた。残りの魔力は少ない。身体が重い。
「…彼が目を覚ますのを待とう。」
リョウジョは異論を唱えなかった。彼はキヨのそばに座り、杖をしっかりと握りしめた。その目は、静かな砂漠の地平線から離れなかった。
「…彼にこんなことをしたのは、誰だ?」リョウジョが低く呟く。
ユキナは答えなかった。彼女はただ、頭上に広がる鈍色の空を見上げていた。冷たい風が吹き荒れ、ガラスの破片のように鋭い砂粒を運んでくる。
「…誰かを探さなきゃ。」ユキナが突然口を開いた。
リョウジョが振り返る。「誰を?」
「父さん。」ユキナの声はより強いものになっていた。「ここから出られる方法を知っているのは、父さんだけだ。」
リョウジョは一瞬沈黙し、未だに意識を失っているキヨに目をやった。「…本当に学園長が生きていると思うのか?」
「確かではない。でも、信じている。」ユキナがリョウジョを真っすぐに見つめた。その目は真剣だった。「父さんはこんな場所で死ぬような人じゃない。彼ならきっと、生き残る方法を見つけている。そして、脱出する方法も——。」
リョウジョは反論しなかった。ただ静かにうなずいた。
「…わかった。だが、その前にキヨ先生を起こさなければ。」
ユキナもうなずいた。彼女はキヨのほうへ向き直った。キヨはまだ意識を失っている。盾は握ったまま、割れたままだ。体中の傷は乾き始めているが、深く、危険な傷が残っている。
「傷を癒やせるかもしれない。」ユキナが言った。
リョウジョが顔を上げる。「できるのか?」
「専門じゃないけど、少しは軽くできるはず。」ユキナはキヨに近づいた。彼女の手が黄金色に輝き始める。
その光の手が、ゆっくりとキヨの傷の上をなぞっていった。
黄金の光が彼の全身を包み込み、傷が徐々に塞がっていく。荒かった呼吸が、次第に落ち着いていく。
しばらくして、キヨが小さくうめいた。
「…キヨ先生?」リョウジョが声をかけた。
キヨがゆっくりと目を開けた。まだ焦点は定まらないが、意識は戻ったようだ。
「…リョウジョ…?」掠れた声で彼は言った。「お前は…無事だったのか…」
「その言葉、そっくりそのままお返ししますよ。」
ユキナはほっと息をつき、かすかに微笑んだ。
「よかった…」と彼女は呟いた。
リョウジョがキヨを起こして座らせた。キヨは痛みに顔を歪めたが、何とか体を動かせるようだ。
「…何があったんだ?」リョウジョが尋ねた。
キヨはゆっくりと首を振った。「…わからん。ある場所に落ちて…襲われて…その後のことは覚えていない。」
「ここは砂漠の惑星だ。」ユキナが言った。「正確な場所はわからない。でも、とにかくここを離れなきゃ。」
キヨがユキナを見つめる。「…君は?」
「ユキナです。転入生です。」
キヨはただ軽くうなずいた。それ以上は何も聞かなかった。疲れすぎていて、質問する気力もなかったのだろう。
リョウジョが立ち上がり、周囲を見渡した。
「…学園長を探すぞ。」
ユキナが顔を上げる。その目がわずかに見開かれた。
「…父さんを探すのを、手伝ってくれるのか?」
「別にお前のためじゃない。」リョウジョは鼻で笑った。「俺もここから出たいんだ。学園長だけがその方法を知っているなら、俺も一緒に探すだけだ。」
ユキナは微笑んだ。先ほどよりも、もっと温かい笑顔だった。
「…ありがとう、リョウジョ。」
リョウジョは答えなかった。しかし、口元がわずかに上がった——それが彼の笑顔なのかもしれない。
三人は、静かな砂漠の真ん中に立っていた。
キヨはまだ完全には回復していないが、立ち上がることはできていた。
そして、遠く——終わりのない砂漠の彼方で、何かが砂の下をゆっくりと動いていた。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
次回もどうぞお楽しみに。




