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崩壊した世界で自分を探して 〜終わらない再構築のループと、夢の中で出会う謎の少女〜  作者: スズミヤ
第一章 全ての終わり

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英雄の目覚め

融合領域の中で、激闘が続く。


ミカとユキナの攻撃は届かない。ジョロトの力は圧倒的だ。


「弱い者を屠ることに、興味はない」


そう言って彼が向けた指先——標的は、ミカだった。


進化。空間操作。時を止める力。


それでも——敵は笑う。


「ますます、お前を殺したくなった」


すべての力が吸い尽くされたその時、空が割れる。

融合領域は、まだしっかりとその姿を保っていた。


夜空が広がる。大きな青い月が静かに輝き、その光が地面に柔らかく降り注ぐ。銀色の花園はどこまでも続き——一つ一つの花びらが月明かりの下で宝石のようにきらめいている。そして空には、散らばる星々の間に、紫と緑のオーロラがゆっくりと動いている。光のカーテンがそよ風に揺られているかのように。


しかし、その美しさの中では——戦いが繰り広げられていた。


ミカが先に動いた。


「ミコウト! 氷剣連鎖!」


無数の氷の剣が空中に現れた。数十ではない——数百だ。それらはミカの後ろに整列し、その切先をジョロトに向ける。手を一振りすると、剣たちは一斉に飛び出した——正面、背面、左、右、上。すべての方向から襲いかかる。


しかし、ジョロトは動かない。避けない。まばたきさえしない。


彼はただそこに立っている。黒いスーツのポケットに手を入れたまま。氷の剣がほとんど彼の体に触れようとしたその瞬間——すべてが消え去った。まるで水が乾いた地面に落ちるように。爆発もない。音もない。ただ——消える。


「ミコウト! ファズマファントム!」


ミカは諦めない。高速の連続攻撃が放たれる。波のように、何層にも重なった氷のエネルギーが次々と襲いかかる。速く、より速く。激しく、より激しく。


ジョロトは片手を上げた。手のひらを開く。すべての攻撃がその前で止まった——空中で凍りついた——そして粉々に砕け散った。


「ミコウト! スターグレイザー!」


巨大な氷の攻撃が放たれた。その大きさは通常の二倍。氷はより濃く、より暗く、より冷たく。


ジョロトはそれを手の甲で弾いた。


ドン!


攻撃は横にそれ、領域の地面に激突した。氷が粉々に砕け散る。周囲の銀色の花園がその衝撃で壊れた。


ジョロトの背後にいたユキナも攻撃を仕掛ける。


「ぴょ! ガンマブラスト!」


しかし、何度やっても、その攻撃はまったく効果がなかった。


「なかなかやるな」ジョロトは淡々と言った。「だが——」


彼は指を鳴らした。


バンッ!


指を一回鳴らしただけだ。


しかし、その爆発は——凄まじかった。


ミカとユキナは吹き飛ばされた。彼らの体が地面から浮き上がり、一瞬空中に浮遊し、そして領域の地面に激しく叩きつけられた。数回転がってようやく止まる。ミカの唇の端から血が滴る。胸は苦しい。息は荒い。


ミカは後ろを振り返った。


ミヤがまだそこに立っていた。動かない。微動だにしない。彼女の目は虚ろにミカを見つめている——しかし、いつもとは違う。何かがある。恐怖? 混乱? それとも——罪悪感?


ミヤ……


ミカは声を絞り出した。手で地面を掴み、起き上がろうとする。しかし、体が応じない。


「ミヤ……」彼は静かに繰り返した。そして、もっと強く叫んだ。「ユキナ! ミヤを守れ! 」


ユキナはすぐにうなずいた。何も聞かない。反論もしない。彼女はテレポートした。


ミカのそばではない。


ミヤのそばへ。


ユキナはミヤの前に立った。両腕を広げる。顔は真剣だ。目は瞬きもしない。


ジョロトは小さく笑った。


「知ってるか、俺はヴォイド・リーパーズの将軍で、英雄を屠るよう命令されているんだがな……弱い者を屠ることに興味はないんだ」


彼は手を上げた。手のひらをミカに向けて。


「お前が守るべきなのは、そっちのガキだろう。彼女じゃない」


ユキナはそれを聞いた。


目を見開く。


そっちのガキ——ミカのことだ。


間違えた。彼女は間違った人間の前に立っていた。危険なのはミヤではない。ミカだ。


反射的に——彼女の体は光に変わった。


瞬間テレポート。


瞬きする間に、彼女はミカの隣に立っていた。両腕を広げる。その手のひらから、金色の光が輝く。


「ぴょ! ステラバリア!」


最強の光の防護壁が現れた——まるで天使の翼のように、彼ら二人を守る。その光は暖かい。そして——固い。


ジョロトが攻撃を放つ。


ドォンッ!


大爆発。粉塵が辺り一面に舞い上がる。


ユキナの防護壁は粉々に砕け散った。金色の光が、床に落ちたガラスのように砕ける。


ミカとユキナは吹き飛ばされた。


二人は隣り合って倒れる。体は領域の地面を転がり、数メートル離れた場所でようやく止まった。服には埃が付着し、顔には血が付いている。


ミカはユキナの方を向いた。そして、感謝する代わりに——怒った。


「何やってんだお前は?! なんで俺を庇うんだよ?!」


ユキナも負けずに叫び返す。


「あんたを守ったんだよ、バカ! このままじゃあんた死んでたんだからね!」


「だったら死なせろ!」ミカは叫んだ。


「うるさい!」


その声はユキナのものではなかった。


上から——ジョロトだ。


その顔は冷たい。目は退屈そうだ。彼はもう笑っていない。


「俺はガキの喧嘩を見に来たんじゃないんだ。クソガキども」


ミカとユキナは黙った。


ジョロトは再び手を上げる。今度は——より高く。よりゆっくりと。より力強く。


「どうやら、お前たちの力はその程度だったようだな?」


二度目の攻撃が放たれる。


しかし——彼は戸惑った。


領域が壊れていない。


本来なら、領域の持ち主が死ぬか魔力を使い果たせば、領域は崩壊するはずだ。しかし、この領域は——まだ崩れていない。ひび割れてはいる。しかし、まだ壊れていない。


ジョロトは気づいた。彼らはまだ生きている。しかし、すべてが手遅れだった。


音が消えた。静まり返った。しんとしている。


その静けさの中で——ジョロトの攻撃が彼らに当たるその前に——ミカが呟いた。


声は小さかった。ほとんど聞こえないほどに。


「ミコウト……空間を裂く剣の進化」


(ミコウト……クウカンオサクケンノシンカ)


彼は進化した。


黒かった髪が白く変わっていく。暗かった瞳が明るい青に変わる——その中心に、月の紋章が輝いている。


その力が急激に跳ね上がる。


ジョロトの攻撃が襲いかかった時——ミカは避けなかった。隠れもしなかった。彼はそれを弾き返した——素手で。


さっきまで彼を殺しかけた攻撃が——今や、ただの風の息吹に過ぎない。


ジョロトは眉をひそめた。


「なに——」


ミカは待たなかった。


彼は空間を操作した。


この領域の中で、時間が止まった。


オーロラが止まる。銀色の花がその場で凍りつく。月明かりが空中で凍りつく。何も動かない。誰も息をしていない。


動けるのはミカだけだ。


彼はまっすぐにジョロトに向かって突撃した——何も言わず、躊躇もせず。ただ一つの目的のために:これを終わらせるために。


しかし——ジョロトが突然動き出した。


彼は避けた。


横にスライドする。シンプルに。優雅に。何も異常がないかのように。


ミカは止まった。


目を見開く。


「なんで……この状態で動ける奴がいるんだ?」


ジョロトは再び笑った。さっきまでの笑顔とは違う。退屈そうな笑顔でもなければ、嘲るような笑顔でもない。その笑顔は——興味を持った。


「おやおや……なるほど、お前は空間を操れるのか。強いな、ミカ。お前をますます殺したくなったよ」


ミカは歯を食いしばった。


負けるわけにはいかない。今は。


「ミコウト! トゥルーアウトプット! スターグレイザー!」


空から、氷の光が高速でジョロトに向かって襲いかかる。


「はっ、またその攻撃か? お前は俺のことをなんだと思って——」


言葉を言い終える前に、ジョロトはミカの攻撃を食らった。爆発が辺り一帯を破壊する。粉塵が消えた後、ジョロトは攻撃の影響を受けていた。


その好機を逃さず、ミカはすぐに空間の中に空間を作り出した——ジョロトをその中に閉じ込める。見えない壁がジョロトの体の周りに立方体を形成する。そしてミカはその空間の中で連続斬撃を追加した。ジョロトは外に出られない。攻撃もできない。ただ防御するしかない。


「これでお前はどこにも行けないぞ」


ミカは最強の攻撃を放とうと構えた。


「ミコウト! 空間を切り裂く一——」


しかし、ミカが攻撃を放つ前に——彼の作り出した空間が崩壊した。


バキッ。


ガラスがひび割れるように。空間が壊れた。


ジョロトは帽子を脱いだ。


その黒い帽子——奇妙だ。普通、帽子はただの帽子だ。しかし、この帽子は違う。この帽子は生きているかのようだ。周囲の光を吸収しているかのようだ。力を吸収しているかのようだ。


「そうだ、その通りだよ、ミカ。俺はオーソリティ・グラトニーの力を使って、お前の作り出した空間を吸収したんだ。どうした? 驚いたか? お前が進化しても……俺の方がまだまだ強いってことだ」


ジョロトは帽子の中に手を入れた。マジシャンのように。彼は何かを取り出した——剣だ。彼の神器。


その剣は真っ黒だった——彼のスーツよりも黒く、彼の帽子よりも黒い。奇妙な彫刻がその表面を飾っている——まるで蛇が這い回るかのように。


「さて」


ジョロトは剣を掲げた。


「もう十分遊んだな、ミカ」


彼はその言葉をゆっくりと発した。そして——


「とく……大食いの支配」


(とく……オオグイノシハイ)


周囲のマナが吸い寄せられる。少しずつではない。ゆっくりでもない。すべてが。例外なく。


空気、地面、光、音さえも——すべてがジョロトの剣の上に現れた黒い穴に吸い込まれていく。その穴は大きくない——ボールほどの大きさだ。しかし、その力は——とてつもない。


ミカが時間を止めるために操作していた空間——ついに崩壊した。


時間が再び動き出す。


ユキナとミヤは驚いた。


彼らはミカを見る。白くなった髪。月の紋章が浮かぶ青い瞳。その姿は変わっている。ユキナは初めてそれを見た。


彼らはまたジョロトを見る。彼の剣の上で、黒い穴が開き続けている——すべてのマナをその中に吸い込んでいる。


そのグラトニーの力のせいで、領域は均衡を失った。


銀色の空にひび割れが現れる。


銀色の花園が一つまた一つと崩れていく。


オーロラが消える。


バキ……バキ……バキ……


融合領域は——崩壊した。


彼らは元の場所に戻った。空中での自由落下。地上から一万メートルの高さ。風が耳元で唸る。


ミカはもう無力だった。彼のマナはすべて吸い取られた。ほんの少しだけ残っている——進化モードを解除するのに十分なだけだ。


髪は黒に戻る。


目も元の色に戻る。


彼は落ちていく——動けない。何も言えない。


ユキナは残り少ないマナを使い、なんとかテレポートした。少なくとも彼女はまだテレポートできた。


彼女はミヤの手を掴み、すぐにミカのそばへ移動した。


「ミカ! 早く私の手を掴んで!」ユキナは叫んだ。風が彼女の声の半分を飲み込む。


しかし、ミカが手を伸ばす前に——


ミヤはジョロトを見た。彼はその黒い穴をミカに向けていた。


ミヤの心が叫ぶ。


「あの攻撃……ミカに向かってるんじゃないか? くそっ……どうして私はいつも役に立たないんだ? どうして私はこんなに弱いんだ? どうして? ミカはいつも私たちを守ってくれているのに……私は彼のために何ができるっていうの?」


ジョロトがその黒い穴を投げる。


その攻撃がミカに当たる前に——ミヤは再び心の中で呟いた。


私って……本当は英雄なのか? もしそうなら、どうして一度も誰かを救ったことがないんだ?


突然——声がした。どこからともなく。


「お前は英雄だ」


時間が極端に遅くなる。


「だから、その力を使え」


黒い穴が——少しずつ——どんどん速くミカに向かって進む。


その遅くなった時間の中で、ミカは呟いた。


「ああ、くそっ……どうやってこの奴を倒せばいいんだ? まあいい、俺が死んだらすぐに学園に走って像を壊すだけだ」


その黒い穴がミカの体に触れる前に——誰かが高速で飛び出した。その人物は黒い穴を斬り裂いた。


シュンッ——バキッ!


凄まじいマナの爆発が起こる。まばゆい光が空を満たす。衝撃波が四方八方に広がる。


ミカとユキナは落下を止めた。どうやら彼らはあの爆発から生き延びたらしい。


そのマナの光が少しずつ薄れていく。そして、その人物が姿を現す。


「えっ、あの人は? あの夢の中にいた人みたいだ……まさかあの人なのか?」


光が完全に消えた時、ミカの疑問は解けた。


その人物は——ミヤだった。


ミヤの髪——本来はすべて青かったのに——今は半分が薄緑色に変わっている。春の若葉のように。これまでに見たことのない、かすかな光のように。


彼女の目——本来は青かったのに——今は半分が薄緑色に変わっている。


彼女は自分の鉄の剣をしっかりと握りしめている。その剣は砕けた。しかし、その破壊の中から——新しい剣が生まれた。それは神器だった。緑がかった光がその刃を包み込む。


ミヤは空を向いた。遠くから自分を見ているジョロトを見上げる。


「はははははは!」


ジョロトの笑い声が空に響く。


「どうやら英雄が目覚めたようだな? ますます面白くなってきたぞ! お前たち全員、俺が殺してやる!」

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。次回もお楽しみに。

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