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崩壊した世界で自分を探して 〜終わらない再構築のループと、夢の中で出会う謎の少女〜  作者: スズミヤ
第一章 全ての終わり

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刻を止める者

大切な人が、刃の先にいる——。


彼は、ずっと封じてきた何かを解き放つ。


時は止まり、月が斬られる。


百メートルの氷円環が、夜を凍てつかせる——。

戦いが始まった。メイジの連鎖する風の斬撃と、アーチャーの放つ雷の矢が彼らに降り注ぐ。


「みんな、すぐに頭を下げろ! 進化せよ、プラチナシールド——拡大!」


キヨの盾が大きく広がり、連続攻撃から全員を守り抜く。


「中級出力——雷撃破!」


リョウジョが反撃の雷を放ち、敵の陣形を崩す。敵は攻撃を止め、ミカに反撃の好機が生まれる。しかしミカは反撃に出なかった。彼は敵の全員の位置を分析することに集中していた。しかし、前回と同じように、アサシンの気配だけは見つからない。その存在が完全に消えていた。


「なにこの戦い……まったくテンポについて行けないよ」


ミヤは、圧倒的な力の差にただ立ち尽くすしかなかった。


一方、リョウジョはアーチャーとメイジにやや追い詰められていたが、それでも二人に対抗し続けていた。


「連鎖雷球!」


リョウジョが放った攻撃は、すべて打ち消され、爆発の煙だけが立ち込める。


その煙の中から、アーチャーの矢が放たれる——だが、今度の矢はこれまでとはまったく違う。巨大だ。大きさとは裏腹に、その速さは雷光のようだった。


リョウジョは防御だけでも十分だと考えたが、敵の二人が同時に襲いかかってくるのを見て、考えを変える。


彼は神器を抜き放ち、反撃に出た。


「嵐——中級領域、雲ノ極楽!」


アーチャーの矢がリョウジョに届くその瞬間、空から雷が落ち、巨大な矢を粉砕し、敵二人を襲う。


気づけば、周囲のすべてが灰色の雲に覆われていた。大地も空も——すべてが変わり果てている。


この領域は、リョウジョが敵と認識した者を自動的に攻撃し続ける。標的が死ぬか、領域が崩壊するまで、雷は絶え間なく降り注ぐ。


リョウジョの領域によって、ついにアサシンの居場所が明らかになる。


それを見たミカは、狙いを定めたすべての敵に一斉に攻撃を仕掛ける。


「ミコウト! 最大出力——氷剣連鎖!」


「嵐! 開放——雷龍!」


リョウジョも同時に攻撃を放つ。


猛攻を悟った敵は、タンクの後ろに集結して防衛態勢をとる。二人の放った攻撃は、そのまま敵陣へと突き刺さる。


キヨも黙って見ていたわけではなかった。


「おい、ミヤ! その大剣を燃やして、俺に向かって投げろ!」


呆然としていたミヤが、はっと我に返る。彼女は大剣を燃やし、キヨに向かって投げた。


「はい、キヨ先生!」


「よし、くらえよクソ野郎ども! プラチナシールド——破壊モード! 鏡面反射!」


攻撃は隕石のように猛スピードで敵を襲い、炸裂する。爆発の煙が視界を遮るが、リョウジョの領域の雷は絶え間なく敵を攻撃し続けた。


誰もがこれで終わった——勝った——と思った。


しかし、ミカはまだ警戒を緩めなかった。


本当にこれだけなのか? 前のループでは、反撃する間もなく全滅させられたのに。


ミカの直感は的中する。彼は敵の方向から、二つの強大な力を感じ取った。


「リョウジョ! まだ終わってない! 早く攻撃を! ミコウト! スターグレイザー!」


リョウジョはミカの言葉に驚き、すぐに切り札を放つ。


「嵐! 雷光天裂!」


キヨも煙の中へと走り出す。


しかし、すべては手遅れだった。


煙が一瞬で晴れる。そこには、キヨの反射で自らの剣に貫かれて絶命したタンクの姿があった。ウォーリアーの右腕は切断されている。しかし、残る三人——メイジ、アーチャー、アサシン——は無傷だった。


メイジが杖を天にかざす。


「——大領域、破壊嵐!」


リョウジョの領域は瞬時に粉砕され、敵の領域が世界を覆い尽くす。


領域のシステムにおいて、最も規模の大きい領域が優先される。領域が上書きされるのは、より強力な領域が発動されたか、五秒が経過した場合のみだ。


嵐の風が彼らを襲う。体を斬り裂く風の刃が、いつどこから飛んでくるかわからない。


リョウジョは必死に詠唱を試みるが、斬撃が絶え間なく襲いかかり、集中することができない。


「——風斬・崩壊!」


風の刃が彼らに向かって一直線に放たれる。


キヨが素早く全員を守る。


「俺の後ろに隠れろ! 進化防御——ダイヤモンドバリア、拡大!」


攻撃はキヨのバリアに命中し、なんとか防ぎきる。しかし、その直後——風の刃の陰に隠れるように、アサシンの深淵の斬撃が襲いかかる。


あまりに強大なエネルギーの前に、キヨは耐えきれない。攻撃は地面に激突し、巨大な爆発を引き起こす。


瓦礫が飛び散り、粉塵が舞い上がる。


爆発の衝撃で全員が吹き飛ばされる——ミカも例外ではなかった。


ミカはパニックになりながら、ミヤの姿を探す。


「ミヤ! どこだ、ミヤ!」


遠くで、粉塵で目をやられたミヤが、目をこすっているのが見える。


「ミカ、どこにいるの?」


ミヤはまだ目が見えないまま、声を返す。


そして——ミカが最も恐れていたことが起こる。


アサシンが、すでにミヤの背後に立っていた。剣を振りかざし、今まさに振り下ろそうとしている。


「やめろ……お願いだ……彼女に触れるな!」


ミカは恐怖し、泣き叫ぶ。ありとあらゆる感情が渦巻く。


アサシンの腕が動く——ミヤを斬り捨てるために。


「ミヤ——————————————————!!」


——その瞬間、時が止まった。


領域の中ですらない。しかし、ここで支配しているのはミカだった。


彼は神器を握りしめ、目を開く。


黒かった髪が、一筋、また一筋と白く変わっていく。瞳が輝き、青く染まり、その奥に月の紋章が浮かび上がる。


ミカはゆっくりと、アサシンの方へ歩み出す。


トク……トク……トク……トク……トク……トク……トク……トク……トク……トク……トク……トク……


「ミコウト——月華、月を斬る」


ミカの剣から、銀青の光の円環が広がり始める。それはただの衝撃波ではない——空間そのものを切断している。その軌跡は、まるで空が割れたかのような亀裂を残しながら、どこまでも広がっていく。


円環は、ありえない速度で拡大する。


一秒——アサシンの位置を通過する。

二秒——遠くのメイジとアーチャーに到達する。

三秒——半径百メートル全体が、この円環の斬撃に飲み込まれた。


パキ……


小さな音が聞こえ始める。静かに。そして徐々に、その音は大きくなり、広がっていく。ミカの斬撃に捉えられたすべての者——アサシン、ウォーリアー、アーチャー、メイジ、そしてすでに絶命していたタンクでさえも——その全身に亀裂が走る。


パキ……パキ……パキ……


亀裂の音が戦場全体に響き渡る。ますます大きく、ますます速く——そしてついに——


パキィィィン——!


敵は全員、敵の領域もろとも、粉々に砕け散った。


瞬く間に、無数の青い結晶の破片が、星屑のように舞い散る。破壊嵐の残骸と混ざり合いながら、一瞬の輝きを放って消えていった。


時は動き出す

最後の結晶の破片が地面に落ち、周囲の氷が静かに凍りついていく。世界は一瞬、呼吸を止めた。


そして——


風が吹く。


時が再び動き出す。


そこにいた誰もが、ただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。氷に凍らされたわけではない。あまりの衝撃に、心ごと凍りついてしまったのだ。


キヨは言葉を失っていた。


手にしたプラチナの盾が、ゆっくりと下がっていく——自ら下ろしたのではない。手が制御できないほど震えているのだ。


「……ミカ?」


その声は、ほとんど囁きだった。今まさに目撃した出来事を、まだ信じられずにいる。


彼は左右を見渡す。半径百メートル。すべてが凍りついている。大地も。瓦礫も。空気さえも。敵の姿はどこにもない。先ほどまで猛威を振るっていた敵の領域——あの破壊の嵐——も、跡形もなく消え去っていた。まるで、最初から存在しなかったかのように。


キヨは、氷の円環の中心に立つミカの背中を見つめる。


このガキ……一体、何をしやがったんだ……?


一方、リョウジョは倒れた場所に膝をついたままだった。


先ほどまでメイジとアーチャーを相手に戦い、息は乱れていた。しかし今は、その呼吸さえも喉の奥で止まっている。


彼の目は見開かれていた。


さっきまでミカの髪は白かった……瞳は青く、月の紋章が浮かんでいた……そして今——


リョウジョは地面を見下ろす。氷。すべてが氷だ。吸い込む空気さえも、肺を刺すような寒さだった。


彼は神器を握りしめる。その手は震えていた。


こいつ……ずっと……こんな力を……?


その頃、ミヤもまた、言葉を失っていた。


粉塵で閉ざされていた目が、今は大きく見開かれている。彼女は、先ほどアサシンに背後から襲われた場所——そのままの場所に立っていた。


彼女は背後を振り返る。


誰もいない。


ただ、青い結晶の破片だけが、ゆっくりと舞い落ちている。まるで流れ星のようにきらめきながら、やがて溶けるように消えていった。


あのアサシンは……


ミヤは思い出す。時が止まる直前の一瞬を。首の後ろに感じたアサシンの吐息を。肌に触れそうだった刃の冷たさを。


自分は——もう死んでいた。


いや、少なくとも——そう思った。


しかし、実際は——


彼女は、目の前に立つミカを見つめる。その小さな背中。黒い髪。前髪にたった一筋だけ残された白い髪。地面に向けられた、神器を握るその手。


彼が……私を助けたんだ。


助けただけじゃない。


たった一瞬で、すべての敵を一人で——今まで一度も見せたことのない力で——


「ミカ……」


声が掠れる。粉塵のせいか、あるいは——別の何かのせいか。目が潤む。手が震える。


言いたい言葉はたくさんあった。ありがとう。何もできなくてごめん。いつも足手まといでごめん。


しかし、そのどれもが喉の奥で詰まり、ただ彼の名前だけが紡がれる。


「ミカ……」


ミカは答えなかった。


彼はまだ、剣を地面に向けたまま立ち尽くしている。白く染まった髪は、今ではほとんどが黒に戻っていた。しかし、左の前髪に残る一筋だけは、白いままだった——永遠に変わってしまった何かの、名残のように。


息は荒い。


身体的な疲労ではない。


彼は——知っていた。自分が今、何を解き放ったのかを。ずっと押し殺してきた何かを。使いたくなかった何かを。


しかし——アサシンがミヤの背後に立った瞬間。剣が振り上げられた瞬間。恐怖に震えるミヤの声を聞いた瞬間——


すべてが、解き放たれた。


そして今、半径百メートルの氷の円環の中心で、まだ舞い散る敵の残骸を前に——


ミカはただ、剣を握りしめることしかできなかった。


静寂が、彼ら全員を包み込む。


キヨは盾を構えたまま、動けないでいる。リョウジョは膝をついたまま、呼吸を止めている。ミヤは涙をこぼすことなく、ただ立ち尽くしている。


そしてミカ——氷に閉ざされた静寂の中で、ただ一人だけが動いた。ゆっくりと、剣を鞘に収める。その音は、あまりに静かな夜に、あまりに大きく響いた。


剣は、やがてその姿を消した。


空には月が静かに輝いている。その光は、一面に広がる氷の表面に映り込み、きらめいている。まるで自然そのものが、今まさに起きた出来事を見届け、息を潜めているかのように。

ミカの本当の力、ついに発動。

戦いの後に残るものとは——。


どうぞお楽しみに。



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