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崩壊した世界で自分を探して 〜終わらない再構築のループと、夢の中で出会う謎の少女〜  作者: スズミヤ
第一章 全ての終わり

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氷月の光

限界を超えた先に、彼は何を見るのか。


新たなる力が、今ここに覚醒する。

彼は既に正気を失っていた。身体のそこかしこから黒いオーラが立ち昇り、その姿は見るも恐ろしいものへと変貌しつつあった。いや、もう変わり果てていた。深淵の力に完全に飲み込まれ、彼はまさに悪魔と化していた。




グロクはゆっくりと手をミカに向けて掲げた。ミカは即座に防御態勢を取る。この瞬間を、彼は既に経験していたからだ。




「ミコウト!マキシマムアウトプット!氷の守り!」




直後、グロクから放たれた深淵の一撃がミカを襲う。その威力は、かつてミカを襲った大魔導士のそれを遥かに超えていた。




バキバキバキッ!




ミカの氷の守りは、一瞬で粉々に砕け散った。余波がミカの身体を襲い、胸部を深く切り裂く。ミカは空中から地面に叩きつけられた。




「ぐはぁっ!…くそっ、俺の氷の守りが一撃で砕かれた…?ならば、ヨースケに教わったあの力を使うしかない…!」




グロクが再び手を掲げ、二度目の攻撃を放とうとしたその時——




ミカは手にした一振りの剣を強く握りしめた。それはかつて、地球で彼が手に入れた神器の剣だった。




「ミコウト!リミットブレイク!」




瞬間、ミカの身体中に途方もない魔力が溢れ出した。彼の瞳は蒼く輝き、髪の先端が少しずつ白く染まっていく。




グロクが放った二度目の深淵の斬撃が迫る。しかし今回は違った。ミカは剣を一閃させ、その斬撃を真っ二つに切り裂いた。




そして次の瞬間、ミカは地面を蹴り、悪魔と化したグロクに肉薄する。




ドォーン!




グロクは即座に周囲一帯を深淵のエネルギーで爆破させた。ミカはその爆発に呑み込まれ、数メートル後方に吹き飛ばされた。




煙が晴れた時、そこに立っていたのは——最早、グロクという名の人間ではなかった。完全に異形の悪魔と化した存在が、そこにいた。




グロクは再び手を掲げる。今度は一本の斬撃ではない。五本もの深淵の斬撃が同時に放たれた。




ミカはもう限界だと感じていた。しかし、彼は決して諦めなかった。




「…もういい、遊びはここまでだ。ミコウト!スモールドメイン——フロストムーン!」




ミカが足を地面に強く踏み鳴らした瞬間、世界が一変した。




気づけば、ミカとグロクは別の世界にいた。




冷たい霧が辺り一面を覆い尽くし、頭上には巨大な氷の月が低く浮かんでいる。足元には青々とした草原が広がり、冷たい風に揺れる草たち。そして、その草原の至る所で、青く輝く花々が咲き乱れていた。まるで青い光の海のような光景が、果てしなく続いている。




全ての花びらが冷たい月光を反射し、この神秘的な空間にさらに荘厳な雰囲気を醸し出していた。




これこそが、ミカが編み出した力——直接的に敵を破壊する領域ではない。しかし、この領域の中では、ミカは絶対的な力を発揮することができる。それが、凍月——フロストムーンの真の力だった。




正気を失ったグロクは、この異様な空間にさらに狂暴化した。彼はありったけの深淵の炎を周囲一帯に撒き散らし、破壊の限りを尽くそうとする。




しかしミカは動じない。




「ミコウト!フルリリース!ファズマファントム!」




ミカの一撃が、グロクの身体を捉えた。その衝撃は周囲の景色を一瞬で破壊し尽くす。




グロクは地面に倒れ、もはや立つ気力さえ失っていた。しかしその身体の中では、まだ膨大な深淵の魔力が渦巻いている。彼は最後の力を振り絞り、自爆でミカを道連れにしようと試みた。




その瞬間、ミカは最期の技を放った。




「ミコウト!トゥルーアウトプット!スターグレイザー!」




空に巨大な山羊の骸骨が現れた。その口がゆっくりと開き、途方もない光の奔流がグロク目がけて放たれる。




光はグロクを捉え、彼の身体を執拗に破壊し続けた。そして魔力の限界を迎えた瞬間、大爆発が起こった。




ドォォォォォン!




爆発の中で、一つの囁きがミカの耳に届いた。




「中々やるじゃないか?早くお前に会って、殺してやりたいな、ミカ」




次の瞬間、ミカのドメインは崩壊した。




領域の中の爆発は、現実世界にも影響を及ぼした。アリーナ一帯から凄まじい冷気と氷の残滓が噴き出し、辺り一帯に吹き荒れる。その結果、アカデミー全体に雪が降り始めた。




ミカは崩れた地面に座り込み、先ほど聞こえた言葉を反芻していた。




「…まだ…あんなに強い敵がいるのか?今回の相手に勝つのも、こんなに必死だったのに…」




彼の目は深い疲労と、わずかな恐怖に曇っていた。




そこへ、ミヤが駆け寄ってきた。彼女は何も言わずにミカを強く抱きしめた。




「ミカ…大丈夫なの?どうしていつも…いつも自分の命を賭けるの…?」




ミヤの目からは、大粒の涙が溢れ出していた。




ミカはそっと彼女の頭を撫でながら、小さく呟いた。




「…せめて、彼女は守れた。これからは、もっと強くならなければ…もっと危険な敵に立ち向かうために」




雪は静かに降り続ける。まだ見ぬ強敵の存在を予感させながら。

皆さん、読んでいただきありがとうございます。もし私の作品を気に入っていただけましたら、サポートとして星やブックマークを付けていただけますと幸いです。次の更新もどうぞお楽しみに!



また、私の別作品『連載 全員の『プロットステータス』が見える俺が、愛する可愛い彼女はただのモブキャラで、プロット通りに死ぬ運命だと知った——だから俺は、この世界の脚本を破壊することに決めた。』もございますので、ご興味があればぜひ読んでみてください :)

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