運命の戦い
彼の目に映るのは、復讐か、それとも希望か。
新たな戦いの火蓋が、今切って落とされる。
グロクが先手を打った。無数の火の玉がミカ目がけて降り注ぐ。
ミカは既にこの攻撃を予測していた。彼は即座に防御壁を展開し、すべての火の玉を防ぎ切った。
「おい、弱虫ガキ!戦おうぜ!守ってばかりの臆病者、クズ野郎め!」
グロクはミカを挑発し、嘲笑った。
しかしグロクは知る由もなかった。今、自分が向かい合っているミカが、最初のループのミカとは全く別物だということを。
防御壁の後ろにいたはずのミカが、突如として姿を消した。グロクは即座に警戒を強め、周囲全体に意識を張り巡らせる。そして見つけた——ミカは上空に浮かび、手を掲げていた。
「ミコウト!『連斬剣』!」
瞬時にして、空は無数の氷の剣で埋め尽くされた。それら全てが一斉にグロク目がけて猛スピードで降り注ぐ。
しかし今回は前回とは違う。グロクは氷の中に閉じ込められなかった。彼は即座に防御壁を展開し、必死に耐え始めた。
だが、あまりにも多すぎる氷の剣の猛攻に、グロクの防御壁は耐えきれず、ついに砕け散った。数本の氷の剣がグロクの身体を切り裂き、彼は初めてダメージを負った。
「この…このクソガキがぁ!よくも俺のプライドを傷つけてくれたな!絶対に殺してやる!」
激怒したグロクは理性を失い、持てる全ての力を解放し始めた。本来ならば、この時点で彼は反則負けとなるはずだった。しかし彼はそんなことなど構わず、ミカへの攻撃を続けた。
「ゾウ!マキシマムアウトプット!ハイドラドラゴン!」
巨大な魔力を纏ったドラゴンがグロクの周囲に現れ、ミカに襲いかかる。
ミカも負けじと反撃する。
「ミコウト!ミドルアウトプット!ファズマブラスト!」
二つの力が激しくぶつかり合い、アカデミー全体が大きく揺れた。その衝撃は凄まじく、周囲の温度は冷熱入り混じって不安定になる。それでも二人は戦いを止めない。
この光景を目の当たりにした生徒たちは、もはやこれが模擬戦ではないと悟った。まるで本物の戦争のような光景に、彼らは一斉にアリーナから逃げ出した。
観客席で見守っていたミヤは、グロクの明らかな反則行為に激怒し、アリーナに飛び込もうとした。しかしその肩を、ミサキが強く掴んだ。
「ミヤ、何を考えても無駄だ。あそこに行くな。お前はただ、彼の邪魔をするだけだ」
ミヤはミサキの手を振りほどこうとしたが、力で敵わない。
「邪魔だぁ?私はミカをあのクソ野郎から助けに行くんだ!」
頑なに聞く耳を持たないミヤに、ミサキは仕方なく力を行使することにした。
「すまない、ミヤ。ヨク!マキシマムアウトプット!永久の拘束!」
ミヤは不意を突かれ、身体が雷の鎖で縛り上げられた。
「諦めろ、ミヤ。お前がどんなに強く抗っても、その鎖はお前を攻撃し、より強く縛り上げるだけだ」
ミヤは驚愕し、怒り狂った。
「何をするんだ、ミサキ!離せ!私はミカを助けに行くんだ!」
その瞬間——アリーナから放たれた氷の剣が、目にも止まらぬ速さでミヤを縛る鎖を粉々に打ち砕いた。
ミカは冷めた目でミサキを一瞥した。しかし彼はミサキを攻撃することなく、遠くから叫んだ。
「ミヤ!この戦いに首を突っ込むな!それと、ミサキ!ミヤを連れてここから離れろ!ただし、もし彼女に怪我をさせたら、真っ先にお前を殺す!」
ミヤはその言葉を聞き、ようやく落ち着きを取り戻した。彼女はミサキと共に、アリーナを後にすることを決意した。ミサキは一瞬、ミカの鋭い眼光に恐怖を覚えたが、それでもミヤを連れてその場を離れた。
「この…このクソガキがぁ!ここで終わりにしてやる!」
グロクは最後の詠唱を始めようとした。その時——
ドボンッ!
突如として現れた巨大な水の手がグロクを掴み、彼の詠唱を強制的に中断させた。
その正体は、この試合の審判だった。
「グロク!お前の度を越した行為により、この試合、お前の反則負けとする!」
審判がそう宣告した瞬間、ミカは激怒した。
「何やってんだ、てめぇ!なぜ早くこの場から逃げ出さなかった!」
審判はミカの言葉に反論した。
「逃げるだと?私はこの試合の審判だ。お前ごときが、私に命令できると思っているのか?私がここにいるのは当然—」
ブシャアッ!
審判が言葉を言い終える前に、彼の身体は真っ二つに斬り裂かれた。血しぶきが飛び散り、内臓が地面に零れ落ちる。
その攻撃の主は——グロクだった。
いつも読んでいただき、ありがとうございます!
この作品を気に入っていただけましたら、いいねや応援よろしくお願いします!
次回の更新は日曜日を予定しています。




