甘ロリドレス
ピンク頭の生物——アイリは、これからの行動計画を脳内で組み立てながら、泥人形に手を引かれるまま大人しく歩いていた。
ところが気がつくと、彼女はベッドに押し倒されていた。
あろうことか、前世から持ち出した大切な、本当に大切にしていた甘ロリドレスが、泥人形の手によって無惨に引き破られていく。
その瞬間、アイリの脳内で何かがパチンと弾けた。
カッとなった彼女の体は、まるでパッシブスキルであるかのように瞬時にドロドロとした粘体へと変化し、目の前の泥人形——もとい第1王子ルイを、頭から一気に丸飲みにしてた。
――ルイを丸飲みして得られたスキルは、以下の通りである。
『ストライクゾーン拡大』『絶倫』『血流循環・硬化』『魔力循環・硬化』『嗅覚』
見事なまでに、今のアイリにはこれっぽっちも役に立たないゴミスキルのオンパレードだった。
なかでも、現状最も必要のない『嗅覚』が本当に最悪である。
どうやら常時発動のパッシブスキルらしく、手に入れた瞬間に室内の悪臭が濃厚な津波となってドッと押し寄せてきた。
鼻が曲がるというレベルではない。
後頭部を鈍器で殴られたような激痛が走るほどの臭気に、部屋中が満ちあふれている。
(城内で一番清潔とか豪語してたくせに、この臭さは何なのよ……!)
アイリは慌てて人型に戻り、近くのシーツで鼻を拭った。
が、そのシーツすら肥溜めの臭いがする。
一刻も早くここを離れ、そして破かれてしまった甘ロリドレスの代わりを探さなければならない。
前世から命懸けで持ち出した逸品なのだ。
値段などつけられるはずがない。
弁償代代わりに、城のドレスを頂いていくのは当然の権利だった。
アイリは手元の攻略本を頼りに、女性王族の離宮へと向かった。
そうして5時間ほど、王女殿下の部屋でドレスをとっかえひっかえしながら、優雅にファッションショーを堪能した。
その間に王女殿下や女王陛下、ついでに侍女やらが次々と部屋に突入してきたが、ドレス選びの邪魔なので全員丸飲みにして片付けた。
彼女たちからはこれといった有用な戦闘スキルは得られなかったが、オマケで手に入った『テーブルマナー』『髪結い』『化粧』『着付け』の生活系スキルは、女の子としてちょっと嬉しかった。
そして――お気に入りの一着を選び抜き、部屋の片隅に佇んでいた「泥人形第2号」をすんなりと完食してしまってから、得たスキルにより重大な事実に気がついた。
『虚飾』『保身』『傲慢』『虚勢』『棚上』『イエスマン包囲』
もしかして、今さっき私の胃袋の中で綺麗に溶けて消えたのって……俺様系の第2王子カインじゃなかったかしら?
なんてこった!!!
攻略対象全員の顔を見比べて、誰を一番先にじっくり攻略するかを決めるという、私の完璧な乙女ゲーム攻略計画が早くも崩壊しているではないか!!!!
だいたい、週1くらいに投稿。
土曜朝8:10に予約する事が多いかな。
間に合わなくて日曜日の夜とかもある。
という感じで、よろしくお願いいたします。




