モブは一人っ子ですが周りの兄弟とか双子って大体美形
以前話した双子の兄弟について覚えているだろうか。そう俺の前世でお互いを思うあまりに仲違いしていた双子だ。
さて、その双子。今はどうしているか、まぁ大体想像つくと思う。現世にしっかりと転生してるし、俺の周りにいる。
今度は双子ではなく、年の差のある兄と弟として。しかも何がややこしいって前世双子兄が現世で弟に、前世双子弟が兄になるという。解説もややこしい。
元弟の兄は俺の同級生だが元兄の弟は2歳下の15歳だ。
元弟の兄は…ってうっとおしいな、名前を言おう。
元双子弟で今は兄である男は口は悪く粗野が目立つけど体格も良く頭もよければ運動神経もいい、という碧生泉
元双子兄で今は弟である男は成績はいいけども運動神経はあまりよくないらしく、温厚な性格で15歳ということもあって体も小さくいつもにこにこしている碧生雫
うちは中高一貫校なので、会おうと思えば難なく会える。
ので、昼に裏庭なんていくと前世では当初あれだけギスギスしていた(主に泉が、だけど)はずのふたりがいたりする。
しかも何故か雫の膝枕で泉がごろごろしている。
「あー…高校ってほんとつまらねえ。お前のクラスに行きたい、もしくはお前が俺の所にあがってこいよ」
「んー、兄さんは頭いいけど僕はそこまでじゃないから飛び級は無理かなぁ…」
「なんで俺たちは同い年じゃねぇんだよ、雫がいない学校とか意味わからん」
「同じ学校ではあるよー」
兄になろうが駄々をこねる泉にのほほんとしながら返す雫はもはや聖人君子か。つうか誰だよ、あの男…前世じゃあ口聞かない、目も合わせない、たまに雫のことをいうと思えば罵倒しかしない。和解した後はまぁ確かに甘え方を知らない狼が懐くようにじわじわと距離を詰めていたのは見たけども…。
前世からああしたかったのか、いや、もしかして知らないところではああだったのか…?
「なぁ雫。最近聞いたんだけど、前世で夫婦だったふたりは次には兄弟に生まれ変わるらしいぜ」
「え…」
「…俺たちはどうだろうな?」
間違いなく双子だ。夫婦じゃない、双子だ。俺が保証する、大丈夫だ。その説は胡散臭い。
が、頬を赤らめる雫に手を伸ばした泉。指先でそっと頬を撫でるようにして意地悪く笑う。
「まぁ夫婦だろうとなんだろうといいけどな。今俺たちは兄弟で恋、」
あーーーあーーー聞こえない聞こえない、あーーーー。
いやいやいやいや、な?おかしいじゃん?な?兄弟だし、前世も今世も女の子いっぱいできゃっきゃしてんじゃん?確かに和解してからやけに距離近いなとは思ってたけど、けど!!
俺の想像範囲外すぎて心を無にする。俺は何も見てない、聞いてない。
「だ、だめだよ兄さん…人が見てるから…」
「あぁ?」
なん、だと。裏庭で飯を食いつつ、距離はありながらちらちら見ていた俺だがもう結構前から目を瞑ってないものとしていたから俺じゃない、俺じゃないぞ…!?
「……」
か、一将ーーー!!!お前、なにを無遠慮にガン見してんだよ昼飯食べながら!!思い切りお前じゃないか!!森浦さんが委員会で別のところでお昼食べてるせいで否める人いなかった!!くそ!!
起き上がった泉がぎろ、と睨んでこっちにくる。こわ!こわ!おい!こわい!一将ー!
「なに見てんだよ、あ?」
「あぁすまん。いいなと思って」
「は?」
「男同士とか関係なく、好きあってそれを表に出せるってすげーいいなと思ったんだ。羨ましい」
「……なんだ、お前…わかってるじゃねぇか、案外いいやつだな?」
掴みかかろうとした泉は一将の言葉でぴたりと止まり、不機嫌そうだった表情をころっと変えてにぃ、と笑っていて。
そんな隣にいる俺はパニックだ。
え?いい?羨ましい?ということは自分もしたいのにできなくて、とかそういう?え?一将、お前そうだったの?
だから前世も独身を貫いていたのか…!?
衝撃の事実が繋がっていく。
最近気づいたがおおまかな関係や心というのは前世と同じことがわかった。
誰と誰が兄弟だとか、誰と誰が仲良いとか、どんな人を好きだ、とか。
ただしそこに該当しないのは俺だけだ。主人公ではなくなった俺に以前のように想ってくれる人はいないし、関係性はリセットされてる。その代わりに新しく真堂太陽へと関係が構築されているのだ。
故に、一将のその発言が予測通り前世と繋がるなら、一将は前世から実らない恋をしている、ということだ。
…まじかー…一将まじかー…気づかなかったー…モブだから気づけるってほんとすごい…前世では応援もできなかったから今世は相手がどうであれちゃんと応援してやろう。
しかしあの一将が惚れる男とは…?
前世の交友を思い出してもそれらしい人はいない。大体俺の後ろにいたわけだし……。
そうすると今度は逆に前世と今世の決定的な違いが鍵になってくる。
例えばツンデレお嬢様金城姫子だが、前世では俺とフラグがなくなると親の決めた許嫁とやらと卒業後に結婚したと聞いた。
しかし今はなんと、前世で金城姫子の世話役をしていた男が今世で同級生として生まれ変わり、なんとそいつが金城姫子を好いているらしく、真堂に負けじと頑張っているのだ。モブが出世したのだ。
金城姫子も振り向かない真堂よりも、健気に想ってくれるそいつに少しずつ心が揺れているようで…まさに前世とは決定的に違う出来事であり、それが上手く作用している。
となると、一将にとって前世と今世の違いといえば…、……は!… 真堂太陽…?前世にはいなかった存在であり、一将は真堂の友人ポジ………実らない恋…!!?
な、難攻不落すぎる……女の子にもてまくりな主人公だと…?いや俺は応援すると決めたんだ、今世は一将に幸せになってもらうんだ。
俺が黙ってぽんぽんと一将の背中を叩くと、一将はただ首を傾げた。




