文化しゃい(3と見せかけて三日目の午前)
やったぁ!!文化祭当日だ!!
あ、私はカナです!!なんでこんなにハイテンションなのかというと那瀬お姉様に会えるから。幸せですなぁ!!
「お兄ちゃん!!」
「カナ・・・そろそろ始まるから」
ということで(なにが?)体育館に来ました。
「エントリーナンバー七番・・・演劇で、勇者(なのか!?)の旅です」
うん。ツッコミ入れて良いかな?なんで、括弧まで読んだんだろう?
あれ?ツッコミだったかな?今のって。
「ナレーションは主役の妹さんです」
私は、舞台の真中に立ちお辞儀をした。
あ、那瀬お姉様がいた。やっばーい!!緊張してきた。
そして、移動したら幕開けした。
『昔々あるところに勇者と名乗る変態がいました』
「変態って!!」
うふふ、やっぱり面白いな。たくさん無茶振りしよっ!
『勇者ごときは、村人を殴りまくりました』
「え!?ごとき?」
「壬生、ツッコムとこそこかよ!オレ殴られるの!?」
村人役の男子生徒はお兄ちゃんにツッコミを入れた。
そして、お兄ちゃんは、“グー”で殴った。しかも本気で。やっぱりエスだね。
『それでも飽きたらず観客席に投げ飛ばしました』
「よっし」
「ぎゃーーーー!!」
お兄ちゃんは、男子生徒を担ぎ観客席に投げ飛ばした。男子と観客は悲鳴をあげた。
さて、進めなくちゃね。
『そんな最悪な勇者は、村人から嫌われていて魔王に生贄・・ゴホン・・・勝って来いと言われた』
「確実に生贄って言ったよな!カナ!!」
『行きました』
スルーか、と大きな声がしたけど、私がスルーした。
舞台は代わった。
『場所は代わり魔王城』
「はえーよ!!」
男の声がした。お兄ちゃんは、十代と呼んでた。知り合い?
『女好きのバカな魔王が言いました』
「あの・・私は女なんですが・・」
『勇者よ、私を苛めてと・・・・そして勇者は最大限の暴力をしました』
「え。イヤぁぁーー!!」
ポカポカと可愛らしい音を立てながら、お兄ちゃんは、魔王の女の子を苛めました。
って、あれ?魔王の分身の勇者じゃなかったっけ?
『どういう事なの!?勇者!!』
「なにが!!」
『魔王の分身の勇者じゃなかったの?』
お兄ちゃんは、あれ?と言った。ちゃんと台本には魔王が出てきてるんだよ?
「・・・オフコース!!我こそは勇者じゃ!!」
とことんおかしいんだね。脚本家が。
『発狂した勇者は、魔王に襲いかかりました。もちろん危険な方の・・・』
「変な事を言うな!変態!!」
失礼なお兄ちゃんだ。怒ったぞ。よし、更に苛めてやる。
『ナレーション(私)の命令は絶対だよね?』
「な、なにを?」
やっぱりイライラするから、お兄ちゃんなんか、恥をかかせて那瀬お姉様に嫌われてしまえ。
ブラコンって訳じゃないからね。だから苛めてやる。
『勇者と魔王の身ぐるみを全てはぎ取った』
二人の、え!?と、声がした。
『命令は絶対です』
「うっ・・・」
仕方なく魔王を見る勇者。魔王は、泣きそうにしてる。でも、僅かに頬が赤い。お兄ちゃんはモテるからね。
やっぱ止めた。なんかイラつくし。
『勇者は、魔王をコテンパンにやっつけました』
急に変えたから、疑問符を頭に浮かべた二人。
でも、なんでイライラしたんだろう?
「ごめんね。名無し子ちゃん」
名前が分らないからって・・・。
お兄ちゃんは名無し子ちゃんを踏んでる。名無し子ちゃんは嫌がって無い。ドエムなんかな?
『倒した魔王を報告するために村に向かいました』
なんか普通だけどさ、ムカつき・・・。ムカぽん・・。あんま浮かばないな。新語ってムズいね。って、関係無いじゃん。
『勇者は歓迎を受けた。勇者の両隣りは、女装したゴツい男だった』
あ、引きつった顔してるや。ちゃんと女装してるね。右隣りは、ガタイが良い、漢っぽい男。左隣りは、女装のはずなのに普通に女の子に見える男の子。
可愛い〜。身長も低いから女の子より可愛いかも。あんな可愛い子がサブキャラって認めたくない。
『左隣りの美少女は勇者の頬にキスをしました』
「うえ!?」
泣きそうなお兄ちゃんは可愛い。隣りの男の子も唖然としてるし。
「・・・・いやっ」
「僕だってイヤだ!!」
嫌がった。当たり前だけどね。
観客みんなはキスコールをしてる。
「カナ〜!!」
私は、お兄ちゃんに呼ばれたけど無視をした。面白くないし。
「うぅ・・・すみません壬生さん」
「いや・・・頬ならまだマシだ」
男の子は決意を決めたようだ。お兄ちゃんに許可を得てから、お兄ちゃんの頬に可愛く、チュッとリップ音がした。
『はい。キモい芝居ありがとうございました』
「なっ!!」
「カナがやらせたんだろ!!」
顔を真っ赤にして私に叫んでる。
私は更に、キーモーイと言ったら青ざめた。
『勇者は、その娘と結婚して幸せに暮らしましたとさ。おしまい』
「不完全燃焼じゃんか!!」
『文句を言うなら、脚本家の勇者の右隣りの女装キモ男に言ってください』
「なんで知ってんだよ!!」
だったんだ。冗談だったのに・・・。アイツ何にも取り柄が無いじゃん。不細工だし、頭悪いし・・・。ぷっ、可哀相。
「グチャグチャな劇だったね!!」
最悪な気分のカズネです。カナは嬉しそうにしてます。やっぱり昨日のことを根に持ってるんだな。
昨日の晩ご飯のミートボールを食べたせいです。カナの大好物だったし。ごめん。
「でも、私は好きだったよ?面白くて」
那瀬は言ったけど、表情の変化は無い。
僕は楽しくなかった。
「ご苦労様、カズネとカナ」
その言葉で、疲れは吹っ飛びました。
やっぱり僕は、那瀬が好きなんだな。たぶん、今までよりも・・・。
「・・・・あれ?もしかして」
急にどうしたんだろう?キョロキョロしてる。
「お姉様どうしたの?」
カナも思ったらしく聞いた。
那瀬は少し悩んだ様子だったが、僕達に話した。
「十代の言葉が気になるよね?」
「うん・・・」
昨日のことだな。カナは、え〜何〜?と言ってるが、かまってやらない。
「信じられないけど、私は――――」
異世界か。信じられないけど、那瀬が嘘を吐いたりする子じゃないのは分かる。でも、現実として考えられない。
「良いんだけどね」
ズキッとした。嫉妬とは別の痛みがあった。
僕は好きな子のことを信じられないの?
「私は信じるよ!!お姉様が好きだもん!!」
カナの方が大人・・・いや、子供だから純粋なのかもしれない。
「ありがとう」
少しホッとしたような表情で言った。
普通だったら話したくないよな?変に思われるから。それなのに、那瀬は僕達に言った。
僕は最低だ。そんな苦しみに気付かなかったんだから。
「お兄ちゃん。深く考え過ぎだよ。好きな人だったら、信じ切らなきゃ。絶対的なんて、この世には無い。有り得ないなんてものも無い。だって、お姉様みたいな天女がいるんだから」
はぁ・・・何を悩んでたんだろうな。
どうしてたんだ?バカな僕。
「・・・だから、心配してたんだ十代達」
「そうね。だけど誰が飛ばしてるのか分らないうちはどうしようも無い」
てっきり分ってたのかと思ってた。
だから余裕たっぷりだと思ってた。だけど、そうでも無いみたいだ。
「まぁ予想はついてるけど」
ほぼ分ってんじゃん!!なんか、那瀬の性格悪い気がする。ちょっと腹が黒い?違うなら良いけど。
「アイツならやり兼ねない」
はい?那瀬の知ってる子なのかな?でも、僕じゃ、教えてくれないだろうね。
だけどね。僕達は、那瀬が心配なんだよ。一人で背負い込まないで、僕達に頼ってよ。