4ー(2) 強欲の大罪
『ぎぇぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ』
「強欲…取り憑かれた人間は何を欲していたのかしらね」
「それはともかくヤツをどうするんだ」
ユーアストとネイは逃げ飛ぶ悪魔と化した人間を追いかけていた。
「私は器さえ無事ならばなんでもいいわ」
「おまえは…相変わらずだな」
フフフ…と不気味に笑うネイを睨みながらユーアストは追いかけるスピードを上げた。
「タツータ!」
「おーけい!」
先回りしていたタツータがソレを抑えこむ。
『ぎぇぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!!コロシテヤルッッ!コロシテヤルゥッッッ!!!!!!』
「くっそ…かなりやばいな」
「どうしようかしら」
「俺が本気で力を使うと器ごと消えるぞ」
「それだけは避けたいわね」
「ということで一人でがんばるんだな」
「…あの子がいれば楽だったのに」
仕方ないわね、ネイがつぶやいた瞬間ネイの姿が消えたように見えた。
『コロシテヤルッッッ!!!!!!』
「お黙り」
そして、ソレがものすごいスピードで落ちていった。
「おいあれじゃあ器が」
「器ならここにあるわよ」
そう言ってネイが手にしていたものは小さなガラスのネックレスだった。
「お前いつの間に…」
「言ったでしょう?私は器意外どうでもいいのよ、とりあえず私は戻るから後のゴミ掃除はよろしくね」
「はぁ!?」
そう言ってネイは一瞬にして姿を消した。
「あのクソ魔女めぇ!」
「まぁまぁ、片付けてから怒ろうね~」
怒るユーアストをタツータが抑え、落下したモノを見た。ソレはもう原型を留めておらず、化け物なのがすぐ分かる。
「とりあえず灰になってもらおうか」
ユーアストが手を一振りした瞬間ソレは灰になった。
「お疲れ様」
「はぁ…まったく面倒な…」
「でもお姫様にかっこいいところを魅せつけることができたじゃないかな」
「それと同時に危険な目にあわせてしまった…」
「そんなの仕方ないことだよ…姫がいる限りはね」
「あのクソ魔女めぇ…」
「まあまあ二人共、とりあえず戻ろうね」
再び起こるユーアストをタツータが抑えナオレイアたちのいる場所まで移動魔法で飛んだ。
「ユーア!大丈夫だった?怪我は無い?」
「ああ、そっちこそ大丈夫だったか?」
「大丈夫よ!」
それは良かったと言いながらユーアストはナオレイアの頭を撫でた。
「これで器の一つが手に入ったわ」
「これをあと6つも探すなんて、いくらあの子も探しているとはいえ時間がかかるわね」
「急いでいるわけではないし…私には時間なんてたっぷりあるもの」
そう言ってふふっ…と笑うネイにユーリスはため息をついた。
「自分でばら撒いておいて今更集めるなんて…一体何が目的?」
「それは秘密よ、今言えることは…ユーリス、貴方が自由になるということね」
「私が…自由?」
ネイの言葉にユーリスは気づいた、そしてユージを見るとユージは驚いた顔をしていた。
ナオレイアはユーリスの自由になんとなく察しがついていた。
「…ありがとうネイ」
「お礼は終わってから言って、ようやく一つ見つけただけよ…あまり時間を掛けたくないわ」
ネイは持っている器のネックレスを握りしめた。