その仕事、馬引き(5)
最初の目的地、アルサリオス伯爵領の領都アルセス。のどかな雰囲気の田舎町。農産物が豊富で、特に果物が美味しい。王都ナシアからの積荷を下ろして、伝票を作成。そして、ここまでの街道等の確認結果を報告書に記載して、ギルドに提出する。
アレドリア王国の各領都には、ギルドが置かれている。本部は王都ナシアの商業ギルド、その支部になる。アレドリア王国は、商業ギルドを頂点として、冒険者ギルド、鍛治ギルド、生産者ギルド、提供者ギルドがその配下に存在する。馬引きは商業ギルドに属し、“馬引きタグ“が商業ギルドから発行されたものだけが馬車を引くことが許される。アレドリア王国では、馬引きに限らず、全ての職業で“職業タグ“が必要であり、、所属するギルドから発行されて、初めてその職につくことができるのである。
「はい、報告書です。」
「お疲れ様でした。えっと、特に問題はなかったみたいですね。それでは、こちらが、次のセントリアまでの状況です。5日前の状況ですが、こちらも問題ないと思います。」
「わかりました。新たな積荷はありますか?」
「はい、アプレの追積があります。それと、お子様連れの方が、乗車希望されていますね。お母様とお子様の2名です。」
「2名ですね。わかりました。では。」
「お気をつけて。」
ギルドへの報告も終わり、“馬引き詰め所“へ戻ったエリク。相方と合流し、次のセントリアまでの街道の状況と積荷の追加(=追積)と2名の乗員追加を伝え、しばらく休憩に入る。
“馬引き詰め所“は、文字通り馬引のための休憩所。仮眠の取れる休憩室や軽く飲食のできる食堂があり、食堂には食べ物と飲み物が置かれている。食べ物では、種類こそ少ないが、各領の特産品が置かれているため、馬引きたちから好評だ。エリクもさっそくアルサリオス伯爵領の特産である果物を一つ手に取って、口に運ぶ。
「やっぱりこのアプレ、美味しい。」
「だな、ここ(アルセス)にきたら、やっぱりこれ(アプレ)くわねぇとな。セントリアまでも問題なさそうだし、俺はちょっと湯浴みしてくるわ。」
「はい、僕もこれ食べたら、湯浴みに行きます。」
全てではないが、“馬引き詰め所“には、簡易的な湯浴み場も設置されている。




