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雨宮くんと櫻木さんがイチャイチャ(※自覚無し)でお送りする青春応援委員会!!  作者: いちごモンブラン


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28/29

ナンパ野郎なんて一撃ですよ

「何処にいるんだ…栞のやつ…。」


 携帯に連絡しても一向に繋がらないし…、メッセージも既読にならない…。一体何処で何をしているんだ。


 


 〜今から少し前の事〜


「しまった…。携帯のバッテリー切れかかってる…。」


 朝から充電して来るのを忘れ、気付けばもう残り数%まで減っていた。

 

「まぁ…いいか。今日はもう使わないだろうし…、雨宮くんも私がサポートしなくても上手くやるだろうし…。」


 いじけた足取りで、地面に転がる石を蹴り上げる。あまり褒められ行為には思えないが、今は周りに人が居ないので良しとしよう。


「はぁ〜これからどうしよう…。」


 二人のデートも気になるけど…、二人が仲良くしているのを観るのは辛い。幾ら依頼だから…、疑似デートだから、と自分に言い聞かせても、心にはしっかりと針を突き立てられるようなダメージが蓄積していく。乙女心とは面倒くさいのである。


「あんなメッセージまで送って、きっと雨宮くんも私に失望したよね…。依頼を途中で投げ出す奴だって……どうしよう…嫌われちゃう。」


 目には涙が浮かんでいたが、こんな自分勝手な事をして泣く訳にはいかないと…、必死に堪える。


「ねぇねぇ…お姉さん。どったの?泣きそうな顔しちゃって〜。彼氏にでも振られた?」


 突然声を掛けて来たのは、如何にもチャラそうな金色の髪をした大学生くらいの青年だった。


「俺でも良ければ話聞くよ。…ていうかお姉さんすげー美人じゃない!」


 (今時何て古典的なナンパだろう…。最早絶滅危惧種ではないだろうか?)


「すいません。今、人を待っているので失礼します。」


 面倒くさいので、早々に突き離す。こういう時はキッパリとNOを突き付けてやればいいのだ。 


 (…ナンパ慣れしているのが、上手くなっていくのは果たして喜ばしい事なのか?)

 

「いいじゃん少しくらい。ちょっとだけだからさ…其処のカフェでお茶でもしていこうよ。」


 (まさかの食い下がり、あんたには興味がないって察しなさいよ!)


「ほらほら、一緒に行こうよ!」

「ちょっと!辞めて下さい!」


 男は私の袖を掴むと強引に引っ張ろうとする。いきなりの事で、気が動転し、軽くパニックになりそうになる。


(どうしよう!此処まで強引だとは思わなかった。…かくなる上はあれを使うしかないわね。)


「ふ――――。」

「どうしたのお姉さん?」


 (丹田に全身の力を溜め、それを一気に拳に集め解放する……私の奥義―――。これを受けて(試した事は無い)立ち上がったものは居ない。)


「―――食らいなさい。」

「えっ、何か言った?」


 狙うは鳩尾唯一つ。


「おい、手を離せ!」


 拳を振りかざすその刹那…男の、しかもよく知っている声が響いた。


「栞から手を離せ!」


 颯爽としかし力強くそこに割って入ったのは雨宮くんだった。


「何で此処にいるのよ…。花宮さんとのデートはどうしたのよ…。」


 依頼人をほっといて、来るなんて雨宮くんらしくは無い。…でも、それでも自分の所に来てくれるのは堪らなく嬉しい。


「何だお前?邪魔しないでくれる。」

「いや、色々あってさ。取り敢えずナンパの人。俺はこいつと知り合いで話しがあるから……。…行くぞ!!」

「あっ!」


 雨宮くんは私の手を取って走り出した。私もその流れに逆らう事はしない。さっきの男と違い、優しく私の手を引いてくれる…。


(こういうの慣れてないくせに…気取っちゃって…♪)


 



「よし、これくらい離れれば十分かな。」

「結構距離走ったもんね。ナンパの人、ポカンとしてたよ。」


「しょうがないだろ。栞を探していたら、まさかナンパに遭っているなんて思わなかったんだから。一生懸命だったんよ。」

「ふふ…有難う。嬉しかったよし、…カッコ良かったぞ。」


 素直に御礼を言われ、照れくさくなる。こいつのこういう所は見習いたい。


「それにしてもモテるってのも大変なんだな。羨ましいと思ってたけど、考えものだぜ。」

「むー…、雨宮くんがそれ言う?」


 照れを隠す為に話しを誤魔化そうとするも、何か気に障ったのか、栞は頬を膨らませてむくれてしまった。


「なんだよ…。自虐しても別に良いだろこれくらい。」

「…そうじゃないけど…、もういい!雨宮くんのバカ!」


 更にむくれてしまった。こんなやり取りも久し振りな感じがする。


「それで花宮ちゃんはどうしたの?…まさか放って置いた訳じゃないでしょうね〜。」

「ああ…、それがさ…。」


 俺は香織に過去何があったのかを掻い摘んで話した。


「そんな事があったの…。花宮ちゃん…辛かったのね…。」

「それでそっちの話しは粗方片付いたんだけどさ……何て言うか…その…前に送ってきたメッセージあるだろ。それが気になってさ…。お前を探していたんだ。」


 恐る恐る栞に尋ねてみる。俺にはまだ見当がついてはいないが、香織によれば重大な危機が迫っているらしい。


「ああ、それの事だったんだ。御免、分かりにくかったよね…。その何て言えば良いのかな……。」


 しどろもどろな解答をしているが、俺と違って緊張から来るものでは無く、そう…言葉を選んでいるような………。




「私、この部活を辞めようと思っているの。」



 



 

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