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雨宮くんと櫻木さんがイチャイチャ(※自覚無し)でお送りする青春応援委員会!!  作者: いちごモンブラン


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11/20

次の依頼人

「助けて下さい!!」


 部室のドアが勢いよくこじ開けられた。なんでどいつもこいつも乱暴なんだ?


「えっと、君は?」

「ぜえ、ぜえ、いぢねんの…。」

「と、とりあえず落ち着いて!」


 栞が深呼吸を煽る。どうやら次の依頼人はとてもせっかちさんのようだ。


「すいません。私、慌ただしくて。あっ、まだ名乗っていませんでしたよね。1年の花宮香織と申します。演劇部に所属してます。」


 丁寧な挨拶をして来たこちらの淑女は花宮香織。以前、山本から聞いたことがある。何でも校内の彼女にしたい後輩ランキング1位だとか何とか。演劇部のエースで人当たりもよくて誰からも好かれる存在らしい。…というか何であいつそういうことばっかり詳しいんだ。…そもそもそのランキングは誰が作っているんだ…。


「それでお二人にお願い事があって来た次第でして…。」

「お願いというのは?」

「はい、私に恋する乙女の気持ちを教えて欲しいんです。」


…空気が凍りつくのを肌で感じる…。それは主に俺の隣のやつが発しているものだった。


「えっと、それはどういうことかな?」


 努めて冷静に振る舞っている栞だが、持っているティーカップの手がめちゃくちゃ震えている。その振動がカップから内容物まで伝わり、水面を揺らしていた。動揺しすぎじゃない?


「御免なさい!説明も無しにこんなことを言って!実は部活の事なんです。」

「部活?」

「はい…、先程にも言った通り私は演劇部に所属しているんですが、今度やる劇の配役の気持ちが分からなくて…。」 

「何だ…、そういう事か…。」


 ホッと一息をついている。落ち着いたのか珈琲を一口口に含んだ。


「じゃあ、その配役の気持ちを理解するのを一緒に手伝って欲しい。そういう依頼だね?」

「ですです。それでその気持ちを理解する為に雨宮先輩に私の恋人になって貰おうかと思いまして。」


 ぶーっと栞が珈琲を吹く。こいつはリアクション芸人にでも志願する気なのか…。


「おい、依頼人の前だぞ。慎めよ。」

「だ、だ、だって!今この娘なんて言ったの!」

「俺に恋人になって欲しいって」

「ああー復唱しないでいいよ!脳が破壊されちゃう!!」

「これがあのミス完璧美少女と噂される櫻木先輩…。」


 頭を抱え騒ぎ散らかす栞を花宮さんは尊敬や畏怖を含んだ眼差しで見ている。…どっちかと言うと畏怖の割合が多いな…。というかドン引いている。


「まあ、無理もないよな。こいつ普段猫を被っているから…。」

「はは、びっくりしました…。…つかぬことを聞きますが、御二人は付き合いが長いんですか?」

「いや、そんなでもないな。数ヶ月くらいだよ。」

  

 …忘れもしないあの日の出来事…。


「そうなんですか…、てっきりもっと長いのかと。息ぴったりですもん。」

「そうか?」

「はい、いきなりこんなこと言うのも失礼ですが付き合っているのかと思いました。」


 ピクっ、栞の動きが止まったのを俺は目の端で捉えた。


「花宮ちゃんだったよね?今、何て?」

 

 突然の予想外の質問に、花宮さんは固まっている。


「えっと、息がぴったりっていいました。」

「その後。」

「えー、あっ!付き合っていると思ったって……。」

「そう!そうなの!いやー参っちゃうなー!そう見えちゃうか!いやー参った参った。」


 さっきとは打って変わって機嫌がよくなる栞。それを不思議がる花宮さん。端から見ると後輩にダル絡みしているようにしか思えなかった。


「話しを戻そうか。その劇の配役はどういった人物なのかな?」

「同じ部活の先輩に恋をする後輩女子の役なんですが…。」

「そんなに難しい役には思えないけどな…。」

「それが私…、好きになるって事がよく分かららなくて…。彼氏もいた事無いですし…。」

「好きになった人とかはいないの?」

 

 栞が優しく語り掛ける。正直、この娘の見た目ならそんな話は腐る程ありそうなものだけど…。


「自分語りで申し訳ないですが、私結構モテるんですよね。それで告白も沢山されるので、男子が少し苦手になって、そういうのに興味が無い訳ではないんですが…。」


 なるほどな…。確かに髪は短いながらも仕草がとても綺麗だ。演劇をやっている影響なのかな…。こんな美少女が近くにいたら、好きになるのも無理はないだろう。


「それで役作りに困っていたら、クラスの友達にここのことを聞いて、相談してみようと思って…。」


 ほー!俺達も随分名を上げたようだな。確かに最近青春応援委員会の話題をよく耳にすると思った。佐藤さんと山本の件の反響が高ったというところか…。


「それで、その…雨宮くんに恋人役を依頼したいと…。」

「ですです。…お願い出来ますか?」


 花宮さんは上目遣いで俺にお願いしてきた。

(辞めてくれ!そんなうるうるとした目つきで見ないでくれ!)


「うっ、わかりました。その依頼受けます。」

「やった!」


 吸い込まれそうな彼女の瞳に押し負けてしまう。

 じーと、隣の視線が痛い。…違うから、別に美少女と恋人役が出来てラッキーとかそんなのこれっぽっちも思っていないから!!





















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