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新大陸の冒険者支援課 ~新大陸での冒険は全て支援課にお任せ!? 受け入れから排除まであなたの冒険を助けます!~  作者: ネコ軍団
第5章 メスガキヴァンパイアハンターは蝕まれる聖都を目指す!

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第547話 暗闇に消える騎士

 鈍い音がして激しい衝撃が盾と極夜騎士を襲う。


「ピギイイイイイイイイイイイイイイ!!!!」

 

 蹴られた極夜騎士は体勢を崩し、左腕をあげるようになって声をあげる。グレンは体勢を崩してがら空きと極夜騎士の胸に向け大剣の先を向けた。


「ハッ!!!!」


 声をあげ極夜騎士の胸を狙ってグレンは大剣をいきおいよく突き出す。極夜騎士はなんとか反応し右手に持った剣を振り上げる。胸に届こうしていたグレンの大剣は極夜騎士の剣によって軌道がそらされた。

 軌道がそれたグレンの大剣が極夜騎士の左肩をかすめる。


「外したか…… クソ!!」


 右腕を伸ばした姿勢で悔しそうにつぶやくグレンだった。グレンはそのまま前に出て極夜騎士をすれ違うようにして背後に回り込んだ。

 グレンは極夜騎士と距離を開けて振り向いた。ほぼ同時に極夜騎士が振り向き二人は対峙する。グレンは大剣を右肩にかつぎ凍り付き氷に包まれた左腕に目を向ける。


「いい加減…… こいつをなんとかしねえとな……」


 つぶやいたグレンは視線を前に戻し極夜騎士を見た。極夜騎士は剣で盾を軽く叩きながらリズムを取っていた。


「ふぅ…… 余裕だな。いつまでもつかな……」


 目を一瞬だけつむりグレンは意識を左手に集中させる。グレンの透明な氷に包まれた左手の上に小さく黄色く輝く月が現れ氷に水滴が浮かび溶け始めた。回転する月光が屈折しながらグレンの頬を照らす。


「ピッピギ!!!」


 水滴が浮かび溶け始める、グレンの左腕の氷を見て極夜騎士は声をあげた。極夜騎士は前に出てグレンへと向かって来る。突っ込んでくる極夜騎士を見てグレンはニヤリと笑った。


「ほらよ!」


 グレンが左手の上にだした光が一気に強くなった。腕をつづんでいた氷を溶かしながら貫通した、光線が一気に極夜騎士へと伸びて行った。


「ピギイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!」


 極夜騎士は慌てて身をかがめ上半身を盾にかくした。向かって来た光線が極夜騎士が構えた盾に命中した。衝撃に耐えきれずに盾の上部がへこみ光線は斜め上へと反れていった。衝撃に耐えきれずに極夜騎士は後ろへ吹き飛ばされ闇の中へ……


「おっと!」


 グレンの左手に出した月がさらに強く光った。先ほどグレンが飛ばして月を覆っていた白い氷が溶かされていった。月たちが光輝き煌々と穴を照らしまるで昼間のような明るさになった。

 飛ばされた極夜騎士はグレンから少し離れた先に浮かんでいた。首を左右に動かし極夜騎士は照らされた穴を見ていた。


「闇には逃がさないぜ……」


 今度はグレンが感触を確かめるように左肩をまわしながらつぶやくと、両手で大剣を持って構え極夜騎士に視線を向けた。


「ピギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!」


 へこんだ盾を投げ捨てた。極夜騎士の左手の人さし指には、白く雪のような白い宝石が中央に埋め込まれた金の指輪がはめられていた。

 拳を握り極夜騎士は空へと突き出した。白い宝石が光輝くと極夜騎士の鎧の穴や隙間から冷気が一気に噴き出した。噴き出した白い冷気の靄が極夜騎士の体を隠し穴の天井や床を一気に凍り付かせていく。グレンにも噴き出た白い冷気が迫っていく。


「フッ……」


 迫って来る冷気を見てグレンは笑った。彼はそのまま白い冷気に飲まれてしまった。白い冷気がおさまった冷気に天井や壁が透明な氷に覆われ、急激に気温が落ち洞窟内は極寒の地のように寒くなった。

 極夜騎士の前に凍り付いて真っ白なグレンが浮かんでいた。


「ピイギッギッ!!!!! ピギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!」


 声をあげる極夜騎士だった。嬉しいのかまるで笑っているような弾んだ声だった。しかし、その動きはすぐに水を差すように黄色い光が極夜騎士の頬を照らす。


「ぴっぴぎい!?」


 極夜騎士が驚愕の声をあげた。グレンが出した月たちが次々に光輝き、周囲の氷が一気に解けていく。グレンの左手の月も光りだし彼の体を覆っていた氷は解けていき、足先から溶けた氷の大量の水が垂れている。

 氷がなくなるとグレンは首を軽く左右に傾け笑った。極夜騎士は呆然と彼を見つめていた。


「さて…… そろそろ…… 終わりにするか……」


 つぶやいたグレンは左手を後炉へ持って行き小さな月を後ろに投げた。彼の後ろを守るように小さな月が浮かぶ。両手に大剣を持って変えたグレンは極夜騎士に視線を向ける。


「ビギャアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!」


 我に返った極夜騎士は焦った様子で指輪をグレンに向けた。今度は指輪から白い冷気が吹き出してグレンへと向かって行った。グレンを白い冷気が再度包み込んだ。あっという間にグレンは白く凍り付いた

 しかし、すぐにグレンの背後に浮かぶ月が光輝き、黄色の光に照らされたグレンはあっという間に元にもどった。


「何度凍りつかせても無駄だよ。月の光は母なる…… 姉なる癒しの光だからな」


 左手についていた水滴を舌で舐めグレンは笑顔を極夜騎士に向けた。グレンの目の奥が強く赤く光り彼が体にまとわせていた黄色のオーラが濃くなっていく。直後にグレンの体が極夜騎士の視界から消える。


「ピッピギイ!?」


 極夜騎士が驚きの声をあげた。いきなり視界にグレンが現れた。グレンは大剣を横に構えた姿勢で極夜騎士の胸の前あたりに浮かんでいた。グレンは大剣を斜め下から極夜騎士の首を目掛けて振り上げる。


「ピギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!」


 振り上げられる大剣にとっさに極夜騎士は左手を前に出した。大きく開かれた極夜騎士の左手をグレンの大剣が切り裂く。手の中央のやや上、指の根元辺りにグレンの大剣は命中し切り裂いていく。極夜騎士の左手の親指の関節の下、人指し指、中指、薬指の先が切り裂かれた。指は回転しながら穴の上へと飛んで行った。


「ピギャアアアア!!!!」


 グレンの大剣は極夜騎士の左手を切り裂いても勢いは止まらず振りりぬかれた。軌道がやや上にそれ大剣は極夜騎士の頬の空気穴が並んだ頭部に命中する。大剣が極夜騎士の頭部にめり込み、頭部が潰れて歪んでいく。大剣は極夜騎士の頭部を斜めに切り裂いた半分にした。バケツが斜めに切り取られ鋭利な三角形になっていた。

 振り抜いた大剣をすぐに戻したグレンは大きく振りかぶった。


「ふん!」


 グレンは極夜騎士へと向けて大剣を振り下した。グレンの大剣は極夜騎士の右肩に命中し切り裂いてく。


「ピギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


 極夜騎士が右肩から胸、腰と切り裂かれた。上半身が真っ二つにさけ真っ白な冷気が裂け目から吹き出す。悲鳴のような声をあげ極夜騎士は浮力を失い穴へと落下していった。地面へと落下し音を立て砂埃を上げる極夜騎士の姿がグレンに見えた。


「ふぅ。終わりだな……」


 グレンは小さく息を吐き大剣から、フェアリーアンバーを抜いてムーライトに戻して剣を収めた。


「うん!? よっと!」


 剣を収めたグレンが白い物体が、上から下へと落ちていくのに気づいた。グレンは素早く反応し落下する白い物体をつかんだ。


「これは…… やつの指輪……」


 グレンの目の前に落ちて来たのは極夜騎士の左手の人指し指だった。指には金色のリングに白い石が光る指輪がついたままだった。


「あっと! それよりも…… クレア義姉ちゃんの鞄!」


 グレンは速度を上げて深い穴の底まで下りて来た。穴の底には極夜騎士がうずくまるようにして倒れていた。極夜騎士の体はボロボロと崩れていっていった。グレンは左右を首に振って鞄を探す。


「えっと…… あった! あった!」


 ベルトが切れたクレアの鞄は極夜騎士のすぐ横に落ちていた。グレンは鞄を拾い上げるとすぐに地面を蹴って飛び上がった。飛びながらグレンは切れたベルトに極夜騎士の指輪と鞄を巻き付けて抱きかかるようにした。


「えっ!? なんだ!?」


 声を上げるグレンだった。突如、穴が震えて砂埃が舞い大きな音がしたのだ。視線を下に向けたグレンに穴の下から猛スピードで冷気が迫って来るのが見えた。

 白い冷気は次々にグレンの月を凍らせながら近づいてくる。


「やべえ!!!」


 慌てたグレンは猛スピードで上昇して冷気から逃げるのだった。

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