第533話 あぁ勘違い
手を押さえて自分を見つめるクレアに向かって、クルベックは左手を横に広げた。
「さぁ! 僕がかわいがってあげるから! もう降伏しな!」
ニヤニヤしながら降伏するように叫ぶクルベックだった。彼の頭の中は降伏したクレアをどう弄ぶかの想像で埋まっているようだ。
「いっ!?」
「はっ!!」
突如としてクレアが目の前に現れた。彼女は両手を上下に合わせて白く輝かく光の魔法剣を出現させていた。クレアが横から正確にクルベックの首を狙って光の大剣が繰り出される。鋭く空気を切り裂きながら迫って来る光の大剣になんとかクルベックは反応し、体をひねって右手に持ったサーベルで迎えうった。
「舐め…… うああああああああああああああああああああああああ!!!!」
サーベルと大剣がぶつかると激しい衝撃がクルベックを襲い彼は引き飛ばされてしまった。声を上げ上空へと飛ばされたクルベックは必死に姿勢を直し踏ん張り止まった。
「クソ!! ほえ!?」
「ほっ!!!」
姿勢を直し顔を前に向けたクルベックの前にクレアが現れた。現れたクレアは光の大剣を振りかぶった姿勢でいてクルベックとの間合いに入るといきなり振り下す。
「クッ!? グぐうううううううううううううううう!!!!!1」
振り下ろされたクレアの光の剣をクルベックは何とかサーベルで受け止めた。水平にしたサーベルに左手を添えた姿勢のクルベックの両手に激しい衝撃が襲うが必死に耐える。しかし、クレアが軽く光の剣を押し込むと右手が震え添えた左手にサーベルの刀身が食い込みクルベックの顔が歪む。
「グギギギ……」
「おぉ! すごいですねぇ。私の一撃に耐えますか」
笑顔でクルベックを褒めるクレアだった。彼女の言葉にクルベックはさらに顔を歪ませる。
「はっ!? 当たり前…… ぐはああああああああ!!」
クレアは足を前に出して、目の前で必死に彼女の剣に耐えていたクルベックを蹴りつけた。クルベックはバランスと崩し落下して地面に背中から叩きつけられた。
「クソ!」
「遅いですね」
「グハアアアアアアアアアアア!!!」
起き上がろうとしたクルベックの肩を細長い光の剣が貫いた。彼のすぐ前でクレアが左手の斜め下に向けた姿勢で立っている。
「クックソオオオオ!!」
右手に握っていたサーベルを持ち上げたクルベックは必死に突き出した。クレアはニヤリと笑ってその場から上空へ消えクルベックのサーベルは空を切った。
「はあはあ……」
「ほい!」
「ウギャアアアアアアアアアアアアアア!!!」
クルベックの背後にクレアが着地して彼を横から勢いよく蹴った。クルベックは吹き飛ばされ今度は腹か地面に叩きつけられた。うつ伏せに倒れたクルベックを見た、クレアは大剣の刀身を短くしゆっくりと歩いて彼に近づく。
「クッ!!」
左手をきサーベルの先を地面につけ杖のようにして立ち上がるクルベックだった。クルベックは必死に左右に視線を動かしクレアを探す。ゆっくり歩いて近づいて来るクレアに気づいた彼は眉間にシワを寄せ悔しそうな顔をする。
「クソ! クソ! クソオオオオおおおおおお!!!」
顔を上げ天に向かって叫ぶとクルベックは駆け出す。クレアに向かっていき彼女にサーベルで斬りかかる。大きな音がしてクルベックが後ずさりする。クレアは振り下ろされるサーベルを光の剣でいとも簡単に弾いた。
「おりゃあああああ!!」
すぐに体勢を戻したクルベックはサーベルを振り上げ斬りかかる。クレアは涼しい顔でサーベルを光の大剣で受け止める。軽くクレアが光の大剣でサーベルを押し返すとクルベックは後ろに下がってクレアとの距離が開く。
姿勢を直したクルベックはクレアを睨みつける、彼の顔はどんどんと怒りで歪んでいく。
「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
クルベックがサーベルを振り上げクレアに切りかかる。クレアは振り下ろされるサーベルを光の剣で弾く。クルベックはすぐにサーベルを返して横からクレアに向かって切りかかる。しかし、これも簡単にクレアは光の剣を引き上からサーベルを叩いて弾く。眉間のシワを深くしてクルベックは諦めずにサーベルを引いて振りかぶった。サーベルを勢いよくクルベックが振り下ろす。空気を切り裂き音を立てながらクルベックのサーベルがクレアの頭へと伸びて来る。
冷静にクレアは静かに視線を上に向け右手に持った光の剣を振り上げる。
「いっ!?」
クレアの光の剣とサーベルがぶつかりいとも簡単にサーベルを弾いた。クルベックはすぐにサーベルを引いてすぐに振り下しクレアはまた弾く。
「死ね! 死ね! 死ねええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!」
叫び声を上げながらサーベルを何度も振り下すクルベックだった。もう意地になっているのかクルベックは何度もサーベルをクレアに振り下して弾かれるというのを繰り返していた。
何度目かもう数え切れないほどのサーベルをはじき返したクレアは視線を鋭くした。
「はっ!」
「ウッ!!!!」
クレアは振り下ろされたサーベルが戻され、再度振り下ろされる間のわずかなスキに足を振り上げクルベックを蹴りつけた。
腹を蹴られたクルベックは顔を歪めて後ろに下がりバランスを崩して倒れそうになる。しかし、彼は必死に踏ん張って耐えるとサーベルを引く先をクレアへと向けた。クレアは足を下して右手を引いて光の剣を下げた。彼女から出ている光の剣がさらに強く濃く光り出す。
「クソオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
「はい!!!」
叫びながら必死の形相でサーベルを突き出すクルベックだった。クレアは冷静な顔で向かって来るサーベルの刀身に向けて光の大剣を振り上げた。大きな音がしてクレアの大剣とサーベルがぶつかる。サーベルは光の大剣により真っ二つに折れた。衝撃によりクルベックの右腕は空に向けられ押されたように後ろの下がっていくのだった。
「あっ!!!! あああああ……」
折れたサーベルに気づいたクルベックはサーベルを顔の前へと持っていき、目を大きく見開き愕然としていた。直後に回転してながらサーベルの折れられた刀身の先が彼の目の前に突き刺さった。
「ああああああああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
目の前に突き刺さったサーベルの赤い刀身を見た、クルベックは膝をつき嘆きの声をあげる。サーベルを捨て頭を抱え天を仰ぐ。
「ぼっ僕の血吸刀は血を吸ったヴァンパイアの力が…… どうして簡単に…… 嘘だ!!! 嘘だアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
顔を上げ泣き叫ぶクルベックの前にクレアがゆっくりと歩いて前に立った。クルベックは彼女に気づいて両手を下し視線を向けた。
「そういえば…… さっき本気を出したら私は勝てないって言ってましたよね」
左手の人さし指を立て顎に置き首をかしげ視線を空に向けるクレアだった。顎に置いた指を下してクレアはクルベックを見てほほ笑んだ。
「いつから私が本気であなたと戦っているって言いました?」
「あっあああああ……」
首をかしげて笑うクレアだった。クルベックはクレアの言葉に顔を青くさせ震え出した。
「でも大丈夫です! 今は本気ですよ。ちょっとだけ!」
顔の横で左手の人指し指と親指をぴったりとくっつけて笑うクレアだった。




