第504話 ラピは活じめをしたい
どかされた女性は立ち上がり服を直しながらテックに視線を向けた。
「そっそれじゃあ…… 私はこれで帰りますね。それで今日のお金を……」
「チッ!」
「キャッ!!」
女性は右手をテックに差し出した。テックは女性の手を払いのけ睨みつける。
「最後までしてねえんだから払うわけないだろ。とっとと帰れ!」
「でっでも…… 私だって仕事した以上は……」
「はぁ!? なんだと!? てめえの垂れた胸さわったぐらいで金なんか払うかよ!」
扉を指して女性に帰れと叫ぶテックだった。女性は帰れと言われたが動かずにずっと手を出していた。
「チッ…… わかったよ。金が欲しいなら夜に来いよ。続きをしたら払ってやるよ」
「いや。夜は店に出て稼がないと……」
自信なく話す女性にテックは彼女を見て馬鹿にしたように鼻で笑い立ち上がる。
「はん。店に出てもお前なんか誰も買わねえだろ! ”腐った黒ダイヤ”なんかよ」
「キャっ!!」
立ち上がったテックは女性の手首に手を伸ばし、そのまま背後に回り込み羽交い絞めにした。
「どうせお前なんかわししか買わんのだから…… どうじゃ? わしの物にならんか? あいつらにも見せつけてやろう……」
ニヤニヤと笑いながらつかんだ女性の手を強引に自分の股間へと持って行くテックだった。女性の手にテックの硬い熱い棒状の感触が伝わる。気持ちよさそうにするテックに不快そうに顔をしかめる女性だった。ララとラピは二人の雰囲気に怯え、ステファニーは苦笑いをしクレアは冷たい目を二人に向け真顔だった。
「いっいや!」
女性はつかまれた手を強引に引っ張った。不意をつかれテックは女性の拘束を外した。女性は振り向きテックを両手で突き飛ばす。倒れそうになったテックは必死に踏ん張りなんとか立って悔しそうに彼は女性を睨みつけた。
「ごめんなさい…… 私はある人を待っているの! きっと迎えに来てくれる…… だからあなたのものにはならないわ
女性は自分の手を胸に置いて話している。さきほどまで少し自信なさげだった彼女の表情はなくどこか希望に満ちている。テックとクレアは冷めた目で女性を見つめていた。
「チッ! もう帰れ!」
「だから…… お金を……」
舌打ちをし扉を指してまた帰れと怒鳴るテックだった。女性はまた手を出し金を要求し、激高したテックが殴ろうと拳を振り上げる。
「うるせえ! えっ!?」
振り上げた拳を掴まれて驚いて振り向くテックだった、彼の視線には優しくほほ笑みクレアが見えた。クレアは顔は笑っているが目が冷たく殺意に満ちている。テックは迫力に押され動けなくなる。
「ふふふ。あなた…… これを」
クレアは拳を握った状態で右手を差し出し、女性は手を出した。クレアは差し出された女性の上で拳を開いた。手を引いた女性の手には銅貨が三枚乗せられていた。
「えっ!? あっありがとう……」
銅貨を見た女性は驚き顔をあげクレアにほほ笑んで礼を伝える。ただ、クレアは笑顔を返すことなく真顔で顎で扉を指す。
「勘違いしないでください。私達はさっさと話しがしたいだけです。さっさと行ってください」
「はっはい」
冷たくクレアが出て行くように言い放つと、女性は返事をして乱れた服を直しながら扉へと小走りで向かって行き出て行った。出て行く前に女性は頭をさげ振り向いたステファニーが彼女に手を振っていた。
テックは閉められる扉を名残惜しそうに見つめていた。
「てめえ! 勝手な…… うわあああああああああ!!!」
女性が出て行くとテックがクレアを睨みつけ怒鳴った。クレアは汚物を見る目をテックに向けて前に放り投げるようにして手首をはなした。突き飛ばされた時は耐えたがクレアに押されるとテックは前のめりに倒れた。
顎を床につけ尻をあげた姿勢のテックを見てクレアは微笑んだ。彼のたぎっていた棒はしおれていく。
「ふふふ」
「おぉ! すごい! これでお話ができますね。どうぞ!」
振り向いたクレアはララとラピにテックを指して話すよう促すのだった。ラピはクレアの言葉に前に出たすぐに彼女はふと横を見た。ラピの目に立ち止まってテックを見つめるララが映る。
「どうしただ?」
「ううん…… 別にちょっと普段のクレアにしては冷たいように見えただけよ」
「そだか?」
首を横に振って答えるララにラピは首をかしげるのだった。
ララとラピが倒れているテックの頭の前に立った。顎をつけた顔で見上げるテックだった。ラピがテックを見下ろし口を開く。
「おめさ。手袋もってんべ? 見せでけろ」
質問にテックは不機嫌そうに口を開く。
「手袋? そんな感覚が鈍るのわしは使わん。素手じゃよ。だからない」
「えっ!? 危なくないの? 外のかまどとか使うんでしょ?」
「ふん! はっ」
テックは右手の指を軽く横に動かした。
「うわあああああああああああああ!!!」
「キャアああアアアアアアアアアアア!!」
いきなりララとラピのスカートがめくり上がった。白い飾り気のない下着と薄いピンク色の透けたレースのラピの下着がさらされた。悲鳴を上げて二人はスカートを両手で押さえ顔を真っ赤にする。テックが金属加工する際は魔法を使用し加工品を手を使わず操作するため、手袋を使用する必要はないようだ。
二人の下着を見たテックはニヤニヤと笑っていた。
「はははっ! ガキのじゃ興奮しねえなぁ」
「あっあんた! 踏みつぶすわよ! って! ラピ! やめなさい!」
「うわああああああああ!! やめろ!!!」
横を見たララが慌てている。ラピが金棒を握って振りかぶっていたのだ。青い顔をしテックは飛び上がるようにして起き上がり壁際に逃げていく。追いかけようとしたラピをラピが羽交い絞めにして止める。
「なっ何しているの!? ダメよ」
「なにって締めるんだず!」
「ダメよ! 話を聞き終わったら締めていいから! 今はやめて!」
「んだな。こいつがヴァンパイアだった締めることになるからな」
ララの言葉に納得し金棒を下し軽蔑の眼差しでテックを見つめるラピだった。ララはホット胸を撫でおろす。壁に手を添えテックは怯えながらラピを見つめている。ララは彼に視線を向けた。
「ほら! あんたも謝りなさい」
「おっお嬢ちゃん…… すまねえ」
「ギロリ…… おらのすつもんに答えろ! くだらねえことすっぞすぐに締めっぞ!」
「はっはい!!」
返事をして大きくうなずくテックだった。ラピはジッと彼を睨みつけていた。ララはあきれて笑いクレアとステファニーは苦笑いをしていた。
「ヒッ!!!」
ラピが金棒をテックの顎の下に突き出した。悲鳴のような声をあげラピをミルテックだった。
「さっきの質問の続きに答えろ!」
「えっと…… てっ手袋ですよね…… 確か…… 使わないから…… そこに? うん!? あれ…… ない!」
テックが目を大きく見開いた。彼は慌てて立ち上がった。壁に設置され物が散乱する三段の棚へと向かう。
「ない! ない! 外か?」
棚を物色しないないとつぶやき扉へと向かい外へ出て行った。ララとラピは顔を見合わせて首をかしげ彼を追いかける。クレアとステファニーも二人に続く。
外へ出たテックは広場やかまどの物をどかして手袋を探していた。背後からラピが近づき声をかける。
「ないんだが?」
「あぁ。無くなっている…… 盗まれたか?」
振り向いてうなずいて返事をするテックだった。ラピの横に来たララが首をかしげた。
「手袋なんか盗むの?」
「何を言っている。ここじゃボロボロでも使える物はなんでも盗まれるぞ」
「そうなんだ」
「まぁそれでもワシのところから盗む奴はおらんぞ。盗んでもわしに修理してもらわんと使い物にならんかからな!」
胸を張って笑うテックに冷たい目を向けるララだった。
「でも盗まれたじゃん……」
「うぐ……」
ララに言われて言い返せなくテックだった。ラピは彼を見て笑っていた。




