第483話 銀が合わさる
グレンは渦巻くバーガンの灰の前で大剣を肩に担いでジッと見つめていた。バーガンの姿へと戻った直後にグレンは素早く距離を詰めて大剣を彼の心臓に突き出した。
「ガアアア!!」
体を反らして心臓を狙ったグレンの大剣を必死にかわした。膝をほぼ直角に曲げて逃げたバーガンにグレンが悔しそうに舌打ちする。
「チッ!! クレア義姉ちゃんの即断即決即死を習おうと思ったのに…… よ!!!!」
突き出した右腕を引いたグレンは大きく振りかぶり即座にバーガンに向かって振り下す。バーガンは両手を広げるといきおいよく地面を蹴って後ろに飛んだ。グレンの振り下ろされた大剣はバーガンの右足に命中し膝から下を切り落とし地面をたたいた。
マントを広げた姿勢で上を向いたまま、地面すれすれを飛んで行くバーガンだった。二十メートルほど後方に飛んだバーガンは倒れたブルーモースの体へと向かって行く。ぶつかる直前で垂直に体を起こすと浮かびあがっていきちょうどブルーモースの頭の上で止まった。
「ガウアアアアアアアアアア!!」
下を向き切り取られた足を見て眉間にシワを寄せ怒ったような声をあげるバーガンだった。
「チョロチョロと逃げ回りやがって……」
マントを翼のように空に浮かぶバーガンを見てグレンは悔しそうにつぶやく。グレンは大剣を両手に持って構えバーガンを見つめた。バーガンはブルーモースの頭の上にバーガンは下りた。
「へっ!?」
両腕を横にしてマントを再び大きく開いたバーガンだった。バーガンのマントが銀色に変わった。
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
バーガンが声をあげると銀色になったマントの形が触手のようになったブルーモースの頭に突き刺さった。触手はバーガンの体にも巻き付いていく。バーガンとブルーモースの体が銀色に変わっていき強烈に光る。
「くぅ!」
目がくらみ左腕で顔を覆うグレンだった。すぐに光がおさまり、グレンが腕を下すとそこには……
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
銀色のブルーモースの腹から上に銀色のバーガンの胸から上がくっついたように姿に変わっていた。バーガンは顔まで銀色になっている。バーガンの肩から先の腕の部分は巨大な銀色のヒレだが端の部分が研ぎ澄まされた刃物のようになっていた。
「あいつ…… ブルーモースと合体しやがった!!」
変形したバーガンの姿を見て叫ぶ声をあげるグレンだった。バーガンの視線がグレンに向けられる。
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
鳴き声をあげたバーガンは両腕と両足を広げ浮かび上がり前に出た。空を泳ぐように尻尾を左右に素早く振りながらバーガンはグレンとの距離を詰めていく。
「ふん…… 負けるかよ」
グレンは大剣を構えて前に出て彼もバーガンとの距離を詰める。剣を振りかぶったグレンは高度を上げていく。バーガンは鋭く刃物になった右のヒレでグレンを迎え撃つ。
横から迫って来た刃物のようなヒレにグレンはすぐに気づき、即座に体の向きを変え大剣を振り下した
「オリャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
「ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
激しい音がしてグレンの大剣とヒレがぶつかり合った。必死の形相で右ヒレを受け止めるグレンにバーガンは左のヒレを引いて尖った先端をグレンに向けて突き出す。グレンはニヤリと笑って一気に両腕に力を込める。彼は体の周囲に黄色のオーラを纏った。
「グガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」
グレンが勢いよく前に出て両腕を押し込むとバーガンのヒレは大きく弾かれた。ヒレをあげバランスを崩したバーガンは地面に倒れた。鈍い音がして地面から土煙が上がり、衝撃でが伝わった天井からは砂埃が舞い落ちていく。
「ふぅ……」
オーラを纏い目を赤く光らせたグレンは倒れたバーンをジッと見つめて大剣を肩にかついだ。
「おっ!? まだやるか……」
水槽の底でバーガンが赤い目を光らせながら、両手両足を広げわずかに床から一メートルほどの高さに浮かんで回転を始めた。
「来るか……」
回転していたグレンから一旦離れたバーガンは両手を広げ上昇した。両腕を広げながら顔をあげ前を向きバーガンがグレンへと迫って来る。
バーガンが口を大きく開けると口の中が青く光った。
「ビギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!!」
鳴き声を上げるバーガンの口から白い冷気を纏った青い光線が飛んできた。
「よっと!」
グレンは横に飛んで光線をかわす。青い光線は飛んで行って壁にぶつかる直径五メートルほどを円形に凍らせる。
「ピギイイイイイイイイイイイイイイ!!」
バーガンは上半身を起こしヒレを広げ鳴き声を上げた。彼の周囲に青い光の二重の円がいくつもの出来ていく。
「ピーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
甲高い声をあげた、バーガンは羽ばたくようにヒレを前後に激しく動かした。青い光線がいくつもグレンへと向かって飛んで行く。
「まったく…… 面倒だな」
グレンは前に出て左右に不規則に動き光線をかわしながら前に出て行く。バーガンはグレンを近づかせないように多数の光線を放つ。グレンはバーガンを見つめ大きく左に迂回し上昇していく。光線はグレンを追いかけるように天井に向けて飛んで行った。宙返りしたグレンはそのままバーガンに向かって落下するように突っ込んでいく。
「ピギーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
バーガンはまた激しくヒレを動かしグレンに向かって光線を放つ。グレンは渦巻くようにして動いて光線をかわして飛んで行く。
「チッ!」
光線の一部がグレンの頬をかすめて白い氷がグレンの頬にまとわりつく。グレンは左手で頬を拭うと舌打ちをする。グレンは両手で大剣を持って大きく振りかぶった。
バーガンの光線はグレンに命中することはなくバーガンの頭の前へ迫る。
「これで…… 終わり!!!」
「ピギーーーーーーーーーー!!!!」
グレンがバーガンの頭上から大剣を振り下した。バーガンの目が青く光った。直後に目から光線が飛び出した。
「なっ!?」
振り下ろされた大剣に目から出た光線が命中し白く氷ついた。バーガンがこち誇ったように口角をあげた。
「なーんてな! はあああああああああああああああああああ!!!」
グレンの纏ったオーラが濃く強く光り出すとあっという間にグレンの大剣の白い氷が溶けた。グレンはそのまま大剣を振り下したのだった。
「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」
激しい音がして大剣がバーガンの頭に叩き込まれた。バーガンの頭がぐしゃっとつぶれ体はふらふらと力を失って床へとゆっくりと落ちていった。
静かな音がして床にバーガンが地面へ落ちて行った。グレンは大剣を振り下した姿勢で床にへたり込んだバーガンをジッと見つめていた。
「チッ…… 修復がはええな」
ゆっくりと大剣を下しながら舌打ちをするグレンだった。つぶれていたバーガンの頭が修復されていった。
「ピギギギギ!!!」
顔をあげグレンを睨みつけたバーガンは体を起こし、グレンと同じ高さまで上がって来た。グレンは大剣を肩にかついでジッとバーガンを見つめている。
「キーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
バーガンが再び両手のヒレを前後に動かした。バーガンの前の左右のヒレが白く氷をまとっていくのだった。




