第465話 交じり合う湯気と熱情
湯気が漂う大浴場は白の大理石で出来た豪勢な四角い風呂だ。二人は湯船につかり湯気が漂う天井の高い大浴場を満喫するのだった。
「ふー……」
一息を付いたグレンが視線に気づいた。横に座ったダグオンがグレンの体をまじまじと見つめている。
「なっなんだよ…… 俺の体をじろじろ見て……」
「いや本当に傷がないんですね。グレンさんみたいな人だったら傷の一つや二つあるはずですよね」
ダグオンは本当にグレンの体に傷が無いかを確かめていたのだ。冒険者支援課で数々の激戦を繰り広げ来たグレンの体に傷がないのは珍しい。
「クレア義姉ちゃんが綺麗に魔法で治してくれるんだ。自分が居なくなって傷だらけになった奴がいるらしくてな…… それでも…… ここを見ろ……」
右足を上げてグレンが膝下を指さした。ギザギザの傷が足を一周していた。ダグオンはグレンの傷跡をまじまじと見つめるのだった。
傷を見ていたダグオンが顔をグレンに向け尋ねる。
「足が…… 何かに斬られたんですか?」
「スケルトンナイトだな。俺が支援課に来て初めての任務だったな……」
足を下し両腕を伸ばし湯船のへりにかけ天井を見ながらグレンが話を始めた。五年前、クレアに助けられたグレンは彼女に誘われ冒険者支援課に入った
当時のノウレッジは開発途上で魔物の襲撃が多かった。グレンの初めて任務はクレアと共に周囲の魔物生息調査することだった。グレンとクレアはダコマー村の周囲で魔物を調査していた。クレアと離れ単独行動をしていた時に、グレンは村の子供が魔物であるスケルトンナイトに襲われているのを発見した。
スケルトンナイトはかつては騎士だった亡骸が、魔王の影響で魔物となったものだった。魔王が討伐された痕もスケルトンナイトは戻れずに世界中を彷徨っている。
まずクレアに報告しろと言われていたグレンだったが、特殊能力の使えるようになっていた彼は単独で魔物の対処を行い足を切り落とされたのだ。
「それで俺が失敗を忘れないように傷をわざと残してくれるように頼んだんだ……」
スケルトンナイトを何とか退けたグレン、後に集合場所になかなか戻らなかった彼を探していたクレアによって発見された。グレンは治療中にこっぴどく叱られ…… いや泣かれた信じられないぐらい号泣された。グレンはクレアの泣き顔を忘れないようにと自ら体の傷を残したのだった。
「なるほど…… クレアさんへの誓いってやつですね」
「あぁ。そうだな」
満足そうに笑うグレンは視線を天井に向ける。視線は白い湯気に遮られた高い天井は見えなくなっていた。
「うん!?」
ダグオンはグレンの脇腹にも傷があるのを発見した。彼はグレンの脇腹を指した。
「これは……」
「そこは…… えっと……」
ダグオンが指した脇腹の傷は五年前にレオンに付けられたものだ。レオンがつけた傷が残っているのは、応急処置をグレンが行ったからだ。クレアの魔法で一から治療していれば、傷を残さず治療できるが深い傷で途中から治療を引き継ぐと傷が残ってしまう。答えに詰まるグレンに期待した顔をするダグオンだった。二人に天井から話し声が聞こえてくる。
「クレアって本当に胸大きいね!」
「ほんと…… 悔しいですわ」
「みっみないでください。ララちゃん!? ちょっと!?」
「いいじゃん。大きい胸で気持ちいいんだもん……」
クレアたちの会話が聞こえ顔を見合わせる、グレンとダグオンだった。二人は浸かっているいる湯船は女湯との壁がある。壁は天井にある換気用の通風口を塞がないように天井の手前までしかない。大きな声を出せば隣の浴場の会話が聞こえてくる。
「いいなぁ。グレンはいつもこんな気持ちいいの触っているの?」
「そっそんなことありません!」
「本当? あやしいな……」
「いっ!?」
さらにララとクレアの会話が聞こえグレンがひどく狼狽した顔をする。ダグオンは気まずそうにして顔を背けた。
「この胸の下にあるほくろとかグレンに教えてあげようかしら」
「えっ!? とっくにグレン君は知ってますよ……」
「あらあら……」
「わーい。ひっかかった。愛されてるね。クレア」
女湯から弾むようなララの声が浴場に響く。クレアは何も言わないでいる恐らくは恥ずかしく顔を真っ赤にしてうつむいているのだろう。
「やめてくれよ……」
顔を真っ赤にしてグレンは湯船に顔を静めた。ダグオンは苦笑いするのだった。
「なんか気まずいですね……」
「そっそうだな…… 熱いし…… もう出るか!」
のぼせたのか恥ずかしいのか真っ赤な顔のままグレンは立ちあがり大浴場から出て行く。ダグオンも彼に続くのだった。
風呂から出て食事を終わらせたグレン達は部屋に戻っていた。グレンとダグオンは各々ベッドで本を読んでいた。ダグオンは魔導書でグレンは薬学の本だ。
「ダグオン!」
「はい!」
ノックもせずにララが部屋に飛び込んで来た。ララはダグオンの名前を呼び、ベッドで本を読んでいる彼の横に座った。
「何を読んでるの?」
「”地獄のかまど下巻”ですよ」
「えっ!? うそ! それの下巻まだみたことない!」
目を輝かせるダグオンが呼んでいる本を見るララだった。ダグオンが読んでいる本は”地獄のかまど”という名だ。上下巻の二巻になっており主に魔族側に伝わる炎属性魔法についてまとめられた本である。上下巻となっているが、上巻と下巻の作成時期に隔たりがあり下巻は数が少なく珍しい。
ララはうらやましそうにダグオンの本を見て口を開く。
「私も読んでいい?」
「じゃあこれを貸しますよ」
読んでいた本を閉じたダグオンは体を起こしララに差し出した。差し出された本を見てララはムッとした顔をする。
「一緒に読むの!」
「えぇ!?」
ララは本を奪い取ってダグオンのベッドに飛び乗り、枕の上に本を開いた。ララの行動に驚いて固まるダグオンだった。
「早くしなさいよ」
「でっでも……」
動かないダグオンをララは不満げに睨みつけている。グレンは二人を見てあきれた顔をする。
「うるせえな…… 読書するなら静かにしろよ」
「なによ! グレンのくせに! べー! あっちの部屋に行こう!」
「えっ!? えっ!?」
下を出したララは本を閉じて抱えると、ダグオンの手を引っ張って部屋から出て行った。グレンは一人で部屋に残された。しばらくして…… 深夜を迎えても一人で静かにグレンは本を読んでいた。
「うん!?」
部屋の扉が開いてグレンが顔をあげ視線を向けた。
「まだ起きてた! もう明日は早いんですから寝ないとダメですよ!」
扉からクレアが顔を出して眉間にシワを寄せていた。
「別に…… 良いだろ。まだ眠くないんだ」
「ふーん」
口を尖らせて不満げに答えるグレンにクレアは疑いの目を向け中へ入って来る。
「クレア義姉ちゃんこそ何しに来たんだよ」
「ララちゃんとダグオンさんが一緒に寝ているのを見てたら、私には寂しがり屋の弟がいることをおもいだしたんですー」
ニヤニヤと笑ってグレンを見るクレアだった。グレンは仲間に裏切られ一人取り残されたことがあり一人で夜を過ごすのを嫌う。
笑顔で勝ち誇っているクレアを見てグレンはムッとして立ち上がった。
「えっ!? グっグレン君…… どっどうしたんですか?」
黙ってグレンはクレアの手を引いて壁際に連れて行くと手をつかせた。
「あっ! グレン君…… そんな……」
腰に手を回し少し雑にスカートをたくしあげるとストッキングを脱がし黒い下着に手をかけるといきおいよく下した。
「あっ!! グッグレン君!? ん! んちゅ」
強く激しくグレンがクレアに侵入した。激しく求められたクレアは驚き動揺しグレンに声をかけるが、すぐにその口はグレンの唇でふさがれてしまった。口をはなしたグレンにクレアを後ろを向いた。
「どうしたんですか…… あん!! 今日は少し…… はっ激しいですよ……」
「別に!!!」
「あっ! グレン…… くっ…… ダメ…… 声でちゃう…… んっ…… んっ……」
さらに奥へと熱く強靭なグレンを押しこまれるクレアだった。彼女はララやクロース達が居る部屋の壁に手を付かされており必死に声を我慢した。
「誰にも渡さない…… クレア義姉ちゃんは俺のだ!」
「はっはい…… 私はグレン君のですよ…… フフ……」
必死な顔で自分を激しく押し込んでくる、グレンに下を向き嬉しそうに笑うクレアだった。グレンは強く激しくクレアに自分を刻み込んでいった。
しばらくして…… ベッドの下にぐったりとして横たわるクレアだった。彼女の下半身はグレンによりしっかりとマーキングされようでベトベトにされ濡れていた。全ての欲望を吐き出しまさしくせいもこんも尽き果てたグレンはベッドに腰かけ腕を広げ倒れた。
「はあはあ…… えっ!?」
息を整えていたグレンが顔をあげると、クレアが自分の股間にあり欲望を持って口を開けていた。
「はむ…… んちゅ…… チュ……」
「クックレア義姉ちゃん…… あっ! まだ…… あっあぁぁぁぁ!!」
丁寧にクレアは口でグレンの欲望をかわいがった。グレンは情けない声をだして欲望を彼女の口へ吐き出した。口をはなした彼女は口元に手を持って行き、垂れて来るよだれを拭いにっこりとほほ笑みベッドに上がって来る。両手をついてクレアはグレンを上から覗き込む。
「そう…… 私はグレン君のものですよ。グレン君も私のです…… 忘れないでください…… ねっ!」
「あっ!!!」
ベッドの上へと来たクレアはグレンに向かって腰を下ろした。クレアとグレンの互いの欲望が重なりあい、今度はクレアがグレンに自分を刻み込んでいった。二人は激しく熱く夜を越えたのだった。




