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新大陸の冒険者支援課 ~新大陸での冒険は全て支援課にお任せ!? 受け入れから排除まであなたの冒険を助けます!~  作者: ネコ軍団
第5章 メスガキヴァンパイアハンターは蝕まれる聖都を目指す!

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第453話 似たようで違う物

 城から出て来た魔族とヴァンパイアはクレア達によって全て片付けられた。橋の上にグレンが戻って来た。城へ体を向けている彼の背中に向かって嬉しそうにララが声をかける。


「あっグレーン! こっちも終わったわよ。見て! 全部私が終わらせたのよ」

「おぉ! すごいなって……」


 振り向いたグレンがしぼんだ魔族を見て驚いていた。しかし、次にグアラとダイアンが右手を上げている姿を見た彼の笑顔が引きつっていく。


「なんだこいつら? 気持ち悪りいな……」

「何よ! 私の魔法に文句あるの?」

「これララの魔法なのかよ。死霊術師(ネクロマンサー)だったのかよ。ちゃんと免許を持っているんだろうな?」


 渋い顔をしてグアラとダイアンを見て死霊術師(ネクロマンサー)と言わうグレンに向かって、プクっと頬を膨らませるララだった。

 天に召された魂は御許で幸福に暮らすという考えのアーリア教会ではかつて死霊術は禁忌の術であった。しかし、その考えは魔王軍との死闘により建前となる。現生主義派の聖女オフィーリアは死霊術を使って戦力増強案を受け入れ、死霊術師(ネクロマンサー)が作る死霊軍団を戦力として魔王軍との活用したのだった。戦後になり教会がノウレッジ大陸の統治権を得ると法整備が進められ死霊術は教会管理になり死霊術師(ネクロマンサー)は免許制になった。

 ちなみに免許の有効範囲はノウレッジでは大陸のみで他大陸では各国の法律に従うこと。たとえ免許を持っていても死霊術を禁止された場所で使用すると罰せられる。また、免許を取得するのは難しく、無免許で死霊術を行う者も多い。免許を取得せずに死霊術を使った者は生涯免許交付を禁止され大陸からも排除される。


「違うわよ。死んでないわよ! これは死霊術じゃなくて風魔法の一つなの! 私の魔法で仮死状態にして操っているだけ! 

「そうなんだ…… でも使う時は気をつけろよ。死霊術にしか見えねえよ」

「わかっているわよ! 先生にも言われたし……」


 不服そうに口を尖らせて腕を組みそっぽを向くララだった。息を小さく吐いたララは視線を一瞬グレンに向けすぐに背けた。ララは首を小さく横に振った今度はしっかりとグレンに顔を向け口を開く。


「あっあのね…… グレン!」

「どうした?」


 気まずそうに小さな声でグレンを呼ぶ。ララの様子を見てグレンは首をかしげた。


「血清を貸して! この人たちを助けないと……」

「えっ!?」


 両手を前に出して血清をくれといったララは顔を左右に動かし、グアラとダイアンに視線を向ける。グレンは笑顔で小さくうなずいた。


「そうか…… そうだな。治してやらないとな」

「ありがとう……」


 いつになく殊勝な態度で喜ぶララにグレンのいたずら心がうずく。彼はにんまりと笑って手を伸ばしてララの頭を撫でながら口を開く。


「偉いぞ。ちゃーんと俺に頼めて! なんせ《《見習い》》には血清を渡してないからな」

「うるさい! 蹴るわよ! グレン!」

「あぶねえ! 蹴ってからいうなよ!」

「べーー!!」


 叫びながらグレンのすねを蹴ってくるララだった。グレンはたくみに彼女の足をかわし文句言いながら逃げていく。


「クレア義姉ちゃん! 鞄を貸してくれ。こいつらを血清で治す」

「はーい。わかりました」


 返事をした大剣をしまうとクレアは嬉しそうに笑顔でグレンの元へと駆けて来た。鞄を肩から外しベルトを持ってグレンへと差し出した。

 グレンが手を出すと


「なっなんだよ」


 鞄を持ったクレアはジッとグレンを見つめた。クレアは視線を彼の後ろにいるララに向けた。まだララはグレンに見習いとからかわれ不機嫌そうに口を尖らせている。


「ララちゃんをからかっちゃダメですよ」

「あっ!? わかったよ」

「よし! 良い子です。仲良くするんですよ」

「やめろ。ほら早く鞄を貸してくれ」

 

 返事をしたグレンにクレアは手を伸ばして彼の頭を撫でた。恥ずかしそうに顔を赤くしてグレンは彼女の手をどかし鞄を催促するのだった。クレアは不服そうに口を尖らせ鞄をグレンに渡すのだった。

 鞄を持ったグレンにクレアの後ろからクロースが声をかける。


「グレンさん…… 血清をこちらにもくださいますか? マーラさんも助けてさしあげないと……」

「そうか…… ほらよ」

「もっと丁寧に扱ってくださいまし! 貴重なものですよ」

「あぁ。悪い悪い……」


 うなずいたグレンは鞄を開け手を突っ込んで血清の入った瓶をクロースに投げた。クロースは投げられた瓶を受け取るとグレンに注意をするのだった。


「まっ待って! その治療! 待った!」


 慌ててケイトがグレン達の元へと駆けてきた。急に来た彼女にグレンにグレンが驚き声をあげた。


「なっなんだよ?」

「この人たちは元に戻してはいけません!」

「はあ!? なんでだよ」

「だって…… この人たちが戻ったら私に……」


 指を体の前で合わせながら気まずそうにグアラ達を見るケイトだった。彼女とグアラ達は酒場でもめていた。ヴァンパイアから戻ったらまた攻められるとケイトは思っているようだ。

 グレンは視線を横に向けると目が合ったクレアが、にっこりと微笑みうなずき返事をした。


「はーい」

「なっ!? なにを!? キャッ!!」 


 指を二本立てクレアが腕を横に動かした。二本の薄い光の刃がケイトの足と体に巻き付いた。縄で縛られたようになった彼女はバランスと崩して横に倒れた。


「ケイロスさんの武器は意外と使えますね……」

「なっなんでですか!?」

「俺達はヴァンパイアハンターだからな。ヴァンパイアから皆を助けなきゃいけねえんだ」

「そっそんな……」


 倒れて悔しそうにするケイトだった。グレンはララの元へと戻りクロースはマーラの治療を始めた。


「使い方はわかるか?」

「うっうん…… でも…… そこで見てて」

「あぁ。わかった」


 血清を受け取ったララが答えるとグレンは笑顔で笑った。グアラとダイアンに血清を使うララの後ろでグレンは彼女を見守るのだった。

 少しして…… 橋の中央にグアラ、マーラ、ダイアンの三人は寝かされていた。三人はほぼ同時に目覚めた。


「はっ? 俺達は何を……」

「確かケイロスに借金を返せって言われたわよね…… それで……」

「あっ!? ケイト! おまえ…… えっ!? あんたらは」

「よお!」


 目を覚ましたグアラたちがケイトとグレン達に気づいて驚いた顔をする。グレンはグアラと目が合うと笑顔で手をあげ三人に近づく。酒場での騒動の記憶が新しいグアラ達は顔を青ざめさせ恐怖で怯えている。


「あんた達は吸血症にされヴァンパイアになってた」

「ヴァンパイアにだと……」

「あぁ。今は治療してやったから元に戻っている。ヴァンパイアにされた時の記憶はあるか?」


 グレンの質問に三人はしばらく考え首を横に振った。


「わからない…… 俺はあんたらにやられて気が付いたら……」

「僕はケイオスに捕まって殴られて気を失って……」

「私もダイアンと一緒です」


 三人とも気が付いたらヴァンパイアになっていたという。話を聞いていたグレンは残念そうに首を横に振り右の親指で背中側にある岸を指した。


「そうか…… じゃあいい。もう行けよ」

「えっ!? 行って良いのか?」

「あぁ。それとも自分達は自らヴァンパイアになったから消してもらいたいとでも?」

「「「いっ!? いえ!!」」」


 右手を剣にかけるグレンにグアラたちは顔を青くして首を横に激しく振った。一斉に立ち上がるとグアラ達は立ち上がって走ろうとした。


「はっ!? ケイト! おまえ!」

「「なっ!?」」

「げっ!?」


 しばられた倒れているケイトを見つけたグアラ達だった。ケイトは苦い顔をした。


「一発ずつだったら蹴って行っていいぞ。話を聞いたらこいつが悪いみたいだからな」

「ぐっグレンさん!?」


 三人はグレンの言葉に顔を見合わせてうなずいた。意を決した三人はゆっくりとケイトに近づく。倒れたケイトに顔が徐々に三人の影で覆われていく。


「やっやめ!? ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 尻、腹、顔と各自一発ずつケイトに蹴りを入れてから走り去ったのだった。

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