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新大陸の冒険者支援課 ~新大陸での冒険は全て支援課にお任せ!? 受け入れから排除まであなたの冒険を助けます!~  作者: ネコ軍団
第5章 メスガキヴァンパイアハンターは蝕まれる聖都を目指す!

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第416話 世話になった人

「なっ!? グハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」


 老婆の叫び声に気づいた剣士が振り向いた。直後に彼の頭は何者かにわしづかみにされ持ち上げらる。


「あんた!? うわああああああああああああああああああああ!!!!」


 剣士の横に居た女性戦士が斧を振り上げたが直後に彼女の頭も掴まれ持ち上げられた。苦痛に顔を歪める二人の目に赤く目を光らせオーラを纏い巨大化したグレンの姿が見えた。グレンは獣化全解放《ビーストモードプリズンブレイク》を使用し二人との距離を詰めていた。


「「んぎゃ!!!!!!!!!!!!!!」」


 両手に持った剣士と戦士を体の前で投げるようにしてぶつけたグレンだった。激突した二人はグレンの目の前に落ちて折り重なるように倒れた。

 視線をグレンは斜め前に向けスッと右足を前に出した。グレンの足は倒れた二人の上からさらに前に伸びる。


「おっと! 逃がすかよ!」

「ぐわ!!」


 グレンの右足は盗賊姿の男の足をひっかけて転ばせた。盗賊は振り向いて入り口に向かって逃げようとしていたが、グレンは逃走に気づき足をひっかけ転ばしたのだった。


「残念…… 俺の足は長いんだ…… よっ!!!!!!!」

「グハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」


 勢いよく盗賊の背中を踏むつけるグレンだった。盗賊の声と鈍い音が店内に響き渡った。グレンは倒れた盗賊を見下ろし、彼が口から泡を吹いて動かなくなるのを確認する。


「はい…… 終わり。クレア義姉ちゃんは?」


 両手の埃を叩きながら盗賊の背中から足を外すグレンだった。彼は視線を前に向けてクレアに問いかける。


「こっちも終わってますよ…… って殺してないですよね? 面倒臭いんですから」

「大丈夫…… いまんとこ生きてるさ。きっと…… 多分…… おそらくな……」


 倒れた盗賊を見ながらしゃべるグレンの声が徐々に小さくなっていく。クレアは冷たい目で彼を見つめていた。二人の後ろで見ていたキティルがあきれた乾いた笑いをする。


「ははっ…… あっという間だね……」

「えぇ。さすがに早いですわね……」

「おい! お前ら! ここで勝手な事してんじゃねえぞ!!!!」

「そうよ! あたしらの町で好き勝手なことさせないわよ」


 怒鳴り声が聞こえ振り向くクロースの視線に冒険者達が席を立ちあがり、グレン達を取り囲もうとしている姿が見えた。


「おや? こちらでもですか…… でも残念でしたわね! もうここは私の領域ですの!!!」


 叫びながらクロースは右手を天井に向けた。同時の彼女の足元から稲妻が走り冒険者達へと向かって行く。稲妻が近くの冒険者三人に命中する。


「「「グギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!」」」


 光りに包まれ悲鳴を上げる冒険者たちだった。光がおさまるとススまみれになって冒険者達が倒れた。一瞬で三人が倒れ冒険者たちは困惑し勢いを失い立ち尽くす。

 クロースは立ち止まり呆然とする冒険者達をみながら満足げにほほ笑み右手を下した。


「すげな。クロースさん! グレンさんにクレアさんも!!」

「本当! クレア! あんたもしっかりしなさいよ」

「えっ!? あぁ…… うん。頑張るよ…… もう!」


 キティルの背中を叩きながらララはしっかりとしろと彼女に檄を入れる。キティルはしょんぼりとうつむいてうなずくのだった。クレアとグレンは顔を見合わせて笑うのだった。


「さて…… A1に逆らったんだからな…… この冒険者ギルドを全滅させてやろうか!」


 獣化全解放《ビーストモードプリズンブレイク》を解除し体を元に戻したグレンは右人さし指を立て店内を指しながら叫ぶ。


「うん!? チッ!!!」


 舌打ちをしたグレンは右手の腰にさした剣に手を持って行った。素早く剣を引き抜きそのまま剣を横へと持って行く。衝撃が右手を襲い音が響く。悔しそうに顔を歪ませるグレンの視線に両手に持った長いサーベルでグレンに斬りかかってきた黒髪を後ろに結んだ男が立っていた。男は顎に無精髭を生やし額に斜めに傷が見える。黒いズボンに黒いブーツを履き膝に茶色の革製の膝当てを装備し、薄い鉄板が付いたグローブに鉄の胸当の上から深い青いコートを羽織っていた。


「やるじゃねえか! うん!?」


 グレンは男の顔を見てニヤリと笑い口を開く。


「おう! ナウロー!」

「えっ!? グッグレンさん!? おっお久ぶりです!!! あわわわ!?」


 声をかけられた男は驚きの表情をする、彼はナウローという名の冒険者だ。グレンと顔見知りのようでナウローは困惑した表情を浮かべる。笑顔のままグレンはナウローにさらに声をかける。


「お前…… そうか。確か臨時職員をたまにやってたんだよな」

「はっはい! 今はギルドの警備を担当してまして!」


 気まずそうにグレンに答えるナウローだった。グレンは持っていた剣から力を抜きうなずいた。ナウローは妻子持ちの冒険者で、仕事が無い時は冒険者ギルドの臨時職員として働いていた。


「そうか…… ほら剣を引け。本当にギルドを全滅させるぞ」

「えっ!? はい! すみません!」


 グレンの言葉にナウローは慌ててサーベルを引いた。二人は同時に一歩下がって剣をおさめた。ナウローの周りに冒険者達が駆け寄って来る。


「ナッナウローさん!? どうしたんですか? こいつら……」

「バカ!!! こいつらだと!?」


 隣に来た冒険者達を怒鳴りつけるナウローだった。いきなり怒鳴られ意味がわからずキョトンとしている冒険者にあきれながらナウローが口を開く。


「お前ら!? 覚えてないのか!? グレンさんとクレアさんだ! テオドール冒険者支援課の!!! お前らが束になってかかっても叶うわけないだろ!!」

「「「えっ!? あああ!!!!」」」


 冒険者達はグレンとクレアを見て声を上げた。彼らもかつてテオドールで二人に世話になった者たちなのだ。驚く冒険者たちを見て首を横に振った。


「ほら! あいつらをとっとと助けてやれ! いくら手加減してくれてもグレンさんにやられたんだ。死んじまうぞ」

「へい!!」


 ナウローがグレン達が倒した冒険者パーティの治療を指示した。ハッとして冒険者達が負傷者の治療に動き始めるとナウローはグレンに頭を下げてから口を開く。


「どうしてグレンさん達が…… もうギルドは辞めたって」

「ギルドの職員としてはクビになったが冒険者は関係ないからな。冒険者に復帰したんだよ」


 振り向いたグレンの後ろでクレアが二人の冒険者の指輪をナウローに見せたのだった。


「なるほど…… さっきのA1ってグレンさん達のことだったんですね」

「あぁ…… クレア義姉ちゃんは元からA1で俺は実績解除だってよ……」


 グレンは振り返りクレアを見た。グレンはC2ランクの冒険者だったが、冒険者支援課での功績が認められA1にランクアップした。八人目のA1ランク冒険者の誕生だ。

 話を聞いたナウローはあきれた顔をした。


「はぁ!? 簡単に抜かないでくださいよ。私達は苦労してやっとランクを上げるんですよ」


 ナウローはグレンに向かって不満げに口を尖らせていた。グレンは首を横に振り渋い顔をする。ちなみにナウローは最近A2にランクに昇格した。


「怒るなよ。俺だってそれなりに苦労して来たんだぞ! それに一気にランクが上がるなんて思わなかったんだよ」

「はははっ。冗談ですよ。おめでとうございます」

「ったく。めでたくなんかねえよ。しっかし…… お前のとこは素行が悪いな。ちゃんと教育しろよ……」

「めっ面目ないです」


 頭の後ろに手を置いてかきながら、気まずそうに頭を下げるナウローだった。グレンはそんな彼を見て優しく笑い、視線を下に向け倒れている冒険者達に目を向けた。


「それにしてもこいつら…… 指輪を奪ってどうするつもりだったんだ?」

「えっ!? 指輪を狙ってた…… えっと…… グレンさん達はこれから天井監視所ですか?」

「あぁ。そのつもりだ……」


 うなずいて返事をするグレンだった。ナウローはハッとした表情をし酒場の入り口を手で指してグレンに口を開く。


「じゃあ塔の案内をしますよ。私はこの辺りは詳しいですからね」

「いや…… 別にただ塔を登るだけだし」

「そんなこといわずに! ほら行きますよ!」

「おっおい!!? ナウロー!?」


 グレンの背中に回り込むと彼を押してナウローは連れて行く。ナウローに連れて行かれるグレンを見てララとラピは笑ってついていく。キティルとクレアとクロースは顔を見合わせて首をかしげるのだった。

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