2日目の朝
タルトよりも先に目が覚めると【聖光領域結界】の外には倒れた魔物がちらほらと。
目覚めていきなり魔物の死骸を見るなんて気分は最悪です。
寝てる間に襲い掛かってきたようですが【聖光領域結界】の耐久力はどうなっているのでしょう。
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聖光魔術 【聖光領域結界】
耐久力 30,000/30,000
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さすがは私の精神力。耐久力が1も減っていません。
確認を終えたところでこの魔物たちですね。
基本的に魔物は死骸になって一定時間その場で留まっていると、朽ちて大気中に分解され新しい魔物を産み出すための養分になると冒険者講習会で聞いたことがあります。
なのであの時タルトにトドメを刺していたらその内分解されて新たなカタストロフドラゴンの養分になっていたでしょう。
今思うと本当にトドメを刺さなくて良かったです。
ちなみにタルトが私の従魔になっても390階層のボスであるカタストロフドラゴンは復活しますよ。そうでなければ階層を守護するボスが務まりません。
ただ時間は掛かるでしょうね。
あの強さの魔物を産み出すには時間が必要となります。それこそ年単位で。
確実に390階層は前人未踏のエリアなので相当な時間が積み重なっていた。故にあのようなステータスになっていたのでしょう。
また390階層よりも上の階層のフロアボスにも同じことが言えるはずです。
カタストロフドラゴンとの戦闘を経験した私が言いますけど、しばらくはフロアボス戦は避けていこうと思ってます。380階層のフロアボスも気になりましたが戦闘はしませんでした。
一番弱いボスからではなく一番強いボスから始めている私にとって大した支障にはならないと思います。
しかし地上への脱出を急ぐ身としては時間の無駄です。いずれは挑戦するかもしれませんがね。
さて、話を少し戻しましょう。
魔物の死骸についてです。
実は素材として魔物を持ち帰るとなるとその現象は無くなります。素材を装備等に加工した場合も然り。
不思議ですよね。この謎も未だに解明されていないんです。
まあ、そのお陰で病気に効く薬や冒険者に必要な武具を売ることが出来るんですけどね。
それにしてもこの魔物たちはどうしましょう。
分解されていないので時間はそこまで経っていません。私が目覚める1~2時間前ぐらいですかね。
空間魔術を使って持ち帰るのも一つの手です。空間魔術には【異次元収納箱】という魔術があります。
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空間魔術 【異次元収納箱】
別空間に物体を移動・収納できる
容量は魔術使用者の魔力に影響する
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私の【異次元収納箱】は50メートル四方ほどの広さです。
あっ。容量が魔力に影響するならタルトからのステータス補正を受けているので更に広くなっていますね。
もともと【異次元収納箱】に収納している物は少ないのに更に広くなったと考えると何故か虚しく感じます。
この虚しさを埋めるためにも今後は倒した魔物を持ち帰ることにしましょう。
こう見えて私はお金を持っていません。
いえ、厳密にいえばありました。
以前水晶に翳して記録させたライセンスには通帳の役割もあるのです。
コツコツとお金を貯めていて結構な額にまで達していたのですが、年に一度ライセンス更新をしないと有効期限が切れたライセンスはただの紙同然なのです。
もちろん三年も更新していないので私が貯めたお金はもう何処にも無いですよ。
理不尽だと思いますけど、一回更新すれば一年は有効。
そして、一年も期限があり更新も大して時間はかからない。
更新は全ての冒険者ギルドで可能。半年に一回更新するのが目安。やらなかった方が悪い。
冒険者講習会でも注意するようにと何回も言われましたよ。
なんとも厳しいルールですよ、まったく……。
地上に出ても資金が一銭もなければ美味しいものも食べられないので冒険者ギルドやお店で魔物を売ってお金に換えましょう。また一から貯金を始めなければ。
そういえば、パーティーメンバーが不慮の事故で死亡もしくは行方不明になった場合、預けていたアイテムやお金を相続できるなんて噂を聞いたことがあります。
あくまでも噂程度なので真実かはわかりませんが、もし事実であれば私が貯めたお金はアドルたちに使われた可能性大です。
戦力外通告したあの時、最後だからと快く同行を許してくれたのはそういった意味があったかもしれません。
私の貯めたお金でさぞ良い思いをしたでしょうね!
可能性の話に腹を立たせても仕方ないですが、彼らが私にしたことを考えるとどうしようもなく苛立ってしまいます。
「……キュ?」
どうやらタルトも目が覚めたようです。
そして、この苛立ちを収めてくれるが如くタルトが側に寄ってきました。
ああ、本当にこの子は私の癒しです。
治療魔術では治せないものを簡単に治してくれます。
「ありがとう、タルト」
私はタルトの頭を撫でました。
もうタルト無しでは生きていけない気がしますね。
アドルたちのことを考えることを止めましょう。
彼らの顔が浮かぶとタルトを愛でることに集中できません。
彼らも私のことなんて既に死んでると思っています。
どうせ今も冒険者を続けているだろうし、そこに私が現れて驚かせようとも考えましたが、こんな広い世界でアドルたちと遭遇するのは難しいですね。
まあ、私も出来ればアドルたちの顔は見たくないので遭遇しなくて結構なんですが。
一部修正。本編に影響はありません。





