#8.世の中マゾばかりじゃない
順調にマゾ狩りを続け、少しずつ技術と経験が身に付いて来たリナと玲奈。
しかしそう上手く行く事ばかりでは無かった。
マゾであると装って、実際には個室で彼女達を襲おうという者もいた。
いや、いたと言うよりは結構多い印象だった。
しかしそうした者達は彼女達の客では無く、すぐに通報したり、
生配信で撮影したりして対処していた。
「ハァ~、何でこうも襲いたがるヤツが多いんだろうね。
大人しく受け身でいれば気持ち良くしてやるのにさ。」
「男としてのプライド?みたいなヤツなのかなぁ。
勿体ないよね。私達みたいなJkから相手して貰えるのって
普通にお得だと思うけどなぁ。」
この日二人が目星を付けた相手も、
そんなプライドに支配された憐れな男だった。
「ねぇ~、お兄さんアタシ達と遊ばない?
お触りは無しで、あくまでこちらから一方的に責めるだけ。
一時間15000でどう?」
リナは既にテンプレートのような文句を考え出していた。
「え、本当に!?こんなハイレベルなJK二人で15000は安過ぎだろ。
良いよ、ホテル代も出すから、早く行こう。」
積極的な様子に二人は違和感と危機感を感じていた。
(コイツは多分、マゾじゃない)
こういった時には彼女達に被害が及ぶ事が考えられる。
その為、常に2対1の状態を作り出すようにしている。
~ホテルにて~
「いやぁ~本当、キミ達二人と部屋にいると、こんな暮らしも悪くないね。
お酒、飲んじゃう?意外とキミらの歳でももう飲んでるでしょ?」
「いや~、アタシらって何気に良い子ちゃんだから、飲まないんだ~。」
「そっかぁ、だけど興味はあるでしょ?
ジュースみたいなモンだしさ、ホラ、甘くて美味しいよ?」
二人には男の作戦はバレバレだった。
こうして二人を酔わせて、抵抗不能な状態にした上で襲おうとしている。
「とりま、飲みはしないかな~。
あと、お兄さんも飲むより早く遊ぼ?」
リナが急かしたのには理由があった。
個室で酒を飲み酩酊状態となった場合、時に暴力を振るう者もいるのだ。
トラブルになってしまうと親を呼ばれたりといった事も考えられる為、
彼女達はそのリスクを最初から潰すために基本的に呑ませない。
「えー、でも俺飲まないと勃たないんだよね~、少しで良いから、
遊ぶ前に飲ませてよ~。」
そう言って男は冷蔵庫の缶ビールを手に取りプシュッと空けてしまった。
こうなってしまえば止める事は難しい。
ここで飲む事を制止すれば、もう開けたのにと激しい抵抗に合うだろう。
(コイツ、何が何でも飲むつもりじゃん。厄介だな・・・。)
「じゃあ、お兄さん、身体サワサワして行くね。
あ、そうだ。プレイの一環で面白いから、手錠と目隠ししよっか。」
軽快な口調でリナは男の行動を制限しようとする。
「え~、ヤだよ~。俺、キミ達を襲いたいんだけど?」
玲奈は内心怒り心頭だった。
自分のペースに持って行こうとのらりくらりとかわす男。
何が何でも自分達を襲いたいらしい。
(よし、こうなったら・・・)
玲奈は『ある決心』をした。
「お兄さん、それじゃあ私を襲って★
私盛り上げる為に抵抗するから、ちゃんとかわしてね?」
「よっし、わかった!
そういうノリの良い態度良いね~、それじゃ行くぞー、ガオー!」
男が玲奈に襲い掛かる素振りを見せる。
玲奈は最初、キャーと逃げる素振りをした。
そしてその瞬間、抵抗のフリをして・・・男の股間を蹴り上げた。
「キャー、怖ーい!!」
━グジュッ!!━
不穏な音を立てて、男の股間が蹴り上げられる。
男は一瞬『カヒュッ』という音を発し、顔が蒼白になる。
「あ・・・が・・・やり過ぎだよ・・・」
男は股間を押さえてうずくまった。
「キャー、ごめんなさいー、抵抗してたら当たっちゃった・・・。」
しかしこうなってしまえば男はもう襲い掛かる元気も無い。
ただ、痛む股間を押さえながら静かにジッと黙っていた。
リナが追い打ちをかける。
「お兄さん、避けてくれるって言ってませんでした?
玲奈の怖がり方は結構余裕があったし、まさか当たるとは。
お兄さん、運動とか苦手なタイプですか?」
男はバカにされたようなリナの態度に一瞬イラッとしたが、
そんな事よりも股間の痛みの方が深刻だった。
「んー、ちょっと使いモノにならなくなっちゃったかな?
仕方ないね、今回はちょっと中止で。
あ、お金はもう貰っとくね。アタシ達にとって大切な生活費だし。」
そう言って二人はそそくさとホテルを出た。
後には股間の痛みに耐え続ける憐れな男だけが残された。
~深夜の駅前~
「いやぁ~、危なかった。
やっぱマゾじゃない男ってクソだよね。
とにかく何が何でも自分のペースに持ち込もうとする。」
「しかもさ、そのやり方が大体ダサいのよね。
本当、あんなやり方で引っかかる女がいるとしたら、
その人はもうかなりのバカと言わざるを得ないわ。」
「ま、あんなのが意外と家族がいたりするのよ。
それで、家庭内では自分のプライドが保てないから、
こうやって外で自分が上の立場になれるチャンスを伺ってるの。」
「ダッサ。もう何か男として終わってるって感じね。」
「そだよね(笑)あり得ないくらい、ダサいよw
マゾの方が可愛げがあるし、アタシ付き合うならマゾかなー。」
「へぇ、意外。リナってマゾと付き合えるんだ?」
「えーだって、暴力振るうのが普通の男の常じゃん?
そんなの、女のアタシら勝てなくない?」
「え、普通の男は暴力を振るうって、その前提何?
どこの修羅の国なの!?」
「いや、結構追い詰められたら普通の男って暴力に訴えるよ。
そりゃ男社会の中だとボスとかには手出さないけど、
相手が女となると途端に手出したり平気でするよ。」
「なるほど、それはあるかも・・・。」
二人は出来ればマゾだけを相手していたかった。
しかし、中々見た目だけでは完璧にはわからない所があった。
「もう、いっそさ、マゾ向けの店舗ってか、サイト作らない?」
玲奈からの提案だった。
「え、何!?どゆ事!?
玲奈、そんなの作れんの!?」
「あーいや、AIに頼めば楽勝でしょ。」
「あ、なるほど・・・。
M向けサービスするJK二人組みたいな感じでサイトを作るのか。
いや、てかサイトなんてわざわざ作らなくても、アカウントで良くね?」
「・・・・あー・・・・・そだよね。私、何考えてたんだろ。」
玲奈はゆくゆく企業化する事を想定しての提案だった。
しかし考えてみればマゾ相手のサービスを生涯の仕事にするのか。
「リナ。私ね、マゾだけが得出来る社会を作りたいんだぁ。
あの子達って健気だし、搾取はするけど幸せになって欲しいの。
だけど普通の男って何か生意気だし、いらないと思ってる。」
「うん、それはアタシも同意だよ。
マゾが報われる、かー。
可愛いアタシ達からサービス受けられるのはマゾだけです、みたいな?」
「ま、そうなるよね。
とにかく交渉でも『我』を出す男はダメ。
全部、私達の提示した条件を無条件に呑むくらい受動的じゃ無いと。」
「ま、そりゃそうだ。
とりま、そゆアカウント作ってみるね。
けどなー、結局はマゾを自称しながら中身普通の男、は来ると思うな。」
「まぁ、それはそうだよね・・・。
じゃあいっそ、マゾかどうかの試験も課してみる?」
「・・・ちょっと、ねぇ、玲奈。
何かアンタ方向性が違って来てない?
アタシら、日銭とちょっとのプラスアルファを得るだけでしょ?
何で自分が選ぶ側のちょっと偉い立ち位置になってるの?
いや別にそれは悪くは無いんだけど、少なくとも今のアタシら、
まだ相手を選べるほどに余裕無くない?」
「あー・・・ちょっと、気がはやり過ぎたかも。
早く将来に直結するアイデア力を発揮しなきゃとかさ。」
「まぁでも確かに、マゾだけを選別出来たら良いよね。
何かこう、簡単にマゾかどうかわかる判別方法があれば・・・。」
そこへ、久々に綾が登場した。
「や、二人とも久しぶり!
まだここに居るって事は、しばらく上手く行ってるって事ね?」
「ま、一応ね。
ねぇ、綾ちゃん。マゾかどうかを判別する方法ってあるの?」
「んー・・・・・。
えとね、貴女達、何か勘違いしてないかしら?」
「え?」
「男は皆、本質的にはマゾよ?
だって考えてもみなさいよ。
よほど無理矢理に犯すとかでも無い限り、
合意の上で性的サービスを行う上では、女側に主導権がある。
と言う事は、女が言った要望を満たすしか無いのよ、彼らは。」
「まぁ、それもそっか・・・。あー、確かに本質的にマゾ、か。」
「そ。だから、自分はマゾじゃないだとか、変なプライドある男でも
いかにその人のマゾ性を引き出してあげるかが腕の見せ所よ。
性的サービスして貰えて嫌な男なんて居ないんだから。」
「なるほど、どの男もマゾになり得るのか・・・。
アレ?そうなると、マゾ狩りって物凄く可能性あるくね?」
「そうよ?だから貴女達に勧めたんじゃない。
何よ、今更気付いたワケ?」
「いやだって、最初綾ちゃん、マゾを選別してたじゃん。」
「あー、アレは貴女達にも扱い易い初心者用の、最初からマゾ性が高い
『既に自覚してるマゾ』を見分けただけよ。
アタシくらいになると、大体の男をマゾに出来るわよ。」
「綾ちゃん、パねぇ・・・。
でもそう考えるとマゾ狩り一本でやって行けるかも。
どうやって男をマゾにするか、いやマゾ性を開かせるかだね。」
「そ。だけどそれも結構簡単よ?
要するには快感というエサを目の前にぶら下げておくの。
それに抗える人間なんて聖人と言う人を含めて、基本的にはいないわ。」
「よし、じゃあ次はマゾ性の低いヤツを狙って、ソイツをマゾに・・・」
「いや、止めておいた方が良いわよ。」
「え?」
「別に、それはアタシや貴女達の目標じゃないでしょ。
特に今の貴女達はただ日銭プラスアルファが欲しいだけなんだから、
小難しい事を考えないでなるべくマゾ性が高いヤツを選んだ方が良いわ。
効率よく経験を積んで行きなさい。」
こうして二人はまたもや黒木綾からマゾ狩りに関するノウハウを学び、
また次からのマゾ狩りに活かして行くのであった。
一見すると上手く回っている、3人の師弟関係。
しかし夜の街の秩序の中に居るのは三人だけでは無い。
裏社会の取り持ちや商売敵、警察等の公権力。
本来は様々な妨害や傷害があって然るべきなのだ。
彼女達はこれからもラッキーが続き、それらとは無関係に生きて
マゾから搾取だけをして生きていけるのだろうか。




