#6.玲奈の帰宅
ずっとマゾ狩りをしながら暮らしていけるわけが無い。
そんな思いから玲奈は自宅へと戻る事を決意した。
心の中はわからないが、リナもそれを了承した。
そして翌朝、玲奈は父親と兄弟が出かけたであろう後の時間を狙い
チャイムを鳴らした。
「ハァーイ、宅配便かしら?」
玲奈の母親の声だった。
そして玄関のドアが開いた。
「え、アンタ・・・玲奈!!
家出なんて一日で終わるかと思っていたら、
何日やってるのよ、もう!
良いわ、とにかく家に入りなさい。近所に見られるわ。」
そうしてリビングに通され、椅子に座らされた。
「ねぇ、玲奈。あなたの進路の事で少し言い過ぎたとは思ってるわ。
だけどあなたの為を思っての事なの。
ここ数日、どうやって過ごしていたのか、アラ何だか臭いわね。
ちゃんとお風呂は入れていたの?悪い人と付き合ったりしてない?
これからちゃんと学校に戻って、先生には反省文を出しなさい。
今ならまだ取り戻せるから、必死に休んでいた間の勉強をしなさい。」
玲奈は、あぁ変わらないなと感じた。
最もたかだか数日の事であり、それで劇的に親が変わる事などあり得ない。
「私ね、友達が出来たんだ。そこで友達とマゾ狩りをしてた。
大人の女の人がね、教えてくれたんだ。こうすると稼げるよ、って。」
「その人はそれで生きているのかも知れないけれど、
あなたがそれを真似る必要は無いわ。人にはそれぞれの事情がある。
それでしか生きられない人はそうやって生きるしかない。
だけどあなたはそうでは無いでしょう?
しっかりと勉強して、その、まぞがり?って言うの、
やらなくても良い暮らしをするのよ。」
母親の言葉は正しかった。
それに玲奈を責めなかった。
玲奈はそれが逆に残酷なようにも感じた。
親の言う通りに正しい道を歩む。
それは決して間違った事では無いし、幸せもある。
多くの人達はそのようにして生きて来たのだろう。
しかし玲奈にはもう一つの思いがあった。
『間違っていても良いから、自分を生きたい』という思い。
彼女はそれが苦労の道だとしても、試してみたい気持ちがあった。
そしてその葛藤の中で苦しみ続けていた。
「ねぇ、お母さん。マゾ達で遊ぶのって結構楽しいよ。
それにそんなに言う程危なく無いの。
ある程度稼げたら辞めたら良いし、何よりマゾ達には別に
中毒性も何も無いから、簡単に辞められるんだよ。
今だってホラ、簡単に辞めてこうして家に・・・」
しかし、それを母親が厳しい言葉で遮った。
「玲奈!!!!!
その『マゾ狩り』って言う下品な言葉を、この家の中で使ってはダメよ。
品格が落ちちゃうでしょう。あなた、やぱり悪いお友達が出来たんだわ。
そんな事をする為にあなたを産んだんじゃないのよ。」
「だったら・・・」
「?」
「だったら、何をするために私を産んだの!?
私に幸せになって欲しいと言うのなら、私の幸せを尊重してよ!!
もしかしたらマゾ狩りが楽しくて、それが生き甲斐になるかもじゃん!」
玲奈は自分でもとんでも無い事を言っている自覚があった。
マゾ狩りを正当化出来る理由なんて、一般的にあまり無い。
それでも、マゾ狩りは彼女の自由の象徴だった。
「多分、学校の誰もマゾ狩りなんてしてない。
だけど、だからこそマゾ狩りは自由なの。
皆がやってるのと同じ道を行っていたら、いつまで経っても
誰かの人生の後追いをしてるだけじゃない。
そんなものより、自分の人生を生きたいの、私は!!」
玲奈は再び家を飛び出した。
「ちょっと、玲奈!!
せかっく戻って来たのに、また家出するの!?
絶対に、あなたの言うマゾ狩りなんて良いはずが無いわ。
今度戻って来たら、次はキツくお仕置きするからね!!」
玲奈は急いでリナの元へと走った。
その頃、リナは一人になりただボーっと過ごしていた。
「ハァ、玲奈、結構良いヤツだったからなー、仲良く出来たし。
このまま二人で出来る時までマゾ狩りして、それで適当に辞めて、
あとは何かアクセサリーショップとか、適当な店作って
悠々自適に暮らしたかったなー。まぁそれは玲奈居なくても出来るか。
だけど本当、一人になると少し寂しいな。」
リナは不思議な感覚を味わっていた。
恋人とは違う、だけど友達と言っても学校で作った友達とは違う。
互いに一人で生き抜く為に作った同盟のような関係。
生き死にが直結する場だからこそ、隣に人がいる事が安心した。
二人が生きている事が祝福に思えた。ただ、幸せだった。
だけど玲奈はきっともう戻って来ない。
そんな現実を見つめながら、リナは川の流れを見つめていた。
「アタシにとってみれば玲奈は、この川を流れる流木みたいなものかな。
見つけたらラッキーって思うけど、流木はまた流れて行く。
玲奈には玲奈の人生があるんだもんね、ずっとアタシが止めてらんない」
その時、向こうの方から玲奈が走って来るのが見えた。
「え、玲奈?何で、何か忘れ物?いや、あるワケ無いかそんなの。」
「リナー、ごめーん!!
やっぱ私、リナとしばらく一緒にいる事にしたー。
家が嫌だったワケじゃないの。ただ、自分を生きたかっただけなの。」
リナは全てを聞かずとも、玲奈が言いたい事が何となくわかった。
彼女は同級生達よりも少し早く、自分を生きようとしているのだ。
「それ、アタシも一緒だよ。
何だ、タイプは違っても目指してる方向は一緒じゃん。
やっぱ、相性良いかもね、アタシ達。」
リナは走って来た玲奈を抱きしめた。
そして二人、少し涙を流しながら再会を喜んだ。
束の間の別れが二人に考える時間を与えた。
そして互いに自分の事、相手の事を真剣に考えた。
そうしてやはり、お互いの必要性に気付いたのだった。
そんな二人に、黒木綾が声を掛けた。
「お、二人とも何だ再会を喜び合うようなハグをして。
あ~、アタシにもあったぞ、そんな時。
アタシにも仲間がいたんだ。だから、お前達の友情が裏やましいよ。」
「え、綾ちゃんその友達とはケンカ別れとかしたの?」
「いや、死んだよ。精神が不安定な子でな、ODだった。」
二人が真剣な表情になった。
「綾ちゃん・・・。助けて、あげられなかったんだね。」
「あぁ、そうだ。だからアタシは、お前達にはそうなって欲しくない。
きっとお前達の母親から見れば早く娘達を警察に渡して欲しいだろう。
だけど私はダメな大人だから、お前達の事を全力で応援してる。」
二人は綾に心から感謝した。
自分達に生きるための道を示してくれた。
これは二人にとって実はとんでも無い道しるべだったのだ。
「綾ちゃんが居てくれたからこそアタシ達、生きて来れたんだ。」
「そうだね、私達だけじゃもしかしたら身体売ってたりとか、
普通にバイトして結局元の生活だったかも知れない。」
綾が二人の自由の扉を開けてくれた、二人はそう感じていた。
「綾ちゃん、今日も雛鳥のアタシ達にマゾ狩りのやり方を教えて下さい!」
「う~ん、そうだなぁ。
抵抗しなさそうなマゾになら、首絞めとかをしても良いかもね。
太ももでやってあげたらオプション料金取れるかも。」
玲奈が驚いて言った。
「首絞め!?
さすがにちょっと、もし死んじゃったらどうするの!?」
「だから、そこをちゃんと手加減・・・と言うより、
本気で苦しくなったらマゾ達も必死に振りほどいて来るぞ。
だから安心しろ、苦しいフリで楽しんでいる間は安全だ。
最も、呼吸疾患などがあれば別だが、普通はそれくらいなら大丈夫だ。」
習えば早速実践してみたくなるリナが声を上げた。
「じゃあ、アタシ今日はそれでマゾ狩りやってみる!」
綾は人混みの中から適当なマゾを探した。
「あ、アイツなんて良いんじゃないか?
お前の太ももがしっかりと食い込みそうな細い首をしている。」
早速リナは綾が選定したマゾに声を掛けた。
「お兄さ~ん、首絞め圧迫とか興味ないですか?
意識が飛ぶギリギリまで責めてあげますよ。」
男は興奮した様子で二つ返事で返し、ホテルへと向かう。
突然の事に備えて、いつでも玲奈に電話出来るようにしている。
「さて、と。それじゃあ、始めるわよ。」
マゾ男の要望で、先に縄でぐるぐる巻きにしてある為反抗の心配は無い。
リナは男の首にグッと太ももで圧迫をしかけた。
男の首に圧力がかかり、徐々に息が苦しくなる。
「ウグッ、ガ、アァァァ・・・」
マゾ男が苦しそうにするが、これで足を外すのはNGだ。
苦しむ事こそが一番の楽しみなのだ。
リナも真剣に締め上げる程に汗が滲む。
汗臭さを感じていないだろうか、と心配したが、そこでハッと気付く。
呼吸も絶え絶えなはずの男が、リナの太ももの汗を必死に嗅いでいる。
(コイツ、こんなに呼吸が苦しい中でそれでも必死にアタシの匂いを!?)
リナはマゾの事が可愛くなってしまい、頭をナデナデしてみた。
マゾ男は蕩けた風にごろにゃあ~んと甘えて来る。
しかしそこですかさずマゾ男の頬を叩く。
「調子乗んな、マゾが!」
マゾ男は『ヒドい・・・』と言った風な表情で見つめて来るが、
だからと言って反抗する様子は無い。
最終的にマゾ男の全身をキツく締め上げ、自然に絶頂した所で止めた。
マゾ男は暫くビクンビクンと体を震わせながら動けないようだった。
「それじゃ」と言い、リナは部屋を後にした。
リナはこの土産話を玲奈に伝えた。
「凄~い、リナももう十分、自分の力で稼いだじゃん。
いやぁそれにしても、中々にハードな調教だね。
だけどそういう力技も私達がJkだから出来る事かも。
今の内にそういう体力いるプレイも楽しんじゃおっか。
ストレス発散にもなるしお金も貰えるなんて、
マゾ狩りって何気に楽しくない?」
ここに来て、リナと玲奈はマゾ狩りの楽しさに目覚めつつあった。
リナに締め上げられた男は結局そのまま気絶し、延長料金を取られた。




