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#53.玲奈とリナの命懸けの戦い

挿絵(By みてみん)

橘玲奈と漏れ男



マゾ狩り女子の中では際立った特殊な能力や特徴も無い橘玲奈だが、

彼女は元々進学校の学生であり計画性や閃き等、

仲間内では頭脳的な役割を担う事が多い。

彼女は環状13駅の中の葉桜駅で半マゾを待っていた。


「うーん、相手の情報が何も無いのに、わかるのかしら?」


しかし、反マゾの構成員はすぐに見つかった。

ホスト風の格好をした男が、明らかに異常な雰囲気を持ち

駅のホームに立っていた。


「貴方ね、反マゾ団体の構成員は。」


『フフ、まさかマゾ狩り女子のお嬢さんがこんなに可愛らしい方だとは。

 私は漏れもれお。もちろんコレは源氏名ですよ。

 私は何を隠そう、反マゾ団体を結成したリーダーです。』


「リーダーですって?

 何故、反マゾ団体なんて結成したのかしら。」


『良いでしょう、貴女の美しさに免じて特別に教えて差し上げますよ。

 私はね、元々マゾ向けの風俗店を経営していたんですよ。』


(何だか、どこかで聞いたような話ね。

 マゾ相手の店舗って儲かるのかしら。

 私達も儲かってるし、やっぱり需要はあるのよね。

 それにしても、そこから何故反マゾに…?

 本来なら儲けさせてもらってるマゾに感謝するくらいのはずなのに。)


『ウチの店でね、殺人事件が起きたんです。しかも立て続けに3回も。』


「えぇ!?…確かにそんな一気に従業員が減ったら経営出来なくなるわね。

 それは確かにお気の毒に…。」


『何か勘違いしていませんか?

 亡くなったのは店員ではなくて客ですよ。』


「えぇえ!?」


『彼らは皆一様に過激なプレイを求めた。

 そしてやがてはスタッフ達に絞め落とされたり窒息、

 薬物による酩酊からの呼吸困難。

 彼らは女王様の目の前で自らの死に姿と言う

 1番情け無い姿を見せたかったんです。』


「そんな…それじゃあお店は…」


『そう、司法からの裁きを受けましたよ。

 実刑と共に罰金、私は全てを失いました。』


「マゾ達は他人を傷付ける事は滅多にない、大人しくて良い子達。

 だけど自分に対しての責めはとことんまでを求めてしまうから…」


『そう。

 ウチのスタッフ達はどこまでもマゾ達のワガママに答えただけなのに。

 ヤツらは時に罪なき者を罪人にしてしまうのです。』


「たとえそうだとしても、マゾ達の居場所を無くせば

 更なる別の悲劇が生まれるだけだわ。」


『フ、若いレディーに特有の綺麗事、正論ですね。

 でも良いでしょう、キミのその姿勢は美しい。

 自身の正義を私にぶつけなさい。

 幸運な事に私は半マゾ団体の中では決して強い方ではありません。

 貴女が強い方なら、この勝負勝てるでしょう。』


「ふふ、あくまで紳士を貫くのね。

 だけど私もマゾ狩り女子の中ではそんなに強い方では無いわ。

 だからと言って貴方の作った団体のやった事を許す事は出来ない。」


『そうですか…それならば、行きますよ!!』


漏れ男は突然玲奈の背後を取り、優しくふんわりと包み込み抱きしめた。


「えっ...?」


瞬間、内心ときめいてしまう玲奈。

しかし、腰をトンッと一突きされて腰砕けになりその場に倒れてしまう。


「な…にをやったの?

 起き上がれない…腰に力が入らない…。」


『フッ、文字通り腰砕けにしてあげただけですよ。

 レディ達はお姫様扱いをするとメロメロで自らその状態になるんですよ。

 最も情けない状態ですよね。自分の性癖で身動きが取れなくなるとは。』


「そ...んな。コレじゃあ何も出来ないじゃないの。

 ヤバいわね、動けないんじゃされるがままになってしまうわ。」


『さぁ、それじゃあ次はボクの口づけで本当に腰砕けにしてあげましょう』


「え、ちょっ、それは無理!!

 男とのキスとか、絶対嫌!!

 ヤバ、どうしよう…逃げる事さえ出来ない、これじゃあ本当に…」


しかしその時、玲奈はマゾ神から与えられた特殊能力を思い出した。

玲奈に付与された能力、それは相手の性癖を見つける能力。

玲奈はその能力に賭ける事にした。


(お願い、どうかアイツの性癖が今身体が動かない私でも出来るような

 何か簡単な性癖でありますように!!)


そう祈りながら、玲奈は漏れ男の性癖を意識を集中して見ようとした。

すると、うっすらと意識に浮かんで来た。


(お漏らし…フェチ?

 え、いや、確かに今この場で動けなくても出来るけれど、

 いやでもプライドと言うものが…。

 あぁ、そうか。源氏名の漏れ男ってそういう?

 え、でも今本当にこの駅のホームでそんな事を?

 まばらだけど人がいるのに?)


しかし、漏れ男はポケットからナイフを取り出した。


『悪いね。キミが二度と歩く事が出来ないように、腱を切らせて貰うよ。

 暴れないでね。必要以上には傷付けたくないんだ。』


玲奈はあまりの恐怖に、これはもう漏らすしか無いと覚悟した。

そして、あまり躊躇う暇は無いと一気に下腹部に力を込めた。

すると、思いのほか勢いよく放尿をしてしまった。


~チョロロロ…シャアァァァー~


「あ...あぁ…終わった。人として大事なものを失ったわ…」


辺り一面にアンモニアの独特な匂いが立ち込める。

玲奈は顔を真っ赤にして俯いた。


しかし、その光景を見ている漏れ男は様子が一変した。

目が大きく見開かれて、瞬きもせずに食い入るように見つめた。


『オイ…お前、なんてたまらない事をしてくれたんだ。

 私の臭い棒が反応してしまったじゃないか。』


見ると漏れ男の股間は盛り上がり、既に1~2射精程済ませたらしく、

ズボン越しに大きな染みと白濁液が漏れ出していた。


(え、ダサッ!!

 いくら性癖だからって、そこまであからさまに出す!?

 どれだけお漏らしが好きなのよ!?)


そして漏れ男は感動のあまり涙を流しながら立ち尽くしてしまった。

玲奈は辛くも勝利を収めた格好だ。

だが、人として大切な何かを失ってしまった感も否めなかった。


(あぁ、強敵と1対1で戦うって言うのはこういう事なんだ)


こうしてまたマゾ狩り女子サイドの白星が一つ増えたのだった。


~【早瀬駅での早乙女リナとクサチンボン】~



挿絵(By みてみん)画像

早乙女リナとクサチンボン



一方、早乙女リナは駅前を小さな小川が流れる早瀬駅にいた。

リナと玲奈はそれぞれにマゾ狩り女子の中では平均的ステータスだ。


しかし玲奈が頭脳戦を得意とするなら、リナは直感や勇気で行動する。

そんなリナは駅に着いてすぐに反マゾ団体の一員を見つけた。


「あ、絶対にアイツだ。

 よし、コッチから声を掛けてやるか。

 オイ、アンタ。反マゾ団体のメンバーだろ?」


『ほぉ、そっちから声を掛けてくれるとは助かるな。

 俺様はクサチンボン。オレの故郷の国にはマゾなんて居なかった。

 マゾは滅びるべきだ。あんなヤツらじゃシマウマは狩れない。』


「別にこの国でシマウマを狩る技術は無くても良いでしょ。」


『屁理屈を言うな!

 お前達メス女共だって、どうせオレ様のような強いオスが良いんだろ?』


「別に?

 どっちかって言うとオレ様系の男って暴力振るうし嫌なのよね。」


『あ”ぁお”ぁん!?

 よし、決めた!!お前は犯す、今ここでな!!』


「ハッ、やれるモンならやってみな。

アタシはそんな簡単にやられる程ヤワじゃ無いよ?」


『オラァ!!』


クサチンボンは突然リナの首を掴んだ。

片手で掴み持ち上げて足を地面から離している為、力加減が出来ない。

思わず必要以上に力が入り、リナが苦しむが声さえ出せない。


「ガ・・・ア・・・ハ・・・」


リナは足をバタバタとするが何の抵抗にもなっていなかった。

やがて手足の動きがゆるやかになり止まる。

顔は紅潮し、目がとろんとして来た。


『フン、生意気言っても結局はメス女だからな。

 オレ達マゾじゃないオスには勝てないんだよ。

 このまま殺してやろうか?』


突然の展開にリナは驚く間すら無く意識が薄れて行く。

そこで、マゾ神から授けられた特殊能力の存在を思い出す。


(ア・・・タシ・・・相手と・・・場所を入れ替える、能力・・だった)


リナは意識を集中させてクサチンボンとの場所入替えを試みた。

すると、パッと瞬間で景色が切り替わった。

するとリナがクサチンボンの首を手で掴んでいた。

しかし首を絞めるだけの力は無い為、すぐにその場を離れ後退する。


クサチンボンは先ほどまで首を絞められていたリナの苦しみを引き継いだ。


『ガハッ、何だその力は・・・卑怯な技を使いやがって。』


「ハッ、アタシみたいなか弱い女の子が特殊能力も無しにアンタみたいな

 筋肉バカと戦えるワケないでしょ。

 大体、自分がやられる側に回った途端に文句言うとかダサいよ?」


『チィッ、次はその変な特殊能力を使う暇も無いくらい、

 一瞬で落としてやるよ。殺してしまったら悪いな?

 今のうちに謝っておいてやるぜ。』


リナは変わらずピンチである事を感じていた。

クサチンボンの言う通りに一瞬で絞め落とされたら能力を使う余裕すら

無いかも知れない。そうなれば後は相手の好き放題にされる。


『逃げる事は出来てもオレ様を倒す術を持たないお前では

 勝つ事は出来ない。サッサと観念しろ。苦しまずに逝かせてやる。』


リナは筋力の差を考えれば正攻法では勝てないと考えた。

しかし、相手の好戦的な様子を見るに話し合いは通用しそうに無い。


「仕方ない、か…。

 いやちょっとさすがにエグいけどさ、悪いね、勝たなきゃだからさ。」


そう言うとリナは電車の時刻表を見た。

アナウンスも放送されているが、あと数十秒でホームに電車が到着する。

リナはタイミングを見計らい、ホームの線路際に立った。


『ん?何をしているんだお前。まさか自〇でもするのか?

 ハッハッハ、いくら勝てないからってわざわざ自ら…』


「ハ?バッカじゃねーの、意味わからないんだね。

 やっぱお前みたいな脳みそまで筋肉詰まったバカ、無いわ。

 じゃあね、バイバイ。」


そう言うとリナは電車がコチラに向かって来ているのを確認して

電車のホームへと身を投げた。

すぐに警笛が鳴らされるが、既に時遅しだった。


そしてリナはその瞬間に能力を使い、クサチンボンと身体を入れ替えた。


━ドンッ!!!!!!!!!!!!!!━


非常に強い衝突音。

すぐにホームが騒然とした。


リナはその生死を確かめたくもなかった。

しかし、さすがにあの距離からでは逃げられるはずも無い。

いくらどれだけ筋肉があろうと、スピードと鉄の前では無力だ。

リナはただ冷たく無言で駅のホームから階段を降り始めた。


ホームでは多くの人達が騒いでいる。

せめて話し合える相手であれば良かった。

リナはそう感じたものの、マゾ狩り女子達の一角を担う者として

絶対に負ける事は出来なかった。


こうして、マゾ狩り女子陣営の6勝となった。

しかしそれぞれの勝利に対する後味は異なるのであった。

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