#51.姫川凛と磯川彩名の孤軍奮闘
マゾリッサと姫川凛
マゾ狩り女子?の一人、男の娘のりおんは、
反マゾ団体の一人、老獪の【マーゾン】を倒した。
しかし反マゾ団体は環状13駅にそれぞれ散らばっている。
マゾ狩り女子達は一人たりとも負けたくない、欠けたくない状況。
果たして彼女達は全勝する事が出来るのだろうか?
【骨背駅~姫川凛とマゾリッサ戦】
骨背駅は背骨がひっくり返る程の難所である事から
江戸時代にその名が付けられた地名だ。
この環状駅で待ち受けるのはマゾリッサ。
非常に高圧的な反マゾ派の妙齢の女性だ。
それに立ち向かうマゾ狩り女子は姫川凛。
彼女は個性的なマゾ狩り女子達の中ではあまり発言が多くは無い。
しかし無類の可愛いもの好きであり、そのあまりにノーマルな少女性から
目立った奇行も無い人物だった。ただ、既に成人しているのだが。
凛は駅に降り立ち、反マゾの襲撃を待った。
すると蝙蝠のように天井から飛んでくるマゾリッサを見つけた。
「━来た!!」
凛はマゾリッサの突然の襲来を避ける。
マゾリッサは「チィッ、避けられたか」と次の攻撃への姿勢を整える。
凛の表情が一瞬にして戦闘モードへと変わる。
「アンタ可愛く無いね、おばさん?
ハッキリ言っとくけど、私可愛くないものには容赦しないから。」
そう言うと凛は裁縫セットを取り出した。
コレは彼女が自らのぬいぐるみを縫い直したりする時に使用している。
凛は糸の通った細い針を投げつける。
マゾリッサはそれをチッと言いながらかわす。
「厄介なガキだね。
裁縫セットとは、またみみっちぃモノを使うんだねぇ!!」
そう言うとマゾリッサは使役しているマゾ蝙蝠達をけしかけた。
「お前達、やっておしまい!!
もしアイツの息の根を止められたヤツには、最高の快感をあげるよ!」
一斉に蝙蝠達が凛を目掛けて突撃して来る。
しかし、こうした事態こそ凛の本領発揮であった。
凛はまず、細いマチ針を両方の各指の間に挟み、それを一気に投げ付けた。
正確無比なコントロールは、蝙蝠の内の数匹にヒットした。
「何ィ!?
単なる裁縫好きのお嬢ちゃんじゃないって事かい!?」
「あのさぁ、アンタ何か勘違いしてないかしら?
私、これでももう成人してるんだよ。
そして、まだ攻撃は終わってないよ。
残ったヤツらはしつけ糸付きの針で何度も攻撃するよ!!」
凛は長い糸の付いた針を投げる。
蝙蝠はそれを一旦避けるが、凛の手元に再び戻った針は再度投げられる。
糸が紐づいている事により、永遠にキャッチ&リリースが出来てしまう。
そうしている内に、一匹、二匹と蝙蝠達がやられて行く。
「クソッ、何て厄介な攻撃方法なんだ・・・お前、仲間内では結構上位か?
悪いけどアタシは反マゾ派の中ではあまり強い部類じゃない。
アンタみたいな強いヤツがアタシの相手をしてしまった事、
結果的には損失だったね。もっと強いヤツに当たるべきだったんだよ、
そうじゃないと他のアンタより弱いヤツらに苦労かけちまうよ?フフ。」
「んー、おばさん何か勘違いしてない?
私、マゾ狩り女子の中ではかなり下の方の強さだと思うよ。
だから弱めなアンタとマッチして正解だったわ。
私のパートナーの杏とか、めっちゃ強いんだから。
まぁ、私が戦える程度の相手で良かったよ。
【弱い私】でも何とか相手出来る程度の敵で良かった。」
そう言って安心している凛に、マゾリッサは驚きと怒りを感じた。
自身は確かに反マゾ派の中で強い方では無い。
しかし最下位と言う程でも無かったのだ。
それが、聞けば凛はマゾ狩り女子達の中で最下位近い強さだと言う。
コレは、他の反マゾ派メンバー達の苦労が思いやられる。
「ま、まぁ、だけど上位層は確実に強いからね。
1対1でアンタ達に何人か負けてしまっても、
上位層が勝ち残りアンタ達を全滅させれば良いんだ。
まずは分断して1対1に持ち込む事で、
アンタ達の戦力をいくらか減らす事が目的なんだから、
まぁアタシは負けても良いよ。他が勝つからね。」
そう言いながら、マゾリッサは羽ばたき逃げようとした。
凛はそれを見逃さずに、裁断鋏を投げつけた。
そしてそれは、見事にマゾリッサの後頭部に突き刺さった。
「ぐあ”っ!!い、い”た”ぁい”!!!!!!」
真っ逆さまに落ちたマゾリッサに対して、凛は首元に針を刺した。
「コレ、私の念を込めさせて貰ったから。
これに懲りてもう反マゾなんてくだらない事は止める事。
もし破れば、その針がアンタの喉元に突き刺さるからね。
わかったかしら?」
「ぐ・・・、クソッ、アタシはもうどうでも良いよ!!
絶対に、他の上位層のヤツらが勝ってくれるはずだからな!
覚えていろよ、クソ女が!!」
マゾリッサはトボトボと改札の方へと歩いて行った。
既に攻撃能力が失われた事を確認して、凛は勝利を確信した。
「ふぅ、マゾ神様から貰った能力、初めてなのに使い方がわかったな。
だけどコレ凄く私向きの力だと思う。
針の使い方に慣れてるから出来る事、ちゃんとそれぞれの個性に合わせた
ユニークな能力が付与されてるんだね、凄いなぁ。」
こうして凛はマゾリッサに勝利し、マゾ狩り女子達は通算二勝目をあげた。
一方その頃、磯川彩名は夢の台駅で反マゾ団体を待っていた。
【夢の台駅~磯川彩名とマゾハラおじさん戦】
磯川彩名とマゾハラおじさん
「あ~、一人かぁ。イブが居ないと暇だなぁ。
イブのピチピチのラテックススーツのお尻をサワっとセクハラするのが
何気に良い暇つぶしになるのに。あ~暇だぁ~。」
彩名はマゾ狩り女子達の中では比較的若い方であり、リナよりも年下だ。
そんなリナがセクハラをしている相手のイブはリナよりも半周り程年上だ。
つまり彩名はそこそこ年上の相方に対してセクハラをしていると言う事だ。
そんな彩名の制服のスカートに、妙な生暖かさが感じられた。
「ヤバッ、コイツ、まさか・・・!!」
「ぐぇっへっへっへっ、反マゾ団体の一人、マゾハラおじさんでゲスよ。」
禿頭にスーツを着て傘を武器にしているサラリーマン、マゾハラおじさん。
どうやら彩名の相手はこの男性のようだ。
「マゾハラって・・・マゾ相手に対する嫌がらせって事?
って事はアンタ、生活そのものが反マゾみたいなものなのね。
もしかして、結構強い方なの?」
「ぐふっ、ボク様、結構強いんだなぁ~、コレが(笑)
お嬢ちゃんもマゾにされた上で傘で殴打されて殺されたくなければ、
今のうちに降参するんだな、おしっこ漏らして。ヒヒッ。」
(コイツ、結構キモい。さて、どうするかな・・・。)
元々、彩名とイブの二人は次世代マゾ狩り女子として特殊能力がある。
彩名の場合はASMR等で音声を聞かせる事で相手の快感を倍にするものだ。
しかし、今回その能力をどのように使用すれば良いのだろうか。
「ほぉーら、この中に鋼鉄棒を仕込んだ傘で殴れば・・・!!」
そう言うとマゾハラおじさんは彩名の頬を目掛けてフルスイングした。
━ドボッ!!━
鈍い音がして、彩名は吹き飛んだ。
頬に思い切り、傘に仕込まれた鋼鉄がヒットしたのだ。
(痛い!!ヤバい、コイツは結構強めのヤツなんだ・・・!!)
彩名はすぐに態勢を立て直す為、一旦逃げ出そうとした。
しかし、今回は1対1のバトルである事を思い出した。
(そうか、今回は逃げても意味が無いんだ。
私一人で何とか落とし前を付けるしかない。
だけど、痛むこの頬は厄介ね・・・。)
彩名はそこで、自らASMRを聞き始めた。
「んん~、何やってるんだぁ~?
戦闘中に現実逃避かな?まぁ、おじさん強いからね、ゲヒゲヒw」
しかし、次の瞬間彩名は覚悟を決めてマゾハラおじさん目掛けて突っ込む。
「な、何だコイツは!!オラァ、喰らえ、鋼鉄製の傘を!!」
ドガッ!!バギッ!!
彩名の骨に直に響く鈍い音。しかし彩名はひるまない。
彼女はそのままマゾハラおじさんから傘を奪い取った。
そしてそれをマゾはらおじさんの股間目掛けて思い切り突き刺した。
「おっご・・・ぽぅ・・・おひぇ。」
マゾハラおじさんの両目が共に外側を向いている。
どうやら気が触れてしまったようだ。
彩名は既に動けなくなったマゾハラおじさんを見て、勝利を確信した。
しかし、一体彩名は何故これほどまでに勇敢に、いや無謀と言える程に
果敢にマゾハラおじさんに立ち向かえたのか?
それは、彼女が自らASMRを聞いた事と関係があるのだ。
彼女は自らの『快感を二倍にする能力』を自らにかけた。
コレにより麻薬のような効果が現れ、痛みに鈍くなった。
要するに、痛みを快感とまでは行かずとも、
そのままの痛みとしては受け取らない身体の状態になったのだ。
しかしコレは諸刃の剣である。
その効果が切れてしまえば正規の痛みが起こってしまう。
しかし彼女にとってはそれでもこの1勝が大切であった。
今回の敵はマゾ狩り女子に対して格上の相手であった。
しかし敵がランダムである以上、このような組み合わせも存在する。
その時、どうやって覚悟を決めて相打ち以上に持ち込むか。
それぞれの覚悟と機転が試される1対1の総当たり戦となっているのだ。
やがて彩名は能力の効果が切れ始めた。
「ぐ、痛・・・ヤバいわね、コレは。
このまま私一人だと、ホームで倒れて、誰にも気付かれず・・・
あぁ、こんな事ならイブの事、セクハラばかりせずにたまには
優しくしてあげるんだったわ・・・それだけが、後悔・・・」
彩名は貴重な一勝をあげた後、ホームで倒れてしまった。
しかしそこには偶然Youtuberの負けオスが居合わせた。
「あ、マゾ狩りの子じゃん・・・。
助けてあげないと。」
こうして彩名は負けオスによって病院に連れられて事無きを得る。
マゾ狩り女子陣営は13戦のうち3勝をした形だ。
しかし敵の能力はまだ未知数である。
今後、易々と勝利を続けられる敵ばかりとは限らない。
マゾ狩り女子達はどこまで勝ち残れるのだろうか。




