表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
50/59

#50.反マゾ過激派団体

挿絵(By みてみん)

マゾ狩り女子会+マゾ神とリリス



反マゾ過激派団体、通称反マゾの歴史は古い。

その最古の文献記録はシュメール文明の壁画や粘土板に現れている。

人々が鞭で打たれて嬉しそうな顔をしている様子を見て、

それを強い表現で批判している風に見える絵だ。


彼らのスローガンは『人はマゾである事なかれ』だ。

彼らの主義主張をまとめると、人は生まれながらに自由である。

その為、他者に隷属したり自らの主権を明け渡す事は無い、と。

一見するとこれは正しいように思えるが、そこには見落としがあった。


それは、本来人が自由であるならば、一時的に合意の下であれば

自らの主権や心身の自由を相手に明け渡す自由もあるはずだからである。

しかし彼らはそれを認めない。

一度明け渡してしまえば人はその快感に抗えなくなり、

やがてその悪癖は子孫にも受け継がれる事となり、他者への隷属癖となる。

こうなってしまえばもう人間は自由な存在では無くなってしまう。

その為、そうした自由や主権の束縛を自ら願うマゾは悪だ、と言うのだ。


昨今のマゾブームの中で、その急先鋒ともいえるマゾファイトクラブが

狙われるのは最早必然だったと言えるかも知れない。


彼らは置手紙を残していた。


『我々は13人いる。これはかの有名な最期の晩餐を模している。

 つまり我々はマゾにとって最後の晩餐となり、これを終わらせる。

 もし我々に盾突き最後に跪きたいのであれば、環状13駅に来い。

 我々は一人ずつ、そこで待ち受ける。』


リナ達はこの手紙を読み、反マゾが復讐を望んでいる事を知った。


「アッチがその気ならやってやろうじゃん。

 そしてもう二度とマゾ達の聖域を壊されないよう、戦わなきゃ。」


しかし、ここで一つ問題があった。

マゾ狩り女子の仲間は全部で11人。

反マゾと総当たりするのであれば、あと二人足りなかった。


「どうしよう、今更もう、新規メンバーとか無理くない?」


しかしそこへ、マゾ神とリリスがやって来た。


「おいおい、マゾ全体の危機にアタシ達を呼ばない気かい?

 それとも、アタシ達じゃあ役不足だって言うのかい?」


その言葉に綾が喜びの表情を見せて答える。


「マゾ神様!貴女もご一緒に戦ってくれるのですね!!」


リリスが不満を漏らす。


「ちょっとぉ~、私は無視ってカンジ~?

 これでもアンタらと違って悪魔の能力だって使えるし、

 結構強力な戦力なんですけど~?」


しかしそんなリリスの不満をよそに、リナが抱き着く。


「ありがとう!リリス。アンタがいれば百人力だよ!!」


リナからの全力のハグにリリスもまんざらでもない様子だ。


しかし玲奈が冷静に現状を分析する。


「反マゾだって生半可な覚悟じゃないはずよ。

 私達の全員が勝てるとも限らない。

 特殊能力を持っていたりしたら更に危険だし。

 大体、1対1で無ければならない理由は何かしら。

 全員で一人ずつを潰して行くのじゃダメなのかしら。」


しかし、マゾ神がそれに反論する。


「相手が1対1を望むのなら、それに応じるのが筋と言うもの。

 大体、相手の指定したルールでこちらが勝てばもう何も言えぬ。

 大丈夫、今から全員にマゾ神の加護を分けてやろう。」


そう言うとマゾ神は11人のマゾ狩り女子達に光の玉を分け与えた。


「何だコレ、力が・・・漲る!!」


「コレは別に力を与えるものでは無い。

 単にお前達の潜在能力を引き出すキッカケを与えたに過ぎない。

 普段の社会生活の中で忘れてしまった超常的かつ超自然の力、

 それは本来ならばマゾ達の支配の為に使うものであったはずのもの。

 しかし今回に限り、反マゾとの戦いに役立てればよい。」


それぞれに、自らに秘められた能力が何であるかは本能的に理解した。

そしてこの力を持ってすれば反マゾと互角に戦えるであろう事も

彼女達は瞬時に理解した。これは運命の戦いなのだ、とも。


リナが全員に士気を高めて言う。


「良い?皆。誰一人、絶対に欠けちゃいけないんだからね。

 一人で何人もと戦う必要は無い。全力で一人を倒せば良いの。

 そして今アタシ達にはマゾ神様のご加護が付いてる。

 反マゾなんてアタシ達の力でブッ倒そう、行くよ!!」


こうして13人のマゾ狩り女子+マゾ神とリリスは、

環状13駅に散って行った。

そして同時に反マゾ団体達もそれを察知していた。


『ククク、哀れな子羊めらがノコノコとやって来おったわ。』


『こちとら戦闘経験が桁違い。小童どもには負けぬよ。』


『マゾをイジめる者もまたマゾに同じ。どうせこいつ等も本質はマゾ。』


『マゾ狩りなどと言うマゾ化を助長するクソ概念を広めた罰、受けて貰う』


『うひょー、弱そうなのが一杯だぁ、犯してぇなぁ、可愛いヤツから順に』


~りおんvsマーゾン


りおんは環状13駅の内、春先に梅が咲き誇る梅ケ谷駅に来ていた。

そしてここに配置された反マゾは老魔術師のマーゾンだった。


『フォッフォッフォッ、匂うのぅ。隠しても隠し切れぬ、オスの匂い。

 コレはどうやら女装してみたは良いが匂いまでは気を使えぬ、

 中途半端ないわゆる【男の娘】と言うヤツかのぅ、フォッフォ。』


言葉の挑発に乗り、りおんが人混みから突然現れてマーゾンの首を掴む。


「オイ、今何て言った?お前の言葉、それは全ての男の娘をバカにしてる。

 前言撤回しろ、じゃないとこの細い首をへし折るぞ。」


可愛らしいフェミニンな恰好からはおよそ似つかわしくない男らしさで

りおんはマーゾンを脅迫した。しかし、マーゾンはニヤリと嗤う。


『やれるものならやってみぃ。

 ヒョロヒョロとしたオカマの腕力とワシの魔力の力比べじゃ。』


りおんはマーリンの首を掴んだ腕に全力を込めた。

しかし、マーリンには全く圧がかかっていないようだった。


『おりょ?おかしいのぅ、ワシはまだ魔力を使ってはおらぬ。

 もしやお主、あまりにオナゴに寄せ過ぎて力まで弱っとるのか?

 しかしこんなだと、そこらのオナゴの方が強いぞ。

 見た目だけはオナゴに寄せておるが、力でオナゴに叶わぬ、

 しかも出産も出来ぬ。何なら性交も後ろしか孔が無い。

 お主、女の成り損ない、哀れな失敗作じゃのぅ、ふぉっふぉっ。』


マーゾンの挑発により怒り狂ったりおんだったが、その腕力は確かに

並みの女子にすら勝てぬほどに弱かった。

ここでりおんはそんな自分の事が非常に恥ずかしくなってしまった。


確かにマーゾンの言う通りだ。

自分は見た目だけは可愛らしくフェミニンな女装をしているが、

力仕事を避けて女の子らしくいようとする程に腕力は落ちて行き、

やがては並みの女子よりも弱くなってしまっている。

りおんは自分が非常に情けなくなり、泣き出してしまった。


「う”ぅ・・・ボク、何なんだろう、女でも無い、男でも無い・・・

 もしかしてボクって誰からも必要とされていないの?

 そんな、そんなの・・・う”ぅ・・・辛いよぉ、嫌だ、助けて、

 ボク、ボクの事を誰か必要としてぇ~!!」


まるで無垢な少女のように泣きじゃくるりおんに、普段であれば

相方のネオンが助けに来る所だが今回は個人戦だ。

りおんは一人で立ち向かわなければならない。


『ふぉっふぉっふぉ。ところで、本気で女になりたいのであれば

 その股間にみっともなくぶら下がっているモノをチョン切るのが

 筋と言うものであろうに、お主はまだ切ってはおらぬな。

 もしかすると、怖いのか?そんな醜い身体でどうするんじゃ。

 股間にそんなモノをぶら下げながら、「ボク女の子でーす」などと、

 笑えぬ滑稽な冗談劇を日夜繰り広げているのか?ふぉっふぉっ。』


マーゾンの言葉による攻撃は想像以上にりおんにダメージを与えた。

やがて、りおんの心は壊れてしまった。


「アハ、アハ、ボク・・・やっぱりちょん切った方が良いかなぁ?

 アハ、ねぇお爺さん、魔法で切ってくれないかな?

 やっぱり、醜いよね、こんな身体。ねぇ、ちょん切ってよ。

 そしたらボク、女の子として暮らせるかなぁ?ねぇ。」


『ふぉっふぉ、甘えるでないぞよ。

 もしちょん切ったとしても、それは不能男じゃ。

 お主は結局は何物にもなれぬ。

 今のお主はただ男のプライドを捨てただけのゴミじゃ。

 ゴミはゴミらしく、ワシにやられて負けてしまえ。

 さぁ、受けて見よ、我が魔法【マゾゾーラ】を!』


そう言うと、マーゾンの持った杖に炎が宿った。

周囲の客達がざわめく。


『メスの成り損ないの丸焼き、一丁上がりじゃ!!

 マゾ・ゾーラ!!!!』


りおんに大きな炎の渦が襲い掛かる!!

しかし失意のりおんはそれを避けようともしない。


その時、マゾ・ゾーラに何かがぶつかり悲鳴が聞こえた。


「ぐわぁぁぁぁ----ー!!!!!!!」


見るとそれは、以前にりおんとマゾファイトクラブで戦ったマゾだった。


「え・・・あの時の、マゾさん?」


「あ、ハハ・・・りおん君、いやりおん様、あの時はどうも。

 可愛い男の娘にイジめられたいと言う夢、あの日叶ったんです。

 りおん様、どうかご自分を恥じないで下さい。

 あなたはそのままで十分に可愛くて美しい。

 どうかあんな魔法使いの言葉なんて聞かずに、自信を持って下さい。

 あなたは私達マゾに夢を与えてくれる。

 もし私が生きていたなら、またあなたにイジめられたかった。」


そう言うと、マゾは目を閉じた。


「え・・・・?

 嘘でしょ、ボクを庇って・・・・気絶、したんだよね?」


すぐに近くの客が心臓の音を確認する。しかし・・・


「心臓の音がしません!!

 コレはもしかすると・・・」


「え、そんな・・・。ボクが、ボクを守って、彼は死んだ?

 嘘だろ?どうして・・・いつも何も守れない。

 いつだってボクはネオンに助けられて、それで・・・・

 結局は自分では何一つも出来ていない・・・」


しかしそこで、別のマゾから声が上がった。


「さっきのコイツの言葉を思い出して下さい!!

 あなたは私達マゾに、可愛い男にイジめられると言う夢を与えてる。

 それだけでもう、あなたには物凄く価値があります!!

 思い出して下さい、あなたは私達マゾの大切な支配者なんです!!」


マゾの涙ながらの訴えに、りおんは一瞬ハッとした。


「そうか、ボクがやらきゃ・・・このマゾ達は守れない。

 何をしていたんだ、ボクは。もうとっくに、退路は無い。

 この反マゾを倒さなきゃ。コレはボクの役目だ。

 やってやるぞ!!」


そう意気込みを付けると、りおんは突然に火球を生み出した。


「ボクの目覚めた能力、それは【マゾ・コピー】

 自らを対象として放たれた能力をコピーする。

 本来ならボクに当たっていれば致死だった技だ。

 だけど幸い、このマゾさんが命に代えて助けてくれた。

 もうボクは迷わない。この犠牲になったマゾさんの為にも、

 お前を確実に仕留める!!

 受けてみろ、マゾ・ゾーラ!!!!!!!!!!」


りおんの激しい激情を模したかのような巨大な火球が出来上がる。

そしてそれをマーゾン目掛けて打ち放った。


『ふぉ・・・ふぉ!?

 ヤバい、コレは当たると普通に死ぬヤツだ。

 クソ、このオナゴの成り損ないなどに殺されるなど、

 ワシがマゾになるようなものじゃ。マゾは嫌じゃ、マゾは嫌じゃ。

 マゾになど、なりとうない!!』


しかしそんな勝手を言いながらもマーゾンは火球に飲み込まれて行った。


『ふぉ・・ごぉぉぉ・・・・』


こうしてりおんは反マゾ団体の一人、マーゾンを倒したのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ