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#44.新生活!

突然訪問して来たリナの妹の沙織は、綾との歪な同棲を解消して

一人暮らしを始める事にしたエリカと共に暮らす事にした。


そしてリナ達もそろそろ3チームによる奇妙な共同生活を解消し、

それぞれのチーム毎に暮らす場所を探し始めていた。


「ねぇ、やっぱり何だかんだで3チームが一つのマンションで暮らすの、

 そろそろキツくない?トイレとかもさ、急いで出たとしても

 匂いとか残るし、お風呂だって時間結構シビアだしさ。」


玲奈がリナに提案した。


「それもそうだよね、アタシもそう思ってたんだぁ。

 それじゃあ、探そっか、アタシ達の愛の巣♡」


「ちょ、何よその愛の巣って表現は!!

 ふさけてないで、行くわよ!」


こうして二人は不動産屋へと向かった。


「えぇと、お若い女性の二人暮らしでしたらやはり、

 外から洗濯物やお風呂が見えたらいけないと思いますので…」


若い不動産屋の男性は、あまりに当たり前過ぎる事を告げた。


リナは玲奈にヒソヒソ話を振った。


(ちょ、この人あまりに当たり前過ぎる事を言ってるくない?

 逆に信用出来ないって言うか…下手したら物件の合鍵持ってるまで

 あるくない?)


(いや、さすがにそれは無いんじゃないかな…。

 ただ頼り無い事は確かだよね、何か無駄にパテックフィリップの

 腕時計のレプリカ着けてるけど、アレってフリマサイトで800円で

 買えるやつだし。)


(ちょっとさすがにナシかな、あまりに頼り無さ過ぎだもん。)


(いや…逆に使えるんじゃないかしら?)


(え…?)


玲奈はこの店員をマゾだと踏んだ。

そして、マゾ向け快感サービスの提供をエサにして家賃やちんちん

交渉を始めた。


「物件のトイレって、以前に誰かがオシッコを漏らした便器ですよね?」


「いや、漏らしたと言うよりただ普通にトイレを

 ご利用されていただけですが…」


「そんな顔も知らない誰かが用を足した公衆トイレ並みのトイレ、

 精神的にキツいです。損害賠償と慰謝料を請求します。」


玲奈はもはやメチャクチャだった。

やりたい放題、好きに不動産屋で遊んだ。

しかし彼は結果的には玲奈のわがままを全て聞いてしまう。

これは生物学における、より上位の強く自分より価値ある者に対する敗者、いわゆる負けオスの典型的な反応だった。


約半日後、不動産屋は店に数十万の損害を与えてしまった。

一方で玲奈達は非常に好条件で部屋を借りる事が出来たのだった。


「しっかし、あの時の店員の泣きそうな顔、良かったよねぇ!!」


「あー、イかせてくれなきゃ店の前で公開自慰をします!ってヤツね(笑)  

 そんな事して私達に何の損があるんだっつーのw」


2人は店員の必死の懇願する姿を思い出して笑い合った。

既に勝ち組となった彼女達は共同生活のマンションに戻り、

他のチームに2人で独立して暮らす旨を伝えた。


杏が1番に喜びの声をあげた。


「おー、やるじゃん!!

 アタシらもマゾ店員に交渉して好条件で契約しよかなー」


リナ達の成功体験をキッカケに、他の2チームも次々と新たな居所を

契約し、不思議な6人の共同生活は終わりを告げた。


退去の前日、6人はリビングに集まってパーティーをしていた。


杏がこのマンションでの思い出を語る。


「いやぁ〜、しかしまさかネオンがこの年になっておねしょするとはさ、

 あの時はビックリしたよなぁ〜」


「ちょ、それを言ったら杏さんだってお酒に酔ってべろんべろんで、

 リビングでおしっこ漏らしてた時あったじゃん!」


りおんがそれらを笑いながら聞き、総括のような事を言った。


「まぁ、結構皆が皆それぞれにだらしないよね。

 女の子ばかりだと、結構こんなものなのかな。」


しかし、凛がそれにツッ込む。


「いや、りおん君男の娘じゃんw

 いくら見た目女の子にしても中身は男の子なんだから、

 女の子のおしっこの匂いとかフェロモンに反応して、

 実は勃っちゃってるんじゃないの?」


凛はニヤニヤとりおんに詰め寄った。


「いやいや、おしっことかただ臭いだけじゃん(汗)

 さすがにそれに興奮とかはしないよ、後処理が大変だし。」


既に少し酔っぱらっていた杏がりおんに絡む。


「あ”~、何だとりおん!?

 アタシのションベンが飲めないって言うのかー、

 ホラ、今からグラスに酒とアタシのションベンを注いでやるから、

 しっかり飲めよ。新生活への門出祝いだぁ~!!」


凛がそれを収めようと必死で杏をなだめる。


「ちょ、杏、もうさすがにそれは絡み酒超えてるよ。

 ダメダメ、もうこの場にいちゃいけない存在になってるよー」


こうして宴は朝方近くまで続いた。

全員が翌日に起きだしたのは、既に昼過ぎだった。


いよいよ6人が住んだ共同生活の場は引き払いの時を迎えた。

後で全てリフォームされるとは言え、それぞれに部屋に付けた染み等、

部屋を眺めると恥ずかしい思い出がたくさん甦ってしまう。


それでも、全員で金髪コックの真似をして退室した。


「クッソお世話になりました!!!!!!」


こうして、3チームはそれぞれの新居へと引っ越して行った。

短い間ではあったが、色んな事件の間ずっと本拠地になっていた。

この部屋での暮らしと思い出があるから、次に進める。


そうして、6人は新たなステージへと進むのであった。


~1週間後~


リナと玲奈は新たな新居で暮らし始めていたが、とある悩みがあった。

それは二人ともリビングにいる時に風呂場でシャワーの流れる音がしたり、

棚の皿が勝手に動いたりするのだ。


「もしかして事故物件なんじゃあ・・・?」


リナは心配したが、玲奈はそれを否定した。


「幽霊とかあるワケないじゃん。

 そんなの、メディアが作り出した偶像でしょ。」


しかし、そんな二人の前で突然、ハァハァと言う声が聞こえて来た。


「ホラ!やっぱり声が聞こえるじゃん!

 いるんだよ、幽霊!コレ、祈禱師さんとか呼ばなきゃ!!」


焦るリナに対して、玲奈は冷静だった。


「…わかったわよ、じゃあ幽霊だとしたら話してみましょう。

 説得して、もう出ないようにお願いしてみたら良いんじゃないかしら。」


「え、怖くない?

 だって相手幽霊だよ?」


「幽霊だって、元は人間でしょ。話せばわかるかも知れないわよ。」


こうして、玲奈は幽霊とコンタクトを試みた。


「幽霊さん幽霊さん、もしお話が出来るのであれば、

 何か声を掛けて頂けませんか。私には話に応じる準備があります。」


すると、二人の前にボヤッと人影が現れた。

リナが驚く。


「わっ、本当に出たよ!怖っ!!」


やがて人の形になって行き、姿もハッキリして来た。

それは、若い成人男性だった。


「姿を現したわね...。あなた、何が目的なの?」


『ボクは…一人暮らしの時にテクノブレイク、

 いわゆる心臓への急な血流によるオナニー死で死にました。』


「なるほど…。寂しかったって事かしら?」


『いえ、生前ボクは、いや今もですけど、マゾなんです。』


リナが恐怖から徐々に猜疑心に変わって行く。


「ん?何か空気感変わった?」


『お二人からマゾを徹底的にイジめるという気概が溢れていて。

 出来れば、イジめて頂きたくて気付いて欲しかったんです。』


「そうすればもう成仏してくれるのかしら?」


『ハイ、お二人のような綺麗な方にイジめて頂けるのなら、

 もう思い残す事はありません。』


こうして二人は新生活早々、マゾ除霊を始める事にした。


「…わかったわ。それじゃあ、まずは塩で清めるわね。

 呪われたくないからさ。」


玲奈がネットで見知った知識で除霊を始めようとすると、

マゾ幽霊から注文が入った。


『あの、出来ればその塩も単なる市販のナトリウムじゃなく、

 お二人の汗から精製した塩にして欲しいです…。』


「え、何よその厄介な注文は(ドン引き)」


しかし、新生活にマゾ幽霊と同居は楽しくない。

玲奈は洗濯機から洗濯物を取り出し、それらをバケツに入れて揉み洗った。

更にはその水を鍋で火にかけて水分を吹き飛ばした。

僅か、本当に僅かながらだが、塩分がひとかけら残っていた。


「コレで、良いのかしら。本当にごく少量だけど。」


『い、・・・良い!!それ、舐めたいです!!』


しかし、玲奈はそれをピシャリと断った。


「ダメよ。私達美少女の塩分を舐めるなんて、マゾ幽霊には贅沢品よ。」


しかしマゾ幽霊は【禁止】された事に逆に興奮してしまう。


『あぁっ、強めに命令されるの、たまらない!!』


こうして、リナと玲奈による前代未聞のマゾ除霊が始まった。


「幽霊になってもこうやって女の子から縛られてイジめられて喜んで、

 マゾって本当に救いようがないわね。」


『あぁっ、そんな事言わないでぇ~、恥ずかしいよぅ…』


「そんな事言いながら興奮してるんじゃない?

 本当に、気持ち悪いわね・。」


『あ、あぁ…!!言葉攻め、イイ!!

 もっと言ってぇ~』


二人の容赦ない責めに、耐性の無いマゾ幽霊はとろとろメロメロだった。


やがてマゾ幽霊はたまらず絶頂してしまう。

そしてそれと同時に成仏してしまった。


「厄介だったね。玲奈が冷静で良かったよ。」


「せっかくの新生活にマゾ幽霊との同棲は嫌だもの。」


こうしてマゾ幽霊を除霊した二人だったが、

これ以降も何故かマゾ幽霊が度々現れるようになった。


「…どうしてこうなるのかしら。

 もう物件に憑いた霊は除霊したのに…。」


呆れながらマゾイジめをしている玲奈に、新たなマゾ霊が言った。


『ボク達は物件に憑いた霊じゃありません。

 お二人の強いマゾ霊をイジめてくれそうオーラに、

 自然に惹かれちゃうんです。あぁ、もっと縛ってイジめて~』


何と、二人のあまりにマゾに対する強気な姿勢がマゾ霊を引き寄せて、

そうした特殊な磁場を作っていると言うのだ。


「もう~、お金も貰えないし、こんなマゾ除霊ボランティア散々よ!!」


しかし、リナのそんなボヤきを聞いてマゾ霊が答えた。


「あぁ、それなら…ボク達直接お金は渡せませんが、

 お二人の金運を上げさせて頂きますね。

 宝くじが当たったり、臨時収入があったり、

 金運が上がれば実質的にお金が凄く入って来ると思いますよ。」


こうして二人はマゾ狩りの場を霊的な世界にまで広げてしまった。

そして他の杏・凛チームやネオン・りおんチーム、

更にはエリカ・沙織チームに至るまで、全チーム新居にマゾ霊が出没した。


マゾ達は死してなお調教を求める。

そんな実生活には全く必要の無い知識を学べた新生活の一コマだった。


しかしそんなマゾ霊達の集合意識がある日、とんでも無く強力な

一体のマゾ霊として練り上がった。

最強のマゾ幽霊となったその存在『マゾ霊王』は街へ出て、

人々をマゾへと変えて行くのだった。


新生活の喜びもひとしお、またマゾ狩り女子達は新たな事件に巻き込まれ、

今度は除霊という専門外の対応を余儀なくされるのだった。

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