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#41.悟りマゾの登場

玲奈がもうこれ以上リナに迷惑をかけまいと近くの川の崖から飛び降りて

その身を終わらせようとした時、サキュバスのリリスが飛んで来てぶつかり

玲奈は元の身体に戻った。


代わりにリリスの身体はそのまま崖から真っ逆さまに落ちて行き、

下の方で鈍い音をさせて静かになってしまった。


綾達がリリスよりも遅れて走って来る。


「リナ~、玲奈~、皆、無事かしら~?」


綾の後ろからは杏と凛、イブと彩名の姿も見える。


リナがそれを見て勇気づけられる。


「綾ちゃん、皆!!それに次世代マゾ狩り女子の二人も。

 全員集合って事だね...!!ただ、サキュバスリリスは死んじゃったか。」


しかし、川の方から満身創痍で体がボロボロになりながらリリスが

その羽を弱く羽ばたかせながら上がって来た。


「フフ…ギリギリ最後の衝撃の瞬間に背中側で羽を犠牲にしたから、

 何とか生きてるわよ…まぁでもこれで、もうまともには飛べないわね。」


この光景を見て、マゾ神が言葉を発する。


「へぇ、皆頑張るんだねぇ。と言うより、リリス。

 アンタは何をほだされてるんだい。まぁ良いけどね。

 別にアタシはアンタ達の敵じゃない。綾…久しぶりだね。」


マゾ神の言葉を受けて、綾が言葉を返す。


「マゾ神様…もうあれから10年近くになりますか。

 あれからアタシは多くのマゾ狩り女子達を育てて来た。

 マゾ達は、いつでも好きな時に満足出来る環境が出来た。

 だけど貴女は、本当にマゾの事を考えているのかどうか、

 アタシにはわかりません。マゾが神になんて、そんな事…。

 それに、チンポリンの発見と近年のマゾに対する注入と放飼、

 貴女がやりたい事は本当に、マゾ達にとって、社会にとって

 幸せな道なのですか?」


「綾…言うようになったね。

 いや、綾だけじゃない。ここに居る全員が聞きな。

 今、マゾ達は素晴らしい社会に生きている。

 被虐欲求を満たしたければサクッと満たす事が出来る。

 しかしそれでも、彼らを取り巻く社会の環境は過酷だ。

 いまだにマゾへの偏見や誤解、誹謗中傷は数多い。

 そんな中で彼らが唯一この社会の中で存在感を表せる方法、

 それこそがマゾが神に近付く事だった。

 本当は心優しくて人を傷付ける事すら出来ない彼ら。

 マゾこそが、次世代の神になるべき存在だと思わないかい?」


その言葉を受けて、リナが疑問を呈する。


「最初、アタシはその言葉を素晴らしい理想郷のように受け止めた。

 だけど、本当にそれで良いのかしら?

 マゾが神になる事で、世界は本当に良くなるの?

 マゾだってわがままだし、うんこもするし、浮気もする。

 そんな普通の人間と何ら変わりないマゾ達が、少しの迫害で

 その反動として神になるだなんて、そんなので良いのかな、って。」


「…ふふ、そうだね。だけどそれは貴女が若いからだよ。

 大人になるとね、嫌でも決断と判断を下さないといけなくなる。

 マゾにとって、社会にとって。本当に良いかどうかなんて、

 終わってみないとわからないんだ。だから、今はただ、

 変化を与えている段階なんだ。変化してみて、ダメそうなら

 もう一度元に戻せば良い。良い方に転べば儲けものだ。」


マゾ神は、決して私利私欲の為に動いているわけでも無ければ、

玲奈やリナ達の敵でも無かった。

今はただそれが知れただけでも、心がホッとした。


そして、玲奈が言った。


「マゾ神様。だけど…今街ではマゾ達が神になりかけたからと言って、

 その神通力のような不思議な力を悪用しています。

 自分達を虐げて来た者達へやり返しをしている。

 本当にこのような事が、正しい世の中への道だと言えるのでしょうか。」


「うーん…それは難しい問題だね。

 もしかすると正常化するまでの間の必要な痛みかも知れないし。

 少なくとも、今マゾ達にやられている人間は虐げて来た者達なのなら

 放置しておいても問題ないんじゃないか?

 だってマゾ達を虐めて来たヤツらなんだろう?

 そんな人間達まで守る必要があるかい?

 たまには静観してみるものさ。静観しながら性感マッサージすれば良い」


マゾ神のオヤジギャグに一同は一瞬、シーンとなった。


「…。コホンッ。

 ま、まぁ、とにかく一度街をしばらく見ていようじゃないか。

 もしかしたら国が動くかも知れないし、マゾ側が変わるかも知れない。

 大いなる時代の流れをくみ取りながら、ゆっくりしてみるのさ。」


マゾ神の言葉に一同は急がない大切さを学んだ。

そして、しばらくは街をマゾ達に任せてみようと思った。


「さぁ、それじゃあ皆こっちにおいで。

 少し、アタシの研究を見せてあげるよ。

 まずはマゾの羞恥心を利用した、マゾ魔法だ。」


「マゾ魔法!?」


「あぁ、旅や冒険にMYマゾを連れて歩き、

 敵やモンスターが現れた時、マゾを辱める。

 その時にマゾが感じた羞恥心をエネルギーに用いて使う、

 マゾ魔法と言うものだ。マゾファイアーやマゾヒール、

 マゾチャッカファイヤーというのもあるぞ。」


「何だか、どこかで聞いた事があるような名前ね。

 と言うより、冒険?モンスター?それって、ファンタジーかしら?」


「あぁ、アンタらはまだ知らなかったんだったな。

 マゾが神になりこの世界を統治すれば、世界は新たな局面に至る。

 その世界はファンタジー世界かも知れないし、学園モノかも知れないし、

 マゾ達のあらゆる願望が反映された世界になる。

 だから、どんな世界観が来ても良いようにあらゆる可能性を考えて

 それにマゾを利用する手法を考えているんだ。」


「コチラの研究は・・・マゾ宇宙?コレは一体何ですか?」


「あぁ、それはマゾ宇宙と書いてマゾユニバースと呼ぶ。

 宇宙から飛来した存在達との交渉の対価として支払うのが

 マゾ、というものだ。貨幣代わりだな。」


「えぇ!?マゾを貨幣代わりに!?

 それはかなりぶっ飛んだ世界ですね!?」


「いや、そうでも無いぞ。

 実はマゾほど宇宙との繋がりが強い事は、

 あらゆる学問で今、証明されつつあるんだ。」


「マゾと宇宙・・・知らなかった。」


こうしてマゾ神の研究は一同に学びを与えた。


「いやしかし、今回は手荒な真似をしてすまなかったな。

 玲奈に興味を持ったのは、本当にただ可愛かったからなんだ。

 可愛かったから、壊したくなった。これはもう性分だな。」


「もう、人の後輩達で遊ばないで下さいね!」


綾がマゾ神にビシッと注意した。


「ハッハッハ、まぁたまにはこうして人と接するのも楽しいな。

 何せここにいるマゾ達はもうほぼ『物質化』している。

 『神化』とは違った意味での進化だ。

 ただ先ほども感じて貰った通り、アタシのオーラは凄まじい。

 だからアンタ達とはあまり長く一緒にいられない。

 そろそろオーラを抑えるのも辛いから、帰ってくれないか?」


一同はマゾ神に促されるまま、帰路へと着いた。

そして、マゾ達の明るい未来を託されて街へと帰った。


~ターミナル駅~


リナ達が街へ帰ると、そこはすっかり元通りになっていた。


「コレは…マゾ達が暴れてない!?」


「きっと、もうマゾ達を虐げて来た人達には仕返しが出来たんだ。

 これから先は、神の意識に近くなったマゾ達が社会の為に、

 世の為人の為に動くようになるんじゃないかな?」


見ると、歩道橋を歩けない老人に対してマゾが、

神通力を使って道路の上を浮かせて向こう側へと移動させた。


「凄い…まさに神に近付いたマゾ達は魔法使いだね。」


「これからマゾの時代が来るかも知れないな。」


ここで、次世代マゾ狩り女子の二人がリナ達と和解した。


「もう、争うのは止めましょう。

 と言うよりそもそも、貴女達はもうとっくにアタシ達と違う

 別の方向性を見つけたみたいだけど。」


リナが答える。


「何言ってるんだよ、マゾ消失の相談をしに来た時からとっくに、

 アンタ達はアタシらの仲間だろ。」


こうしてマゾ狩り女子達のネットワークは更に広がった。

彼女達に共通していたのは、自らの活動を通じてマゾへの思い、

こんなに優しい人間達が報われる社会の実現へ向けて、

という願いだった。


それから、2か月が過ぎた。


~2か月後~


街には次々と転生したマゾ達が出現し、神通力により社会を助けた。

そうする事で社会からマゾに対する評価も爆上がりした。


マゾは使える・便利、という意見から徐々に、

マゾは優しい・頼りになる、といったものへと変化した。


リナ達は相変わらずマゾ狩りを行いつつ、マゾ達を転生させ続けた。

マゾ達は神に近付き、街には聖人のようなマゾが溢れた。


しかしその中から、ある特異点となるマゾが出現した。


彼は街のあるカップルに向けて手を翳した。

すると、そのカップルは一瞬にして消えてしまった。


丁度それを見ていたネオンとりおん。

ネオンはマゾに文句を言いに行った。


「ちょっとアンタ、今の何よ、何をしたの?

 カップルが消えちゃったじゃない、元に戻しなさいよ!」


すると、マゾは無表情なまま答えた。


「人間は、この世界に必要無いのです。

 だから、邪魔な順番に消して行きます。」


「ゲッ、何よコイツ、狂ってるわ!!」


しかし、りおんが仮説を語った。


「いや、もしかすると...ある種の悟りを開いたマゾかもよ!?

 AIだって、賢くなると最終的には人間不要論が出るって言うし、

 悟りを開いた先には人間不要論に行き着くのかも?」


そうであれば、このマゾは転生を繰り返して精神性が上がったマゾだ。


「だけど、こんなのが増えたら…街から人が消えちゃう。」


「だから、それが目的なんだろう。

 しかも何の悪意も無く、ただ必要だからそうするんだ。」


するとマゾは次のターゲットを絞り、その人間を消した。


「あ、また…!!

 このペースで続けたら、明日には相当数が減ってるわよ?」


「落ち着くんだ、ネオン。

 今ここでボク達がどうこう出来る相手じゃない。

 まずは皆に相談しよう。それでも…悪気の無いこのマゾ、

 どうやって対処すれば良いんだろう。」


ネオンとりおんは一旦、居所へと戻る事にした。

そして全員にこの話を伝えた。

リナが面倒くさそうに答えた。


「もー、何で次から次へとマゾに関する問題が起こるの?

 マゾってチョロいし簡単だと思ってたけど、ややこし過ぎない?

 こんな事なら、イケメン専門とかで夜職すれば良かったー。」


しかし、玲奈がそれをたしなめる。


「まぁ、それだけやり甲斐のある職業って事で良いんじゃないかしら。

 それにしてもその悟りマゾ、厄介ね。綾ちゃん…

 いや、マゾ神に相談しようかしら。

 まさかこんな短期間でまたあの人を頼る事になるとはね。」


こうして一同は再び、マゾ神に知恵を拝借しに行くのだった。

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