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#38.マゾの消失とマゾ神

「何かもう、コレで半年くらいは遊んで暮らせるくない?

 たま~に神客が来てくれたら十分だし、アタシ達勝ち組じゃね?」


リナが最高級マゾ専門店マゾスレイブの初客からの高額支払いを見ながら

緩い表情で問いかける。

それに、玲奈が真面目に答える。


「今回はたまたまだったかも知れないでしょ。

 そんな余裕ぶってると、次世代マゾ狩りの人達にマゾ取られちゃうよ。」


「えー、アタシ達は客層が違うからさぁ。

 やっぱ、どうせ狙うなら金持ちのマゾじゃん?」


「あんたねぇ・・・あの人は特殊過ぎだってば。

 本当に神様だった可能性もあるんだし・・・。

 まぁでも、しばらく生活に困らないのは助かるわね。」


━ピンポーン━


リナ達がくつろいでいる所へ、インターホンが鳴った。


「はぁ~い、何ですかぁ?」


モニタには、次世代マゾ狩りの二人が写っていた。


「え、次世代マゾ狩りの二人じゃん!!

 客層は被らないはずだから文句言われる筋合いも無いんだけど、

 何を言いに来たんだろう?」


ともかく、一度マンションの自室内へと通してみる事にした。


「あ、失礼するわね。

 ・・・何だかごめんなさいね、貴女達の邪魔をして。」


玄関で、赤髪にぴったりラテックスの黒ワンピースの荒井イブが謝罪した。


「え?あ、あぁ・・・いや、結果的にアタシ達は新しい業態が見つかって、

 まぁ結果オーライって言うか・・・。」


リナが少し戸惑って答えると、玲奈が本題についてを問いかけた。


「それを言いに来たんじゃないですよね?

 一体、何の話をしに来たんですか?」


それに、ピンクのカーディガンを制服の上に羽織った黒髪ツインテールの

磯川彩名が答える。


「はい、そうですね。本題についてはウチから話すね。

 最近、・・・マゾが満足射精した後に消えてしまうんです。

 突然フッと、存在ごと消えちゃって。」


「ハァ!?マゾが消える!?

 どういう事よ、それじゃあまるで手品みたいじゃない!?」


「えぇ、本当にウチらも何が起こってるのかわからなくて・・・。

 誰にも相談出来ないし、同業の貴女達にしか相談出来なくて。」


「・・・うーん、とは言ってもアタシ達も全くわからないよ。

 そういうオカルトとか手品とかは全然専門外だしさ。」


「だけど、貴女達だってマゾが減ると困るでしょ?

 一緒に、マゾ消失の原因を突き止めて欲しいの。」


「まぁ・・・大変な事態だとは思うけど、一体どうやれば・・・。

 とりあえずこの件は保留させて貰うよ。」


「ハイ。でも必ずウチらの業態に影響が出る事なので、

 何かしら動きを追って下さい。もしわかる事があれば、

 共有して頂ければ協力させて頂きますので、それでは。」


それだけ言うと、二人はいそいそと帰ってしまった。


「マゾが消える、ねぇ・・・。

 何なのかしら、確かにコレは調べる必要がありそうね。」


リナ達はすぐに動き出す事にした。

何が起こっているのかわからないからこそ、

後手に回れば不利になる可能性もある。


そこでマゾ狩り女子会メンバー達は、

久々に通常のマゾ狩りに出る事にした。


次世代マゾ狩り女子達による、安価・最速快楽二倍射精サービスにより

野良の街マゾ達は減っていたが、少しずつその棲息が戻りつつあった。


「お兄さん、イジめて欲しくない?」


いつものように手慣れたマゾ狩りを行う。

そして、いとも簡単にマゾを追い詰めて射精に至らせてしまう。


「ゔぅ…イく…!!」


マゾは3分と持たずに我慢の限界を迎える。


そしてリナが手の動きを早めると、マゾはいとも簡単に達してしまう。


いつも通り、何の造作も無い簡単な作業ゲームだ。


しかし、この日は少し様子が違った。


汚い白濁液を惨めに放出したマゾは、

そのまま一瞬にして消えてしまったのだ。


「え…?マジで、消えた...。どうなってるの?」


この現象は他のマゾ狩り女子会メンバーの間でも同様に起こっていた。


達した瞬間に消える。

これだけが確実に共通していた。


「何が…どうなってるの?」


その日、マゾ狩り女子会メンバー達はリビングに集まり、

会議を開いていた。

しかし出るのは憶測ばかりで、何の解決にも至らなかった。


「どうしよう、このままでは本当にマゾが絶滅しちゃう…。」


いよいよ、マゾ狩り女子会メンバー達は暗礁に乗り上げてしまった。

そして、やむを得ずそれを綾に相談すると、ある1人の人物を紹介された。


「そこまでの事になるとアタシじゃどうしようも無いわ。

 『マゾ神』と呼ばれる伝説の女性に話すしか無いわね。

 彼女なら、何かわかるかも知れないわ。」


『マゾ神』と言う聞き慣れない単語に戸惑いながら、

マゾ狩り女子会メンバー達は綾に紹介されたマゾ神の元へと訪れた。


~マゾ神宅近く~


そこは玲奈達の住む街からは電車で1時間半、

山あいの中ほどにあるロッジだった。

蚊等の虫に刺されながらも、マゾ狩り女子会メンバー達は

マゾ神なる人物の住む場所へと辿り着いた。


インターホンには【『ワンッ!』もしくは『女王様』と呼び出す事】

との注意書きがある。リナがそれに文句を言う。


「え、何よこのマゾ向け仕様は…。

 まぁ、マゾ神って言うくらいだからこれくらい普通なのかしらね?

 とりあえず、不服ではあるけれど…ワンッ!女王様、お願いします!」


リナの対応に、玲奈がイタズラっぽくからかう。


「嫌がってる割にルールコンプしてるじゃん(笑)

 案外似合うよ、リナのマゾ語喋りw」


「もー、やめてよ玲奈ー。アタシはマゾじゃないってのー!」


マゾ狩り女子会メンバー達がワイワイと騒いでいると、

扉から1人の人物が顔を出した。


「へぇ~、・・・あぁ、アンタらが綾の後輩のマゾ狩り女子かい。

 上がりな。屋敷にはマゾがいっぱいいるけど、

 全部アタシの言う事しか聞かないからね。

 間違っても奪ってやろうとか思うんじゃないよ。」


「そんな事するワケ…」と言いかけたリナは気付いた。


何とドア自体がマゾで出来ていたのだ!!


「うわっ、この扉、マゾオスだ!!」


リナが驚き飛び退くと、更に玲奈が言葉を続けた。


「いや、ドアだけじゃない…。

 よく見たら壁も天井も照明も、全てがマゾで出来てるよこの家…。

 一体どれだけのマゾがあしらわれているの!?」


「ふふ、気付いたかい、流石だね。

 1000や2000で効く数じゃ無いよ。

 だけど、アンタ達がこれから進もうとしている道の

 ゴールにはコレがあるんだよ。」


リナ達は驚いた。

 自分達はマゾ活・マゾ狩りを終えた時、

 かつて旅行の時に訪れたマゾ牧場で働こうと考えていた。

 しかしマゾ神と呼ばれるこの女性は、このマゾで出来た家での

 暮らしこそが自分達の行き着く先だと語っている。


「あぁ、違和感を感じてしまったかな?

 ”私達の将来はマゾ牧場でのんびりマゾ達と暮らすのだ”と。

 言っておくがあそこのマゾ牧場の経営者はアタシだよ。」


「!?」


マゾ狩り女子会メンバー全員に衝撃が走った。

あのマゾにとっての楽園のような場所はマゾ神が経営者だったのだ。


玲奈が反論する。


「そんな、・・・あんなに伸び伸びとマゾ達が暮らす場所が、

 失礼ですがマゾ達を道具にして使ってる貴女に作られただなんて。」


「んー、アンタ達何か勘違いしていないかい?

 アソコは単なる牧場じゃない。

 そもそもただペットとして飼うだけの牧場なんて無いだろ。

 あそこは養殖してるんだよ、マゾ達を。」


「え、どういう事ですか?

 マゾ達を生み出してるって事ですか?それは一体どうやって…?」


「そうだねぇ・・・アンタ達、チンポリンは知っているかい?」


「━!?━」


全員に衝撃が走った。

1部の過激なマゾの体内に自然に生成されている被虐願望を生み出す物質。しかし、マゾ神が何故それを知っているのか。


「チンポリンを発見…いや、違うな。

 注入したマゾを世に送り出したのもアタシだよ。」


余りの衝撃的な事実に、ついにはりおんやネオン、凛等の

マゾ狩り女子会メンバー達が気絶してしまった。

玲奈がマゾ神に問いただす。


「貴女が注入したですって?だったら、一連のマゾ騒動の黒幕は貴女?」


「アタシが大元に関わっているものと、既に手を離れたもの、

 誤解されているものや反対しているもの、

 アタシだってマゾを取り巻く全ての環境を管理出来てるワケじゃない。

 それでも一定の影響は与え続けてるよ。」


「そんな…。貴女の目的は一体何なの?マゾ達をどうしたいの?」


「マゾだけをどうこうってワケじゃないさ。

 ただ、世界を平和にするにはマゾが増えなきゃいけない。

 そのためにマゾを研究し、世間にマゾを増やそうとしてるよ。」


「なるほど…?(実はよくわかっていない)

 私達は貴女の計画そのものに対して何かを言える立場にはありません。

 ただ、現実に起きている事を伝えに来ました。

 そして何かお知恵があれば授かりたいのです。

 実は今、街ではマゾ達が…」


「消えてるんだろう?イキ果てたヤツらから突然消える。知ってるさ。

 何せアレは…」


リナがマゾ神の言葉が終わらぬうちに何か言おうとしたのを遮り、

杏がマゾ神に厳しい口調で怒鳴る。


「アレも、アンタの仕業だってのか!?

 アタシ達の生きる糧をあぁも勝手にホイホイと消されたら困るんだよ!!

 もうアタシ達はとっくに、マゾ相手にして生きて行くって

 覚悟決まってるんだよ!!」


「そうか、ふふ。素晴らしい覚悟だね。心配しなくて良い。

 彼らはただ消えたんじゃない。

 次の形態に移行するために一旦この世を、現世を離れただけなんだ。」


「現世を…離れる?どういう事だ?」


「アンタ達が新しく始めた高級路線のマゾ向けサービス、

 あそこに神様みたいなマゾが来店しただろう?」


「アンタ、何でその事を…!!」


「あのマゾは早くに転生を繰り返してる。やがてマゾは神に等しくなる。

 マゾによる人類救済、人類浄化計画さ。」


「どういう事なの?」


「マゾ達は子を成せぬ代わりに『個』として進化を続ける。

 やがては人を犯して孕ませたり、異性を奪い合い敵を傷付けたり

 そのような野蛮な事をしないマゾ達こそがこの世界の神になるのだ。」


玲奈がマゾ神にある知識の確認を行う。


「・・・全人類総マゾ化計画、ですか・・・?」


「ほぅ、よく知っているじゃないか。

 そう、争いの火種しか生み出せぬ一般人など、一世代限りの命だ。

 しかしマゾは違う。個を何度も脱皮して行き、やがて神になる。

 彼らによる理想的な社会の到来に向けてアタシは、研究してる。」


「じゃあ、消えた彼らは本当に消えたワケでは無くて、

 また生まれ変わって来る、という事ですか?」


「そう、マゾは何度も転生を繰り返す。

 その度により神に近付く。マゾは最も神に近い人種だ。」


彼女の言葉は、一見すると素晴らしい理想論のように思えた。

もしそれが実現すれば素晴らしいし、

至らずともその過程自体が美しい事のようにも思えた。


しかし、玲奈は何か違和感を感じていた。

果たしてマゾが神になっても良いものだろうか?


そしてマゾ神の元を離れて帰路に着いた玲奈達を、

とんでも無い光景が待ち受けていたのだった。

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