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#3.リナ一人で出来るもん!!

挿絵(By みてみん)

マゾを誘うリナ



黒木綾の助けを得て、一夜と翌日の食費の一万円を得た二人。

比較的真面目で計画性のある玲奈が言う。


「ちゃんと考えて使おうね。

 ホテルもとりあえず寝れればOKだから。

 あーでもコインランドリーが付いてないとそれは別料金だから、

 そこも考えないとだなぁ、あと朝食付きとか・・・。」


ブツブツと言う玲奈に、リナが言った。


「ってか、そんなに細かく考えてたら頭痛くならない?

 もちろん少しは頭使わないとだけど、あまり真剣になり過ぎても

 何のために生きてるのかわからなくなるよー?」


「リナ、アンタって本当にお気楽なのね・・・。

 まぁ良いわ、二人のそれぞれの所持金もあるんだし、

 マゾ狩りで得た分くらいは気前良く使っちゃいましょうか。」


こうして二人は二日連続ホテル泊とする事にした。


二日目の宿は昨日とは違うチェックアウトが遅めのホテルだった。

リナが言った。


「おー良いじゃん、12時チェックアウトかぁ~。

 こうやって少しずつマゾ狩りに最適化した暮らしになって行くのかな。」


「いや、マゾ狩りだっていつかは辞めなきゃだよ?

 ってかまぁそもそも、私達まだ自分だけでマゾ狩り出来てないけどさ。

 綾さんの助け無しにちゃんと一人でマゾ狩りしたいな。」


「・・・そだよね、いつまでも綾ちゃんのお世話になってたらダメだよね。

 ねぇ、玲奈。アタシ明日は一人でマゾ狩りしてみよっかな。

 綾ちゃんとは違う駅前でマゾ見つけてさ。いずれそうしないとだしさ。」


「リナ・・・もし何かあっても、私達だけで何とかしないとなんだよ?」


「何、玲奈不安なの?

 出来ないと思うんなら、おウチに帰っても良いんだよ?

 アタシ一人でもやるからさ。」


「・・・。ううん、私も一緒にいる。

 リナに何かあった時の為に、助けたいもん。」


「へぇ~、まだ友達になってからそんな経って無いのに、

 もうアタシの事それくらいの友達だと思ってくれてるんだ?」


「当たり前でしょ。

 もう私達、二人で一緒に生きて行くようなものじゃん。

 二人だからこんな困難な生き方でも何とかなるって思えるしさ。」


「うん、確かにそうだよね。

 さっきはごめんね。一人でもって言いながら、アタシも一人だと

 多分心細いかも。玲奈がいてくれて良かったよ。」


こうして二人は多くの言葉を交わしながら眠りに就いた。

そして少し遅めにセットした目覚ましが鳴った。


「ん・・・おはよう、リナ・・・。って、起きてる?」


玲奈が目を覚ました10時30分。リナは先に起きていた。


「あ、玲奈おはよー。うん、アタシ7時30分に起きちゃって。

 ずっとTV点けながらスマホ見てたよー。」


どうやらリナはショートスリーパーのようだった。

ロングスリーパーの玲奈はそれを羨ましく思った。


「そっか、ごめんね、リナ。私も急いでメイクとか準備するから。」


「え~別に大丈夫だよ~。チェックアウト遅いんだし、ゆっくりしな。

 寝る時間なんて人それぞれじゃん?」


玲奈にはリナの言葉が優しく刺さった。

実家にいた頃、こうでは無かった。

厳しい母と無関心な父の元、兄弟も含めて家の中はシステム化されていた。

風呂に入る順番、夕食の時間。全ては家族の都合だった。

これは家族として暮らす上で必要な事だったが、玲奈には息苦しかった。

リナはそうしたしがらみから解放され、自由に振る舞っていた。


「リナ、アンタってさ、家であんまりうるさく言われて来なかったの?」


「ん?あ~、結構自由だったかなぁ。

 でもそれもどうかなーって感じだよ。

 アタシに無関心なのかなーってさ。

 現に多分今だって、心配して連絡して来て無いしさ。

 玲奈の親からはスマホに着信無いの?音消してる?」


「あー、私は・・・・家出するって言ってから出て来たから。」


「え”、そんなの言ってから出て来ても、鬼電来るくない!?」


「いや、電話したらもう絶対帰って来ないからって言ってあるから。」


「へ、へぇ~、玲奈って真面目に見えて、いや真面目だからか、

 決断した事は絶対って感じだし、そりゃ親も怖くて連絡出来ないか。」


「まぁ、私の家の事は良いよ。

 リナは今日のマゾ狩りの事だけ考えてたら良いよ。」


「そうだね、とりあえずまた食べ放題行こっか。」


こうして二人はホテルをチェックアウトした後、

昨日と同じ食べ放題のランチへと向かった。

ここでお腹いっぱいに食べて、朝と夜食を抑えるのだ。


「ハァ~、やっぱ良いわぁ~、スイーツ食べ放題とか最高だよね。」


「まぁ、こんな生活がいつまで続くかだけどね。

 ってか今更だけど、学校行かなくて良いの、不安になって来た。

 私達、これからずっとこうして暮らして行くのかな。」


「え”、玲奈こんな時に真面目!?

 そういうのさ、もう少し違う時に考えない?

 食べてる時くらいはさ、幸せ感じていようよ。

 真面目な事言ってるけど、結局学校行ってないんだしさ。

 ま、何とかなるよ。アタシの好きな配信者も学校行ってないし。」


「配信、か・・・。いずれはそれもアリかもね。

 ねぇ、リナ・・・あそこに見える男・・・アレ、マゾじゃない?」


「うわ、本当だ。何かマゾっぽい・・・何て言うんだろう、

 他人と目を逸らしてるし肩幅狭そうにして歩いてるし、

 声掛けたら案外余裕でいけるかも?」


「もう一通り食べたのなら、行ってみない?

 別に私が声掛けしても良いよ。アイツなら行けそう。」


「あ”-、大丈夫だってば。玲奈は見てなよ。

 今回はアタシがちゃんと一人でアイツからお金貰ってみるよ。」


「綾ちゃん居ないんだから、シッカリやりなよ。

 もし抵抗して来たらすぐに警察呼ぶから、

 あまり二人きりになったらダメだよ。」


「わかってるって!

 玲奈ってば心配し過ぎー(笑)

 じゃあ行って来るね、見ててよー。」


そう言ってリナはサッサと行ってしまった。


「やっほー、お兄さん、お一人ですか~?」


「え、キ、キミは・・・何?怪しい逆ナン?」


「え~、こんないたいけなJKに何が出来るワケないじゃん。

 お兄さん、もしかしたらちょっとMっ気あるかな?って思って。」


「遊んで、遊んで、くれる・・・って、事?

 だ、だったら、金額!いくら?」


弱そうな相手の様子を見て、リナは金額を上げて告げた。


「んー,一万五千。キスして欲しいなら二万かな。」


「だ、だったら、一万五千で良いから、ホテル行こ?」


リナは単価のつり上げに成功した事から、それを快諾した。


「おっけー、だけどあまり長く遊ばないでいようね?

 アタシだって次のお客さん見つけなきゃだし。」


「わ、わかった。わかった、よ。」


明らかに言動がどもりがちで怪しい男だったが、それよりも目先の金だ。

リナは男と共にすぐ近くのホテルへと向かった。


それを見ながら玲奈は驚き、そして腹を立てた。


「もー、リナってばあれだけ二人きりになるなって言ったのに。

 まぁアイツ弱そうだったし大丈夫だろうけど、私の目が届かないし、

 それなりに危ないよって事、帰って来たら言ってやらなきゃ。」


そしてホテルに入ったリナとマゾ男。

二人は一番安い部屋を選び、手を繋ぐでも無く一定の距離を取り歩いた。


「さ、さささ、さぁ。部屋に入ったからにはもう、

 ボボボ、ボクとキミ、二人だけの空間なんだな。」


マゾ男は焦りながらもリナの近くに寄り、乱暴に服を脱がそうとした。


「ちょ、ちょっと待って。そういうのはナシで!!

 あくまでお兄さんマゾっぽいなって思って近づいたんだから、

 アタシのペースで責めさせてよ。好きでしょ、イジめられるの。」


「ハ?いやいやいやいや、ここまで来て、イジめられるって。

 男を舐めるんじゃないぞー。ちちち、力だって、ボクの方が強い。

 だってボクは男だから・・・!」


「ハァ?アンタみたいな弱そうなの、負けるワケが無いんだけど。

 じゃあ良いよ、もう力づくでイジめてわからせてあげるよ。」


リナは男の腕を掴んでタオルで縛り付けた。


「ななな、何するんだよ!金払ったんだから、主導権はボボボ、

 ボクにあるだろ!!」


しかしリナは一歩も引かない。


「結果としてアンタを気持ち良くさせれば文句ないでしょ。

 さぁ、その身体踏みまくって、唾吐いてあげるんだから!」


「やめろ、ボボボ、ボクにそんな趣味は無いんだな!!」


しかし、リナの足がマゾ男の胸に乗り、更に顔に唾を吐く。

その瞬間、男の表情から反抗が消えた。


「う”ぅ・・・こんなの、こんなの・・・全然気持ち良くなんて・・・」


「ハァ?そう言いながら股間が固くなってるケド?」


男は簡単にリナに篭絡されてしまった。

しかし最後のプライドが残っており、まだ口で抵抗した。


「お、お前みたいなブスにやられるくらいなら・・・・

 もっと可愛い子が良かったんだな、だな・・・。」


男のプライドの最後の抵抗だった。

しかし、その言葉がリナの心に火を点けた。


「あ”!?お前、もう一回言ってみろよ、誰がブスだって!?」


マゾ男の髪を掴み、顔に唾を吐いた後に頬を叩く。

男は少しずつ怯えた表情になった。


「あのさぁ、言って良い事と悪い事があるってわからないワケ?

 アンタさぁ、このままここにあるライターで股間の毛燃やそうか。

 コレ、脅しじゃないよ?ガチだから。」


そう言いながらテーブル上のライターを取り、男の股間に近付ける。


「おおお、お前、そんな事して・・・後で警察呼ぶぞ、

 いや今すぐにホテルに通報してやる。

 お前、金は貰えないぞ、わかってるのか?」


しかし怒りが頭を支配していたリナには聞こえていない。

男は拘束を上手く抜け出し、ホテルフロントに連絡した。


「あ、ああああの、すみません!!

 女の人がボクを縛り付けて暴力を振るって、

 股間に火を・・・殺されます!!」


男がフロントにそう言った後にリナの制止の手がかかった。


「あ”、くっそー、お前、何て事してくれたんだよ!!

 ふざけんなよ、今日の金どうするんだよ!!」


そこへホテルのフロントがやって来た。


「お客様、どうなされましたか~?」


少し強面の色付きサングラスをした男、リナは怯えながらも

事情を説明した。しかしマゾ男も自分の事情で話をした。


フロントマンはそれを両方聞き、二人に言った。


「あのねぇ、困るんですよ、そういうトラブル起こされると。

 とりあえず部屋代だけ払ったらサッサと出て行って下さい。

 あとは二人で何とかして下さいね。警察も絶対、民事不介入なんで。」


こうして二人はホテルの外へと放り出された。

マゾ男は捨て台詞を吐いて金を取り返して去って行ってしまった。


茫然とするリナに玲奈が怒声をあげる。


「え”、もしかしてリナ、お金貰えなかったの!?

 何してるのよ、アンタ!!

 今夜の宿代、手持ちのお金から出すしかないって事!?

 それとも野宿!?どっちも嫌よ、リナ、何してんの!!」


玲奈の言葉が終わらないうちにリナは涙ぐんでしまった。

こうして黒木綾抜きでのマゾ男チャレンジは失敗してしまったのだった。

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