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#27.マゾの恩返し

マゾ狩り女子会6人の新居を襲った近隣の風俗店の女。

それを殺してしまった事により、6人と1匹は杏の祖母の廃集落へと行き、

そこで遺体を埋めた。

しかし新居に一人残されていたエリカから凛に連絡が入る。

マンションのオートっロック前に男達がたむろしていると言うのだ。

いつ無理矢理部屋に入られるかも知れない状況だ。

その時、リナは一筋の望みに賭けて綾に連絡をした。

どうやら綾は寝ていたようだったが、リナは何とかして欲しいと懇願した。


「ハァ…それが起きてすぐのお姉さんに対してモノを頼む態度かしら?」


「頼む!お願いだよ、綾ちゃん。

 マジでエリカが殺されるかも知れないんだ。

 後でいくらでも、お願い聞くからさ!!」


『殺される』このワードにただならぬものを感じた綾は、

すぐに目が覚めた。


「なるほどね。良いけど、それじゃあアタシのおしっこ飲める?」


「あ”-もう、綾ちゃん・・・綾様のならいくらでも飲ませて頂きます!」


もはやリナはヤケクソだった。


「ふふ、よろしい。良いわよ、大船に乗ったつもりでいなさい。

 普通なら絶望的なこの状況を、伝説のマゾ狩り調教師綾が

 何とかしてあげるわ。」


そう言って、電話は切られた。


「綾ちゃん、何て?」


「・・・いや、何か、大船に乗ったつもりでいろ、って。

 何とかしてくれるのかな・・・。」


リナは正直、諦めた気持ちで綾に連絡していた。

それが、ハッタリなのか何なのかわからないが、

もしかしたら本当にどうにか出来てしまいそうな状況に

リナだけでなくこの場の全員が悄然としていた。


一方で、エリカの方は広い3LDKの一室で生きた心地がしなかった。


「どうしよう、マンションの玄関で何か鈍い音がしたと思ったら、

 車が来て皆行っちゃって。鍵も無いから残るしかないと思ってたら

 インターホンが鳴って、画面見たらめちゃくちゃ怖そうな人達。

 私・・・殺されちゃうの?怖い、怖いよ、皆、早く帰って来て。」


そして男達はオートロックを解除したワケでは無いだろうが、

住人に付いてマンションに入って来たのか、部屋前のホンが鳴らされた。


「オイ、いるんだろ?お前もどうせアイツらの仲間だって割れてんだよ。

 言っとくけど、俺達は警察も怖くないぞ?

 お前の脳天勝ち割って、意識がある内にストロー差し込んで、

 脳みそから血液をチューチュー吸ってやるからな、せいぜいビビって

 ションベンでも漏らしてろや、アハハハハハ!!!!」


そう言うと、男達はドアをバールのようなもので殴ったりこじ開けるような

激しく、そして時にギリギリと不穏な音を立てながら確実に、

入口のドアを破壊し始めていた。

それはもはや一刻の猶予も許さない、今まさにバァン!とドアが開き、

すぐにでも男達が部屋に侵入して来るくらいの恐怖があった。

エリカは文字通り失禁して動けなくなっていた。

そして、ただひらすらに神に祈るしか無かった。


「あぁ、神様仏様イエス様、お願いしますお願いします、

 私は確かに物凄く臭くて多くの人達に迷惑をかけたかも知れません。

 それでも、こんな所で死んでしまうなんてあんまりです。

 お願いします、こんな手荒なやり方で殺されるのは嫌なんです。

 助けて下さい、お願いしますお願いしますお願いします!!」


まるで呪文のようにブツブツと、そう呟いていた。


そして、ひと際大きな衝撃音が聞こえたかと思うと、

斧の先端が部屋内に見えていた。

もう完全に、男達の狂気が室内へと侵入してしまっている。


「あ”ぁ、もうダメ、終わりなのね、怖い・・・

 ヤだ、死にたくないよぉ、死にたくない!!!!!!!」


そして遂に、乱暴にドアが完全に壊されてしまった。


『バリィ・・・』


「よぉ、嬢ちゃん。お前もアイツらの仲間だろ?

 って言うか、お前アレだろ、めちゃ臭い女。

 お前がアイツらの中身になった事でウチの経営は完全に傾いた。

 好都合や、お前が実質、俺らにとってのラスボスみたいなモンや。

 まぁ、ションベンチビち垂れとる情け無いラスボスやけどな、

 アハハハハハハハハハハハハ!!!!!!!!!」


男は狂ったように笑いながら、斧を振り上げた。


「じゃあな、臭い女が死んでも誰も困らへんわ。」


エリカは目を閉じながら祈った。

救世主、ヒーローの出現を。




・・・・・




・・・・・




・・・・・




・・・・・


・・・・・


「お、お前ら何や!!邪魔するなや!!

 お前らも殺してまうぞ!!」


『出来るものなら、やってみろよ』


男達の後ろには、大勢の男性達が居た。


その中には、エリカが見知った顔があった。


「あ、貴方は・・・あの時私の匂いを嗅いだマゾさん?」


『えぇ、俺達はエリカ様だけじゃない、ここに暮らしている

 6人にこれまでイジめて貰って来たマゾオスです。

 そして更に少し前の時代、綾様にイジめられていたマゾオスも

 OB枠で参加しています。』


「参加って、・・・どういう事?」


「今回、この組織を潰す上で最も活躍した上位者達には

 無期限でイジめて貰えるサブスクカード、

 『イジめて貰えMAXカード』が頂けるんです。」


「ええぇぇぇぇぇっぇぇ!?

 それじゃあ貴方達は、この部屋の6人達とその師匠にイジめられて来た、

 マゾさん達って事なのね!?

 マゾさん達ってこんなに凄いの!?」


「それだけ、この部屋にお住まいになられる6名と綾様は

 多くのマゾ達の被虐願望を救って来たのですよ。

 そしてエリカさん、貴女もそのうちのお一人になられるのでしょう。」


既に風俗店関係者の裏方の男達はマゾオス達により拘束されていた。


やがて30分ほどして、綾がやって来た。


「あら、皆ご苦労ね。

 そして貴女が物凄く臭いって言うエリカちゃんね。

 あ、大丈夫よ、むしろ臭いのはマゾ相手だと使えるから。

 それにしても裏稼業のコイツら、だらしないわね。

 こんな程度のヤツらなら、一人ずつならアタシでも勝てたわね。」


それから、2時間半ほどしてようやくリナ達が帰って来た。

マゾオスの集団を見るなり、リナ達はとても驚いていた。


「綾ちゃん、どうやってこんなに集めたんだよ・・・」


「この人達、皆私達6人と綾さんがイジめて来たマゾって事?

 ただただ凄いわ・・・そして感謝しか無いわね。」


「あ、お前覚えてるぞ。お前もな。お前は、脇腹が感じるんだよな?」


「ありゃ、あの時おしっこかけたら喜び過ぎて脱糞しちゃった、

 『うんちお漏らし君』じゃん、懐かしいねぇ。」


それぞれにこれまでのマゾ狩りの中で積み上げて来たものが、

一気にここに来て形となり報われたような恰好だった。


そして6人は改めて思った。


━『マゾは健気で可愛い。』━


こうして綾の機転とマゾオス達の活躍により、全ては収束した。

そして闇稼業の男達は多くの余罪や既に指名手配となっていた事から、

今後裁判を行う為に抑留・拘留となった。


杏の専属マゾオスのみに関わらず、この場に居合わせた多くのマゾオス達の

技術により、ドアはこの日のうちに修復された。

これで6人は初めて、安心して夜を越せる事になった。


杏が運転を担当した専属のマゾオスに言った。


「本当にありがとうな。ご褒美の方は後日、必ずするから。

 あと、ホラ。コレ。アタシの涎と愛液とを混ぜた特製ブレンド。

 ご褒美の日まで、コレ使ってオ〇〇ーとかしてろよ。」


「ハハッ、ありがとうございます、杏様!!」


そう言ってマゾオスは帰って行った。

次に、リナが綾に言った約束だ。


「あー、リナ。アタシが出したおしっこ、飲むって言ったわよね。

 アレ、本気?それとも、その場の勢い?」


すると、リナはただ静かに目を閉じて口を開いて舌を出した。


「ふふ、バカね。こんな皆がいる場所でやったら、

 アタシが恥ずかしいだけじゃない。」


しかし綾はそれを別の場所で、等と言って誤魔化す事はしなかった。

その場でジーンズを降ろしストッキングを半分脱ぎ、下着を降ろし

リナの舌を目掛けて小便を直に当てた。


リナの鼻腔を通じて独特の臭みが広がる。

そして決して美味しいとは言えない、非常に苦い味が口内に広がる。

それは本当に決して良い体験では無かった。

更に悪い事にこの日、綾は女性の日が近かった事もあり、

臭いも味も更に独特のエグみがあった。

しかしリナはそれをありがたそうな顔で飲み干した。


「リナ・・・アンタ、別にアレは冗談だった、とか言えば

 アタシだって本気でやろうだなんて・・・」


「でも、綾ちゃん結果的にやったじゃん。

 マジ臭かったよ、可愛い綾ちゃんからあんなの出るんだね(笑)

 でもさ、真面目な話、綾ちゃんだって中途半端は嫌でしょ。

 いくら身内だからって、ケジメはちゃんと付けなきゃ。」


「・・・もう、アンタも変な所で玲奈みたいに真面目なのね。

 だけど、匂いとか味とか、実は結構恥ずかしいんだから、

 次会う時までには忘れなさい?

 アタシの事、そんな変なイメージで記憶されたら困るんだから。

 もう何だか、強くそのイメージ付いちゃったかもだけど。」


「んふ、大丈夫。アタシ、玲奈の次くらいには綾ちゃんの事好きだから。」


こうして、匂いフェチ専門風俗店が突然起こした事件に関する顛末は

一通りの収束が見られた。


夜の街でリスキーな活動をする以上は避けて通れない部分でもある。

それでも仲間を通じて、またこれまで関係を持って来た客ですら

自らの仲間としてしまうこの姿勢。

綾をはじめとして、リナや玲奈達も明らかに他の夜の女子とは違った。

そこには後ろめたさや単なる堕落では無く、理念があった。


そして6人は眠りに就き、今度こそゆっくりと身体を休められた。


翌朝、昨日の喧騒が嘘のように爽やかな朝を迎え、

6人は穏やかな気持ちで『おはよう』と言い合った。


思えばここに至るまで、本当に短期間の間に様々な事が起きた。

そしてそれらの中で彼女達の中には確かに成長があった。

そしてこれからもこの6人で成長をしていく。


物語はまだ続くかも知れないが、1章と言う区切りがあるとすれば

ここがその一端の区切りであり、彼女達は幸せな生活を手に入れた。


そして今夜もマゾ達は彼女達にイジめて貰うために狩られに行く。

それは魂を賭けた完全なる愛の形をしていた。


第一章:完



挿絵(By みてみん)

マゾオス達とマゾ狩り女子会


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