#23.一つ屋根の下、6人♡
一つ屋根の下で共同生活はトラブルだらけ
マゾ狩り女子会の六人は、平面図のみから一軒家を共同生活の場に選んだ。
それは直感であり、トラブルはどんな環境であれ当然と覚悟しての事だ。
「ま、りおん君がゴミ箱を栗の花の匂いさせなければ良いけどね~?」
「ボ、ボクはそんな事しませんよ!
って言うか、何でボクだけそんな変な話題に狙い撃ちなんですかっ。」
「あー、私料理ってダメかも・・・当番制にするなら、
かなり頑張って勉強しなきゃかもなぁー・・・」
「誰かがアイロンを床に直置きして焦げたりしないかなー、
絶対、安全面は徹底したい…いや、しようよ、ね。」
「トイレ掃除とか、基本的には毎日だよね。
となると、一人当たり6日に一回か。
まぁホテル暮らしよりはやっぱり、生活力が試されるよね。」
「とにかく寝ていたい。うるさくなければ良いなぁ。」
それぞれに様々な思いを言葉にしたが、実際の所どうなのか、
生活を始めてみなければわからないものである。
そしていざ実際に物件を内見、と言うよりも契約後に実際に見た時、
それは図面上とは違った部屋割りだった。
平たく言えば単なる広めの3LDK、トイレと風呂は一つずつだったのだ。
更に言えば一軒家と聞いていたが、マンションだった。
杏がそれを聞き驚いた。
「え”、マジかよー、6人で風呂を一人30分ずつ使ったら、
最初から最後までに3時間もかかるじゃん。」
しかしそこに凛が解決策を提示する。
「それだったら、2人ずつ入って、45分くらいで抑えたら?
そしたらもう少しマシになるくない?」
「ま、まぁ、それはそうだけどよ・・・
ネオンとりおんはそれで良いのかよ?
りおんがいくら男の娘とは言え、その、付いてるんだろ?
間違いが起こってここで暮らす人数が増えるのは嫌だよ?」
しかし、りおんはそれをサラリと交わす。
「あー、大丈夫大丈夫、ねおんの事は女として見てないって言うか、
あ、それだとちょっと失礼なニュアンスになっちゃうか。
勃たないから、大丈夫!(キリッ)」
「んー、それ前にも聞いたけど、マジなんかな・・・。
あー、てかまぁアタシらは良いとして、リナと玲奈、
お前らって何か最近レズくさいって言うか、大丈夫か?
お前らの後に入ったら変な意味でビチャビチャとかやめてくれよ?」
リナが反論する。
「ちょ、変な意味でビチャビチャって何よ!!
大体、最悪、変な意味でビチャビチャになってたとしても、
シャワーで洗い流せば良いでしょ、お風呂なんだから問題無いわよ。」
「へー、変な意味でビチャビチャにしちゃう自信があるんだ?」
「し、しないわよ!!
ワケわかんない心配してないで、もっと別の事を心配しなさいよ!!」
「んー、じゃあこの中で屁がめっちゃ臭い人ー?」
「・・・・・。」
もちろん、誰も手を挙げなかった。
ネオンが冷たい目で杏をたしなめた。
「あのさぁ・・・いくら何でも若い女の子達で暮らすんだから、
そういうデリカシー無い発言はどうかと思う。」
「え、いや!?お前ら屁ーしないのかよ!?
一つ屋根の下で暮らすからこそ、そこ大事くね!?
壁が薄い賃貸よりももっと薄い、部屋の境界壁だぜ!?
隣の音は絶対響きまくるぜ!?大丈夫なのか、皆!?」
そこで玲奈が皆を落ち着ける為に発言する。
「まぁ、色んな心配事は後から出て来ると思うけど、
とにかくここで皆で暮らすって決めたんだから、
綾さんが言っていたように問題はその都度皆で解決しましょ。
とりあえず3部屋ある個室をどのチームが使うか、決めない?」
3LDKの居室部分の3部屋は、それぞれに広さは大体同じだ。
ただ日当たりや隣にトイレが風呂がある等、多少条件が違った。
ネオンが言った。
「あ、この日当たり悪い部屋はアタシとりおんで良いよ。
アタシは配信するし、りおんも日焼けしたくないし。」
更にリナが続ける。
「じゃ、この一番日当たりが良い部屋はアタシと玲奈ね。
どうにもこう、日の光が好きなんだよねぇ、アタシ。
夜の街で生きてる割に不思議なんだけどさ。」
更に杏が続けた。
「じゃあ、残った部屋がアタシと凛だな。
まぁアタシらは特にこだわりとか無いから良いよ。
さぁ、そうと決まれば早速それぞれの部屋で荷物の開封だな。」
彼女達は基本的に大きな旅行カートで生活している。
その他の様々なものはこれまでホテルに頼って来た。
そのため引っ越しと言えど荷物は最低限だった。
更に物件には家具や家電が付いていた為、先ず暮らしは出来そうだった。
「あーあと、カーテンとか・・・って一応付いてるけど、
もし好きなのに変えたいならそれぞれで購入だな。
あ、ってかシャンプーとか歯ブラシも必要か。
いちいち2人ずつ買い出しに行くより、皆で行くか?」
6人で一斉に新生活に必要な物資の買い出し。
これは中々に大仰なイベントだったが、ある意味では楽しい祭だ。
6人は久々にカートを置いて手ぶらで行動出来る軽さを感じた。
そして近くにある、何でも揃う総合ショッピングモールへと向かった。
~ショッピングモール~
凛がモールの最初にあったインテリアショップに目をやった。
「あ”~、この猫ちゃんをあしらった照明良くない!?
照明は一応付いてたけど、やっぱり好きな雰囲気のが良いよね!?」
更にりおんが声を重ねる。
「ボクはやっぱりブラックライトとかかなぁ。
ネオンの配信の時用に暗めの落ち着いたライトも欲しいよね。」
リナが隣のファブリック用品店を見て言った。
「あ、このウサギモチーフのトイレマット!!
ファブリックは全部ウサギ柄で揃えようよ!!」
それぞれに思い思いに好き放題に店を見て回る為、
まとまりも無くその内散り散りになってしまった。
結局、まともに新生活に最低限必要なものを買い出しているのは
杏と玲奈だけになった。
「何で皆こう自由なんだろうね・・」
「まぁでも当然じゃないか?
アタシらって自由を求めて夜の街で過ごしてるんだし。」
「まぁ、それもそっか。そもそも私達が6人で同じ家に住むって、
それだけで奇跡みたいなモンだよね。」
「そうだな。リナの件だって奇跡だよな。
アイツ、執行猶予が付かなかったら今頃、さ。」
「そうだよね・・・。
しかも殺されかけたネオン達が一緒に住むだなんて、
やっぱり頭のネジがどこか吹き飛んで無いと、
夜の街で生き残って暮らしては行けないよね。
そういう意味でこの共同生活を提案した綾さんは凄いと思う。」
「綾ちゃんはやっぱスゲーわな。
結局、アタシら全員が夜の街で暮らすキッカケになったワケだし。
それでいてあの人、普通の暮らしに収まろうとしてるとか、
人生ある意味で勝ち組過ぎんだろ。」
「本当、面白い人だよね。綾さんが居なかったら始まって無かったんだね。
だけどそろそろ私達は、自分達で物語を作らないとだと思う。」
「ま、それはアタシも賛成だよ。
でもアタシらに比べたら玲奈達はまだ時間がある。
たった数年がこの若い年頃にはとても大切だからな。
今はまだお前やリナは、たくさんの事を学べば良いんじゃないか?」
「何よ、急に先輩風吹かしちゃって。」
「アハハ、そうだな、らしくねぇよな。」
こうして二人は6人の新生活に必要最低限のアイテムを買い揃えた。
そうして夜になると、綾を招いての新生活スタートパーティーが催された。
「ネット宅配で色々頼んだから、そろそろ届くはずだよー」
ーピンポーンー
すると7人分のパーティー用の食事と言う事で、
ピザやパスタ、寿司にサラダにオードブル、
かなりの食料が一気に頼まれていた。
「ちょ、コレ誰が頼んだの!?
これ、7人で食べ切れるかしら!?」
それは7人で一夜に食べるには少々、多過ぎた感も否めなかった。
「ま、まぁ残ったら冷凍とかして、明日以降に食べようよ・・・」
こうしてやり過ぎた感がありながらも新生活パーティーが始まった。
リナの音頭が取られる。
「さて、それじゃあ、6人の新生活の門出を祝って、カンパーイ!!」
「「「「「「カンパーイ!!!!」」」」」」
それぞれの年齢に合った飲料、ソフトドリンクもアルコールも、
とにかく数多く頼まれ、冷蔵庫にはその余った缶がまず詰め込まれた。
そして誰ともなく新品の皿をテーブルに並べて行き、
TVが点いてはいるが誰もそれを見てはおらず、ワイワイガヤガヤと
賑やかなパーティーが始まった。
「え、ってかりおんとネオンって何か好き嫌いとかあるの?」
「あー、ボクはカニが無理って言うか・・・」
「アタシはカボチャが嫌いー」
「おい、綾ちゃん。早速酔っぱらってんじゃねーよ。
ちょっとあまりにもペース早すぎねぇか!?」
「何よ、アタシの可愛い荒廃達がこうやって、
皆で仲良く一つ屋根の下で暮らそうって言うのよ。
コレが飲まずにいられるかー、酒の宅配でも使って、
今日は飲みまくるわよー!!」
「うぇ、オレンジジュースなのに何だか、
綾ちゃんの飲みっぷり見てたら私の方が吐きそう・・・」
こうして飲めや騒げやのドンチャン騒ぎは深夜まで続いた。
事前に周囲の部屋の人達に声をかけた事もあり、
クレームの声は上がらなかった。
こうして、誰ともなく夜が深ける毎に眠る者が現れて行き、
やがて深夜一時を過ぎた頃には全員が眠りに就いていた。
~翌朝~
「ふぁ、おはよう~」
玲奈が一番早くに起きだし、続けてりおん、凛が起き出した。
それからは誰ともなくお互いを起こし合った。
そうして寝汗が付いた洗濯物が大量に出された事で、
この部屋初めての洗濯が行われた。
やがて玲奈とりおんによりそれが干し出された。
そして室内では昨夜の片づけや模様替え、ラックの設置等、
新生活の最初の据え付け等が行われていた。
そして昼になり、次は質素に済ませる為に
ファーストフード店へと6人で向かった。
綾は二日酔いが残りながらも長居しては悪いと帰ってしまった。
ランチを済ませた6人が再度部屋の飾りつけ等にいそしんでいた時、
ベランダに出た玲奈が叫び声をあげた。
どうした事かと5人が駆け寄った時、そこには洗濯物が無かった。
「ど、どうしよう・・・。
私達の洗濯物が盗まれちゃった・・・。」
ここはマンションの5階。更に角部屋では無く上下左右に部屋はある。
難しい推理となりそうだが、まだ犯人は近くにいるものと思われた。
こうして、6人は新生活の楽しさも早々に切り上げられて、
洗濯物の窃盗犯を捕まえる為に周辺を捜索する事になった。
果たして窃盗犯は見つかるのだろうか。




